投手と打者の双方をロボットが務めるシステムを、東京大情報理工学系研究科の石川正俊教授(システム情報学)らが開発し23日、公開した。投手ロボットは約9割の確率でストライクを投げ、打者ロボットはボールがストライクゾーンに入る限り、打てるという。
投手は3本の指からなる「高速多指ハンド」を備える。閉じたり開いたりする動作を1秒に10回繰り返すことができ、絶妙なタイミングでボールを指から離す巧みな制球が可能になった。腕の振りで加速する。
打者は投手やボールの動きを1000分の1秒単位で追える三次元カメラと、円筒形のバットを持った腕でできている。ボールがストライクゾーン(縦1メートル、幅0.8メートル)にくれば、ほぼ100%、バットに当てることができる。
実演では、スタッフが発泡スチロールをゴムで覆った特製ボールを投手に握らせた。投手が3.5メートル先の打者に向けサイドスローで投げると、三次元カメラがボールを追い、打者が時速40キロのボールをバットで打ち返した。来月以降、改良し、「将来は時速150キロの球や変化球も投げ、同じ場所に打ち返せるロボットにしたい」(石川教授)という。
チームは知能と器用さを兼ね備えた高速ロボットの開発に取り組んでいる。石川教授は「独立して働く高速ロボットに共同作業をさせることに成功した。動いている物に対して高速で作業できる産業用ロボットなどに応用することで、工場での生産効率が飛躍的に上がる」と話す。【元村有希子】
東京大学 石川・小室研究室提供
2009年7月23日