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北海道大雪山系 トムラウシ山 大量遭難を考える。 考察⑪ 低体温症のタイムリミットは、5~6時間、トムラウシへのこだわりと行動ペースの誤算の可能性

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北海道大雪山系 トムラウシ山 大量遭難を考える。 考察⑪ 低体温症のタイムリミットは、5~6時間、トムラウシへのこだわりと行動ペースの誤算の可能性

低体温症

北海道の登山家で医師でもある方がまとめた低体温症の記事です。登山に関する部分を抜粋させていただきました。
http://www5.ocn.ne.jp/~yoshi515/teitaion.html
※赤文字、太字は管理人が強調しました。

IV.登山における低体温症の予防
 一旦体温が下がると、安静にしていても大量のエネルギーを消費(体温が0.61度低下すると酸素消費量は3倍)するため、よほどの状況の変化がない限り低体温から脱出することはできない。
 そのため、低体温症では治療よりも予防こそが大事である。

0.登山の一般的な原則を守る:
  1) 悪天候時の登山をさける。気象の変化を予測する。
  2) 行動日程に余裕をもつ。
  3) 疲労、寝不足時の登山を慎む。前日の深酒は禁。
  4) 登山前にコースや避難小屋、テント場など十分な下調べをする。

1.防寒具の準備:
 山、とりわけ北海道の山では、ふもととまったく気象が異なる場合が多く、気象の変化も予測しがたい。そのため、日帰りのハイキングでも全身をおおうことのでき、かつ保温できる衣類を携行するか、着用する。最低限、長ズボン、長袖シャツまたはセーター、ウィンドブレーカー、帽子、手袋、雨具が必要である。衣服特に下着の素材は木綿をさけ、ウール、ポリプロピレンなどの通気性、保温性のすぐれたものを選ぶ(資料2参照)。軽量のテント、寝袋、寝袋カバーがあれば万全といえるが、そこまでできなくても防水シートやツェルトは携行したい。替えの衣類や寝袋は濡れないようにビニール袋にいれておく。

2.早めの退避行動:
 悪天候下では普通、出発後5~6時間で低体温症にかかる。条件が悪ければもっと早い(最悪1~2時間)。 症状があらわれてから虚脱状態になるまで1時間、虚脱状態から死亡までが2時間である。したがって、天候が悪化しているときは、低体温症の症状があらわれる前に退却するか、ビバークの準備に入るべきである。
 ビバークする場合は風、雨、地上を流れる水から身を守れる場所を選び、衣服は着られるだけ着てその上から雨具をつけ、テントの中、または防水性のシートの下に入って身を守る。隊員が何人かいる場合はバラバラにビバークするよりも身体を寄せ合ってていた方が保温効果がある。天候がよくならない限り、救助を求めるための伝令も派遣すべきではない(ビバークのしかた)。

3.水分、栄養をこまめにとる:
 脱水、低栄養は低体温になりやすくする。水分はできれば電解質の入ったもの(水1リットルに塩5g)を、栄養は糖質(果物、カステラ、クッキー、キャンデーなど)、炭水化物(おにぎり、もち、パン、バナナなど)が望ましい。アルコールは低体温と脱水を助長するのでダメ。

V.まとめ
 低体温症の怖さは、主に次の5つ
  1.安静にしていても大量のエネルギーを消費する
  2.早い時期から判断力がおちる
  3.ふるえがおこらなくなると加速度的にすすむ
  4.単なる疲労と区別が困難
  5.低体温症の知識が普及していない
    (よく知られている医学書にも間違った対処法が書かれていたりする)

 低体温症で命をおとさないためには何よりも予防が大事であり、次に早めの退避行動である。パーティの誰かが低体温に陥った場合には、本人の判断力は落ちているため、仲間が判断し、対応しなければいけない。

VI.資料
1.登山に役立つ機器類
 1)2社以上の携帯電話を持つと通話不能範囲が狭まり、救援要請しやすくなる
  Cf)http://member.nifty.ne.jp/yamaonna/yaku-keitai.html
 2)携帯GPSは自分の正確な位置を簡単に知ることができ、救援要請に役立つ。
 3)腕時計型の高度計でも気圧の変化で天候の悪化を予測することができる。

