夏の夜、就寝時の蚊の訪問には閉口する。鋭い羽音が耳元に近づくたびに、気になってなかなか寝つけない。
これに似た不快感なのだろうか。「モスキート(蚊)音」とも呼ばれる高周波音である。20代前半ぐらいまでしか聞こえない特性を利用し、公共の場で深夜に騒いだりする若者らを追い払う試みが自治体の間で広がりつつあるという。
先陣を切ったのは東京都足立区で、5月に公園に設置した。岡山県内でも玉野市が7月末に渋川海水浴場に試験導入。9月中旬まで深夜から明け方にかけて音を発し、夜間の花火や騒音などの防止に挑む。
「目には目」ならぬ「耳には耳」というわけだが、それだけ問題の深刻さを示す。同海水浴場での夜間の花火は条例で禁じられているが、警戒を強めても後を絶たない。
ただ、不快な音だけに懸念も浮かぶ。周辺住宅への影響や、静かに海辺を散策する楽しみを奪わないかなどだ。玉野市は「できれば使いたくないのだが…」とマナーの悪さを嘆く。
中国地方は4日、待ちに待った梅雨明けを迎えた。いよいよ本格的な海のシーズンだ。楽しさを満喫するには規則を守り迷惑をかけないことが大前提。若者にはモスキート音だけでなく他人からの注意という厳しい声もしっかり受け止められる聴力を磨いてほしい。