一関・大東高で出前授業
財団法人東北産業活性化センター(会長・高橋宏明東北電力取締役社長)は4日、一関市大東町摺沢の県立大東高校で出前講座「IVICTユニバーサイエンス」を開いた。東北大学の協力を得て人材育成事業の一環として開設したもので、理系クラスの生徒たちが研究者から職業観などを聞きながらバイオマテリアル(生体材料)の最先端の研究内容に触れた。
同日は2、3年の生徒約80人が受講。東北大工学部の上田恭介助教(材料システム工学専攻)が講師となり、「からだの中で活躍する材料-金属とセラミックスの融合」をテーマに講話した。
上田氏は人工骨やコンタクトレンズ、デンタルインプラントなど金属やセラミックスを用いたバイオマテリアルについて講話し、「工学は各分野の研究が熟成してきており、工学と医学など境界領域の研究が重要になっている」とその研究の可能性を指摘。材料科学について「社会還元に直結している学問で、ちょっと材料を軽くしたり、安くしたりすることで世の中に大きな効果をもたらすことができる」とやりがいをアピールした。
大学進学に臨む生徒に向けて「勉強ができることも大事だが、大学は基礎学力をアレンジする発想が大事。またこれからは人とうまくやっていける人、リーダーシップを発揮できる人というのも大切な要素になると思う」とアドバイスした。
小山真晃人君(3年)は「人の役に立てる学問だと思った。体の中に入れても害がなく、逆に良くする材料があることに驚いた」と感想。岩渕望花さん(同)は「医療や生活に必要なものについて理解を深めることができた」と語った。小崎慎一朗君(同)は「材料に興味があったので魅力を感じた。環境に役立つ材料をつくりたい」と意欲を新たにしていた。
出前講座はわが国のものづくり産業など科学技術立国の優位性、国際競争力の確保を目指し、次世代の理科・技術系人材のすそ野を広げる一環として2009年度東北地方の高校15校を対象に開設したもので、県内は同校と7月に終えた一関工業高の2校で開いた。