|
きょうのコラム「時鐘」 2009年8月6日
きょう判決が言い渡される初の裁判員裁判は、法廷の様子が事細かに報じられた。裁判員は番号で呼ばれている
きのう全員が被告人に質問したときは、「1番の方から」と裁判長に促された。おととい質問した女性は「4番さん、どうぞ」と声を掛けられた。のど自慢の出番みたい、と思ったが、不謹慎な連想である。勝手に名前や素性を明かせないのだから、番号もやむを得ない 個人情報保護のため、窓口で受付番号が呼ばれるのは珍しくない。病院でもそんな光景が見られるが、「あれは苦手」と言う医師も知っている。名前を呼ばないと温かみに欠ける、と「時代遅れ」を弁解するのだが、そう言われると、患者に対する心配りを忘れぬ医師が頼もしく思える 裁判員は逆である。被告や検察に頼りにされるようでは、役目が果たせない。番号が持つクールさを保つ大変な努力が求められる。裁判員3番と7番の交代も、そんな事情からだろうか 初の裁きに、全国の目が集まった。1番から7番、さらに補充裁判員の労をねぎらいたい。名前を挙げて敬意を表するのが礼儀だろうが、これも致し方ない。 |