2.低体温症になりにくい服装
 ・通気性のある下着(ポリプロピレン、オーロン、ニット、ウール)
 ・次に湿気は吸収するが、熱を逃がさず保温効果のある生地(ウール、フリース)
 ・一番外に防水性、防風性の生地(ダウンやゴアテックス)
 ・雨具は防水性に加え、水蒸気を逃がす透湿性のある素材(ゴアテックスなど)
 ・手袋の素材にも注意

3.風速と体感気温(風速0.0は実際の気温と同じ)
風速(m/秒) 体感気温(℃)
0.0  10.0   4.4  -1.1  -6.7  -12.2
2.2   8.9   2.8  -2.8  -8.9  -14.4
4.5   4.4  -2.2  -8.9  -15.6  -22.8
6.7   2.2  -5.6  -12.8 -20.6  -27.8
8.9   0.0  -7.8  -15.6 -23.3  -31.7
11.2  -1.1 -8.9  -17.8 -26.1  -33.9
13.4  -2.2 -10.6 -18.9 -27.8  -36.1
15.6  -2.8 -11.7 -20.0 -29.4  -37.2
例)-1.1℃でも風速が11.2(m/秒)あれば体感気温は-17.8℃

4.高度と気温:100m高度が増すごとに気温は0.6度下がる
  Cf1)トムラウシの事故当時、東京30℃、札幌20℃、トムラウシ山頂8℃
     風速15(m/秒)として体感気温は-6℃くらい。(これは2002年7月の事故を指す。・・管理人 注)

  Cf2)5月下旬の羅臼岳の推定、東京25℃、札幌15℃、羅臼岳登山口8℃
     羅臼岳山頂0℃、風速10(m/秒)として体感気温は-15℃くらい

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以上を踏まえて、16日の行動を考えてみます。

ヒサゴ沼避難小屋を出発するに至った経緯

ガイドに十分な低体温症の知識があり、予防のための方策もわきまえているとします。

トムラウシを舞台にした2002年7月の事例については知っており、当日も漠然とした程度の低体温症発症可能性の認識はツアーガイド3人にあったものと推定できます。ただし、ガイド3名のうち2名が現実に発症していたことを踏まえると、ヒサゴ沼避難小屋出発時点で、切迫した具体的な認識があったとは考えられません。
ガイドが低体温症の切迫した具体的認識を得たのは、最初の発症者が現れる頃であったと考えられます。

さて、もし私がツアーガイドで、今回のツアーにガイドとして参加する場合、現場の判断は、swanslab 様のような現地に詳しいガイドに状況判断は任せると思います。それで、swanslab 様が、「エスケープしましょう!」とご提案なさったら、ツアーはエスケープすることに決定し、あとは(トムラウシに登れないので)不機嫌な顔をするツアー客を説得することに努力したことでしょう。

今回二名のガイドが現地に不慣れだったということは、その分、現地のガイドの意見が尊重される余地があったと考えます。
中途半端に北海道の山を知っているよりは全く知らないほうが、現地のガイドの意見も通りやすいといえましょう。

多田学央ガイドの現場での判断は今のところ不明ですが、ヒサゴ小屋では、今後のルートに関してガイド間で言い争いがなされた形跡もありませんし、ガイド間での意思決定はすんなりいっていたようです。

ルート変更をせずに予定通りにトムラウシ温泉に向けて出発した経緯に関して、あくまでも推測に過ぎませんが以下の諸事情が考えられます。

①状況判断(とりわけ天候予測と、低体温症発症可能性)を見誤り、ガイド全員ルート変更など思いもよらなかった。

②同宿した他のツアーグループ或いは個人で、エスケープするグループ、個人は皆無であったのでその流れに従った。

③多田ガイドはルート変更を考えたが、決定権があるほかのガイドに押し切られた(あるいは多数決で潰された)。

④いざという場合は、ガイドが3人もいるので今回のオペレーションシステム
△+ガイドA→→△△△△+ガイドB→→→○○○○○○○○○○+ガイドC→→→→トムラウシ温泉
故障者(△)が出たら都度、ガイドが付き添い、本隊は先に進むという方式でトムラウシ温泉まで引率できると踏んだ。

※結局、swanslab 様にご教示いただいた、かってのコマドリ沢が増水して、流される恐れがあるといったルートの危険性があるならまだしも、天候予測も、低体温症発症の予測もいずれも、エスケープルートを採らせるほどの説得力をもたなかったのだと考えます。

