福岡市中央区の市営福浜団地で生まれ育った元プロレスラーが9日、古里の夏祭りでリングに立つ。リングネーム「山笠〓(じぇっと)信介」こと炭谷信介さん(32)は東京都内に暮らしているが、帰郷のたびに少子高齢化で活気を失った団地が気にかかっていた。そこで親交のある元横綱のプロレスラー曙さんに相談、恒例の「福浜まつり」での対戦を企画した。炭谷さんは「団地が元気を取り戻せるよう祭りを盛り上げたい」と意気込んでいる。
炭谷さんは九産大のプロレス研究部で活動し、2001年、故橋本真也さんに弟子入り。プロレス団体「ゼロワン」でデビューしたが、けがで06年に引退した。今は、プロレス関係者が経営する飲食店で働いている。
今年5月下旬、曙さんと会食した際、あけぼの商店街(久留米市)が開いた「ふる里プロレス」に参加した曙さんが「いいイベントだった」と話すのを聞き、地元でのプロレスを思い立った。
6月、福浜校区自治協議会の会合で「費用で迷惑はかけない。古里に恩返しをしたい」と熱い思いを語り、了承を得た。ところが祭り予定日の8日は、曙さんの都合が悪いことが判明。大相撲九州場所で福岡市になじみがある曙さんから「9日にずらしてもらえないか。ぜひ行きたい」と申し出があり、地元も快諾。祭りの日程を変更した。
当日は福浜小学校校庭に、やぐらの代わりにリングを設営。九産大の学生や九州プロレスの試合に続き、メーンイベントのゴングが鳴る。これを機に現役復帰を目指すという炭谷さんは「このプロレスを見た子供が大人になったとき、自分も何かやりたいと思ってくれたらうれしい」。
同校区自治協議会の小川絹代会長は「かつて校区に1000人いた子供も、今や300人を切った。祭りを38年、何とか続けてきましたが本当に夢のような話です」と話している。試合は午後4時半から。観覧無料。駐車場はないので必ず公共交通機関の利用を。問い合わせは九州プロレス=092(400)9938。
=2009/08/05付 西日本新聞朝刊=