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大崎市民病院建て替え 一部地権者と賃貸借交渉
宮城県大崎市民病院本院(古川千手寺町)の現在地建て替えに伴う用地買収をめぐり、市が一部の地権者と賃貸契約を結ぶ方向で交渉を進めていることが4日分かった。地権者が長期的には買い取りよりも高い収入につながる借地契約を望んだとみられる。売却に同意した大部分の地権者にはこうした事実は伝えられておらず、「不公平だ」との批判が上がっている。
市関係者によると、賃貸契約となる見通しの地権者は少なくとも2軒で、病棟や立体駐車場の予定地に当たる。あらかじめ借りる期間を定めた定期借地権方式を検討している。いずれの地権者も、市が不動産鑑定士の見積もりなどを基に提示した価格での買収に難色を示しているという。
本格的交渉はこれからだが、地権者側が希望する金額で土地を借りた場合、市が負担する借地料の合計は買収価格を上回る計算。市民病院建設整備局の試算では、ある地権者の場合、30年間の借地料は買収した場合の1億円を3000万円以上オーバーするという。
こうした借地料は200億円とされる建て替えの総事業費には含まれず、病院事業の経費から毎年支払われることになる。市関係者は「2軒分の買収費を除けば総事業費は一見少なくなるが、長期的には市の財政負担が膨らむ」と指摘する。
売却に同意した地権者の一人は「初耳で、大変驚いている。公平に買収し、一部のごね得を認めるべきではない」と批判。別の地権者は「市から提示された買収額は少なく、新しく家を建てるのは難しいと悩んでいた。ひどい話だ」と憤る。
市民病院の大場周治事務部長は「問い合わせがあった数人の地権者には、賃貸契約になりそうな地権者がいることは伝えてある。病院駐車場の一部は現在も賃貸であり、問題はないと考えている」と話している。
◎医師ら「郊外移転を」 124人の名簿市に提出
大崎市民病院本院(古川千手寺町)の建て替えをめぐり、同病院の医師が4日、古川稲葉の新興住宅地「穂波の郷(さと)」内の市有地への移転を検討するよう求める要望書と医療スタッフ124人分の署名簿を伊藤康志市長に提出した。
市は現在地の敷地を拡張して新病院を建てる方針だが、用地買収は難航している。伊藤市長は「要望を真摯(しんし)に受け止めたい」と答え、買収交渉と並行して市有地での建設の可能性を検討する考えを示した。
要望書では、現在地の問題点として「新築される本館と既存の病棟を渡り廊下でつないだ構造となり、緊急時の移動に時間がかかる」と指摘。工事中の騒音と渋滞による患者への負担や、買収できない土地があることで建物や駐車場が狭くなる点などを懸念している。
市有地については(1)整地済みのため、直ちに建設可能(2)交通の便がいい(3)広い駐車場を確保できる(4)騒音の心配がない―などを利点として挙げている。
医局会代表の壷井匡浩医師は「現在地の方が優れている点があれば、明らかにしてほしい」と要請。伊藤市長は「何が問題か精査し、皆さんと相談しながら進めていきたい」と述べた。
2009年08月05日水曜日
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