そして何よりも、トムラウシへのこだわりがあったように思います。

トムラウシ山は深田百名山のひとつであり名峰とされています。確かに3泊4日の大雪山系縦走の後半のフィナーレを飾る山でありますが、安全登山の見地からするならば何もヒサゴ沼避難小屋に停滞してまでして無理に登る山ではないとも言うことが出来るでしょう。(下記追補 参照)

暴風雨ではあるがまったく行動できないわけでもなく、雨具を着れば行動できる程度の雨天の中、ヒサゴ沼避難小屋に停滞するという判断は、どうしてもトムラウシに登ってみたいといったトムラウシに特別の価値を置いているならまだしも、上に書いたように大雪山の縦走を一通り無難にこなすことに重点を置く場合は、あまり出てこないのではないだろうか?

そんなふうに安全な縦走のほうにより価値を置く場合には「トムラウシは悪天のためエスケープしたんで登れなかったよ。」で済むはずであるが、トムラウシに是が非でも登りたいがためにこのツアーに参加したであろうほとんどのツアー客にとっては、まさにトムラウシに登ってこそ!の心境であったのだろう。本州から10数万円の旅費を払って参加するツアー客の心情はそんなところにあると考える。

その場合、エスケープルートを選ぶことは、言って見ればトムラウシから撤退を意味する。トムラウシ命!でやってきている本州のツアー客にとってエスケープは、登山ツアーそのものの失敗を意味する。

その心情をよく理解しているガイドは、たとえエスケープルートを知っていても心情的にエスケープルートは採れなかったのではないか?
いわば、トムラウシへのこだわりで、計画通りに進んでしまったということが出来ると考える。

では停滞はどうか?

しばしば指摘される停滞であるが、どうしてもトムラウシに登りたいのならば、あらかじめ停滞を予備日の形で計画に入れておくべきであった(そんなことはガイドだって百も承知である)。
されど、計画に予備日は入っておらず、停滞は予定外の行動である。よってエスケープルートを採る以上に停滞はしにくい・・。

(大体、登山の心得がある者(ガイド)にツアー計画を渡して、ひと目見て、予備日がないということは、つまりは、決められた日程のうちでツアーを終えることが、暗黙の大前提であったと言えるだろう。)

・・とすると、やはり当日は、
動かざるを得ない。

ちなみに地元の登山者やガイドにとっては、計画外のヒサゴ沼避難小屋での停滞とエスケープのどちらが望ましいかというと、安全な登山を心がけてトムラウシに格別な思い入れがないのならば、行動できる雨天であれば迷わずエスケープである(この点は、swanslab様のご教示に拠っています )。

でも、先述したようにエスケープは、ツアー客にとってツアー自体の失敗を意味する・・。

そんなツアー客の期待に、応えんがため、エスケープルートを選ぶこともなく、まして停滞することもなく、16日の早朝、3人のツアーガイドは、ツアー予定通りの、トムラウシ山を越えてトムラウシ温泉へ下山するルートを歩き始めたのではないだろうか。

その場合、勝算はあったのか?

逆説的に表現するなら、勝算があったからこそ、トムラウシを越えて温泉に下ろうと歩き始めたわけである。3人のガイド間でいかなるやりとりがなされたかは不明であるが、既定のルートを進む場合、

「特別なトレーニングを積んでいない一般ツアー参加者で、60歳前後の高齢者がほとんどで、縦走三日目で疲労も蓄積されているような場合に、暴風雨の中、北海道の標高1800m以上の吹きさっらしの尾根を、満足な防寒衣料も着ないまま歩かせた場合、ツアー客15名のうち1人、2人に、数時間後、遅かれ早かれ低体温症の症状があらわれる者が出てくるであろうことは、ヒサゴ小屋避難小屋出発の時点で、ガイド3名にとって十分予測可能であった。」ということが出来るだろう。

だから、低体温症が発症しないうち、せいぜいタイムリミット5時間~6時間のうちに安全圏に下山してしまうことが求められたわけで、ヒサゴ小屋出発の時点で3人のガイドもそれを念頭においていたはずである。

