民主党が7月27日の衆院選マニフェスト(政権公約)発表後、米国との自由貿易協定(FTA)締結や、地方分権をめぐる国と地方の協議機関法制化などの政策修正を表明する「ぶれ」が続いている。麻生太郎首相がやり玉に挙げるなど、与党側に格好の攻撃材料を与える展開となっている。
「『締結』として不安を招くのは本意でない」。民主党の直嶋正行政調会長は5日、福岡市でのマニフェスト説明会で、日米FTA締結方針を修正した経緯について党所属地方議員らに理解を求めた。4日に菅直人代表代行が「誤解を招く部分があった」と、発表したばかりの公約内容の方針転換を明言したことで党内の困惑は大きかった。
日米FTA締結方針については、自民党や農業団体が「農業に壊滅的影響を与える」と集中砲火。このため、戸別所得補償制度導入で引き寄せてきた農村票の離反を恐れた民主党は3日、鳩山由紀夫代表ら党三役が対応を協議し「締結」の文言を「交渉を促進」に後退させることを決めた。
国と地方の協議法制化をめぐっては、大阪府の橋下徹知事が公約発表直後、記載されなかったことを非難。すると鳩山氏は途端に追加を表明し、4日には小沢一郎代表代行が大阪市へ出向いて橋下氏と会談し“火消し”を図った。