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番組規制の恐れ 民放各社が情報通信法案に猛反発

8月5日22時27分配信 産経新聞

 通信と放送の融合を目的として、総務省の情報通信審議会の検討委員会が6月に出した「情報通信法(仮称)」の答申案に対し、放送業界が「番組規制につながりかねない」と一斉に反発している。7月下旬に締め切った答申案への意見公募に放送、通信関連企業など152の法人・個人が意見書を提出、反対意見が続出した。検討委員会は8月10日に最終的な答申案をまとめる予定だが、意見調整が遅れる可能性もある。

 ■直接介入に懸念

 反対意見が集中したのは、放送設備(ハード)の運営事業と、番組(ソフト)の制作事業を分離し、個別の行政手続きで認定するという規定だ。現在の放送免許制度では、政府は設備運営から番組制作までを一括して行うテレビ局に対し免許を与えている。

 現行制度でも、放送局が違法行為などを行えば、行政側は電波法に基づき放送施設の運営を停止できる。ただ、番組制作への規制については、不偏不党の原則を踏み外すなど重大な違反がない限りは行われないため、行政による放送内容への直接介入は実質的に抑制されてきた。

 しかし、政府がハードとソフトを別々に認定する仕組みに改まると、番組内容に対する政府の立場が今まで以上に明確となり、直接介入が増えると懸念されているのだ。

 実際、答申案に対し、各社は「番組準則(規則)などに違反したかどうかを行政が判断し、業務停止命令や免許・認定の取り消しができる懸念がある」(テレビ朝日)、「今回の法体系の見直しを契機に、コンテンツ規制が強化されるのではないか」(NHK)などの指摘が相次いだ。

 「番組制作事業を認定する場合、その基準が具体的に何なのかが分からない」(日本民間放送連盟の竹内淳企画部長)といった点も各社の疑念を招いた。

 ■地方局の負担軽減

 総務省は「番組事業への規制は現行法でも行っており、それを分離するにすぎない」(情報通信国際戦略局)と説明する。さらに「ハードとソフトを分離すれば、地方局が放送設備を共有化でき、経営的な負担を減らせる」など、規制分離のメリットを強調する。

 もともと新法制は、放送設備を保有しない企業が放送事業に参入できるようにしたり、放送を行わない深夜に電波設備を使い、放送局が携帯電話などに情報配信できるようにするなど、電波の柔軟な活用を促進することを目的に検討されてきた。

 そのためのハードとソフトの分離が予想外の反発を買った格好だが、その背景には、誤報や“やらせ”などが多発するテレビの問題番組に対して、事後規制機能を担保したい行政側の思惑もありそうだ。

 ただ、ここまで反発が広がったことから、「意見を精査するのに相当の時間が必要」(検討委事務局)となったことも確かで、10日の検討委に向けた意見集約作業が大幅にずれ込む可能性も指摘されている。(黒川信雄)

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最終更新:8月5日22時27分

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