実際は、5時間~6時間のうちに安全地帯に下降することが出来ず、あのような結末になったわけだがそこにもうひとつの誤算があった。

行動ペースの誤算

すなわち低体温症が発症しないうち、せいぜいタイムリミット5時間~6時間のうちに安全圏に下山してしまうのが出来なかったという「行動ペースの誤算」があったと考えるのが筋である。

つまり、いざ小屋を出てみたら遅々としてまったく行程がはかどらなかったという事情である。
これはツアー客に残されていた体力の判断ミスといえるだろう。

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この流れを簡単にまとめると以下のようになる。

日程上、停滞は出来ない

トムラウシへのこだわりからエスケープも採れない

タイムリミットのうちに下山してしまえば何とかなる

行動ペースがガタ落ちで、遅々として進まず

5時間後、最初の、低体温症発症者を迎える

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追補

例えとして、北アルプスに置き換えてみると以下のようになる。
室堂から薬師岳を超えて、裏銀座を歩いて槍ヶ岳に登って、穂高に向かおうとした朝、天気は荒れていた。
天気の回復を待って、穂高まで縦走を続けるか、それとも、もう計画したルートの8割がたは歩いてしまったので、今回の縦走はほぼ成功したとして、穂高は止めて迅速に槍沢から上高地にエスケープしてしまうか?である。
穂高に格別の思い入れがある岳人なら、停滞してまで穂高まで歩くかもしれない(もちろんその場合は、あらかじめ予備日を組んであるだろう)が、山においてあまり欲張らず、8割がたの達成で成功とみなす岳人であるならば、さっさと下降してしまうだろう。

本ツアーの場合(本ツアーに限らず、トムラウシをめぐるツアーに参加する人は皆同じであろうが)、参加者はトムラウシに格別の思い入れがあったのであるが、ツアー会社が企画した日程では、停滞などできず、ガイドとしては強行するよりほかになかったのだと考える。
多少、2~3万円旅費が余計にかかってもツアー客のことを第一に考えて、ヒサゴ沼避難小屋で停滞できるような親切な計画設定を行うようなツアー会社を選べばよかったのであろうが、後の祭りである。

Written by silvaplauna

Juli 28, 2009 um 8:03

4 Antworten

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  1. 初めまして。登山をしない場違いな立場の者ですみません。が、登山が好きな友人や事故に遭った知人もいるので、今回の様な遭難が起こると気になってしまい、ここに来ました。

    私が、場違いにも意見を書いてみようと思ったのは、ここに来られる方は、充分な能力があり、ツアー登山はしない方ばかりなのでは、と思ったからなのです。私のような「素人」でも、もう少し、その能力不足を不幸な結果につながらない方法を考えられるのでは、と思い、失礼ながら意見を述べさせていただきます。

    まず、「トムラウシへのこだわり」ですが、ヒザゴ小屋出発前になると、後の証言で「この風雨で出発で大丈夫だろうか」亡くなってしまった人が「風雨がひどいよ」、「出発を取りやめたら」とガイドに言ったという話もあったと報道されています。参加者は高齢です。登山前はともかく、過密な非難小屋でびしょぬれの一夜を過ごした後でも、百名山のトムラウシに登りたい、と本気で思っていたのでしょうか?

    次に日程の問題。「次の予定がある」予定変更になれば「追加料金もかかる」件ですが、そもそも差し迫った重要な予定がある方が直前に北海道に登山に行くでしょうか。ツアー「旅行」でも同様です。それと年齢からも、少し自由な時間ができたから登山を楽しんでいるのでは、と拝察いたします。
    お金の件も同様です。ツアー登山している方はお金に困って山に登っているのではないでしょう。むしろ逆でしょう。何かが起きれば救援要請でお金がかかる事をしているというのは明白だからです。

    以上のことからツアー会社は「お客は能力ないのにワガママでケチだから(私の勝手な想像ですが)」と安物で粗悪品の、でも見た目だけは魅力盛り沢山の商品を企画するのかもしれませんが、私は実際のお客はそんなに判断能力や支払能力がない訳ではないと思います。事実ガイドにおいて行かれた後でも、皆がやけくそになって勝手な行動を起こしたりせず、助け合って下山しようとしたと思います(こんな言い方も失礼ですが)。

    もっと言うなら、自分の命がかかっているのに「明日の仕事の予定のために是が非でも出発しろ」「延泊代金支払わないぞ」と本気で言い続ける人が何人いるのでしょうか。むしろスケジュール変更によって、会社側が様々な手配をし、仕入れ料金アップする方が面倒なのでは?

    要は、ほんの少しづつの相手への「思い込み」の小さな誤差のようなものが、重大な悲劇的な結果につながっていくのでは?と思います。

    最後に、装備の件。ここに関しては登山者は知識不足(過ぎる)と思います。それなら、会社側も、また情報を提供する側も具体的に必要な雨具や防寒具も装備するように、持たない人は調達できない限り登れない、とかするべきではないでしょうか?

    結局は、命が惜しければ(当然です)現地に詳しいガイドも雇うことになり「本州から10数万の旅費」よりも、もっともっとお金のかかる登山をすることになってしまうのでしょう。でも「趣味」だから仕方ないのではないでしょうか?

    余談ですが私はツアーの海外旅行はしません。が複数のツアコンの友人によるとツアーのお客は概して安い料金なのにワガママだそうです(もっとお金をケチるとか)。でも、冷静に考えてみて、自力では空港内の通過も難しい様な方が、プロに安全に旅行に連れて行ってもらえて、自力で同じ移動や宿・食事の確保をする人よりも格段に安いのは有難いことなのではないでしょうか?

    供給側が消費者側に媚びる?(見た目よい超格安粗悪品製造)ことによってもっと消費者がバカになって増長→もっと安物作る。本当は参加できないのに(能力・装備)いいことにしてしまう→結果、商品に責任が持てなくなる、という悲劇の悪循環にも着目すべきでは、と思います。

    ツアー旅行の例を挙げましたが、何度も書いたように今回の登山の方々が「ワガママなお客」だった訳ではないと思います。供給側も消費側も、もう少し安心できる商品の開発はできないのか?(日程に余裕を持たせる。地域を絞る。ガイドは当然その山の登山経験者で権限もある。装備情報の徹底等)そして登山者も、命を守ってくれるプロや施設にお金を支払う意識を持つ(高齢者ならわかると思います)ことが大切なのではないでしょうか?

    場違いな者が色々書いてすみません。ただいくら技術・医療的な問題を真剣に検討しても、危険意識の薄い登山者のマインドの問題は、そうでない方にはわかりにくいのでは?と思い、勝手な事を書きました。お許しください。

    JULIA

    Juli 31, 2009 um 5:18

  2. JULIA 様

    こんばんは、お返事が遅れ恐縮です。

    今回の事故は、登山の分野で発生しておりますが、その原因となるのは、日常生活に広く共通するものであると考えます。ですので、別に登山をやらないとご遠慮なさることはぜんぜんありません。

    むしろ、ガイドの一部に見られるように、一部の人間でしか取り扱えないような専門的な事案として、この事件を遇するのは、彼らの根拠なきプライド意識がなせる技で愚かしい限りです。

    ですので、ご意見大歓迎です。

    お書きの点いちいちごもっともです。

    ツアー会社が、日程の予備を設けその分他社よりも割高な設定にしたらうちにはお客が来ないかもしれない、天候状況によってはルート変更の可能性がありますなんてパンフレットに書いたらほかのツアー会社に流れていってしまうかもしれない、と考えたであろうことは察しがつきますね。

    でも、命を失うことに比べれば、数万円割高になるのは我慢できますよね。

    数万円割高になっている代わりに、きちんと出かけるルートで気象状況によっては低体温症が発生するかもしれない山であると過去の事例をしっかり研究してくれて、スタート前のブリーフィングで、きちんとルートの説明をしてくれるガイド、中厚手ぐらいのフリース、防寒になる帽子と化繊または毛織の手袋をお持ちでない方はお連れ出来ませんと言ってくれるガイド。

    さらに、当日の天候状況を判断して、今日はトムラウシは危険要素が多すぎますので、われわれは安全なエスケープルートをたどって速やかに下山しますと判断してくれるガイドに数万円余計に払っても命を失うことに比べれば安いものです。

    割高であっても、きちんと働いてくれるガイドが付いてくれるツアーを選ぶべきなんだと思います。

    どのツアーもメッキがしてあるから一見どれも同じに見えて、結果的に安いほうがいいじゃない!なんて思い込みがちだけれど、いざ悪天候になると、そのメッキが剥げて、そのツアーの実態が明らかとなってツアーガイドの真価が問われることになります。

    今回は「超格安粗悪品ツアー」(言葉は悪いけれど、結果的にはそう批判されてもしょうがないと思います。swanslabさんの手前、こう表現するのは気が引けるのですが、8名のご遺族の心中を思うと、何とかならなかったのか!!と問い掛けたくなってしまいます。)の結果、8名もの方の尊い命が失われました。

    現状を冷めた目で見るならば、まさに
    「安全は金で買え!」ですね。

    やすいツアーにはそれなりの安全しかついてこない。
    期待するほうがムリ

    というのが現状なんでしょうか・・・?
    残念ですね・・。

    私は、JULIA様ご推察の通り、単独登山が主でガイド登山の実態にはとんと疎いので、今回の事故を通してその実情を垣間見て、ただただあきれるばかりなのです。

    山のガイドで人様からお金をいただこうとする以上、普通の登山家以上の技量が備わっていなければいけないと思うのです。

    普通の登山家以上の技量なんて、並大抵の努力では身に付けられないものだと思っています。

    ところが・・今回の事故を扱ったプロガイドさんのブログ記事を読むと、行間に、誇りというよりも自信過剰ともいえる態度が見え隠れして気が滅入ってしまいます。・・ここにお書きのswanslab様のようなわきまえた方などめったにいません。

    自信過剰の、「誇り」ではなくプライドばかり高いガイドが大勢いる現状では、このような事故はこのさきまだまだ続くと思います。

    山をやる人間は、謙虚でなければならないと思うのです、山は謙虚になることを教えてくれるところです。
    なのに、ガイドを名乗るものは、自分達は他の人間よりも「ましな人間」であると思っているようです。

    そういう不心得者が、ガイド業界には大勢いるようです。

    威張るために、自慢するために山に登ってきたのかねぇ・・といぶかしく思います。

    (話しがかなり脱線してしまいました。これからも自由な視点で、アドバイスコメントよろしく御願い申し上げます。)

    silvaplauna

    August 1, 2009 um 11:23

  3. silvaplauna様

    お忙しいのに、丁寧なお返事どうもありがとうございます。
    その後戸田様の「ご回答」により、より詳しい事がわかり、皆さん同様素人でもビックリです。

    ひとつ、当たり前のことを考えました。戸田様は正ガイドを「営業職員の考え」と言っていらっしゃいますが、私は、営業職員としては大失敗だと思います。多分どんな分野の方でも営業のプロはそう言うでしょう。たとえ会社の利益のことのみしか考えないとしても、利益どころか大損失を与え、会社存亡の危機に至らしめたのですから。

    私が今言いたいのは、ガイドの方が営業センスがない、とか、戸田様の揚げ足取りをしたい、ということではなく、営利目的にしろ非営利目的にしろ、とにかくマトモな判断ができていなかった(具合が悪くなっていたのかもしれないということを含め)ということだと思います。

    戸田様の、ガイドに対して「社交性がない」「机の上の知識だけ」は耳が痛いけれど、もし、今後も同じ仕事をされるなら、とても役立つ言葉だと思います。

    昨夜TVでも今回の遭難にあった方のインタビューが放送されていました。人によって同じ事故が全く違って捕らえられていることがわかりました。天気・コース・ガイドに対する評価もです。その違いが今回の悲劇につながってしまったのか、と考えました。

    silvaplaunaさんのおっしゃる通り、事故の原因は日常生活に広く共通するものであると思います。勝手な想像ですが、このツアーの年齢制限より上の方々は、もっと自然から自分の体を守ることに慎重であったように思います。便利になると火でも何でも有難味がなくなりますが、子供の時から意識してそういう「教育」をしていく必要もあるのでは、と思いました(当然私は、その「有難味を忘れている年代」ですが…)。

    (お忙しいと思うので、反論や間違い指摘等なければお返事は結構です)

    JULIA

    August 3, 2009 um 4:04

  4. JULIA 様

    先日はお返事が大変遅くなり申し訳ございませんでした。

    お書きのように、大局的に見ると、会社のためにならず、目先の利益を追求してしまったといえましょう。つまり、木を見て森を見ず、だったことになります。

    事故をめぐっては、いろんな立場があるようですが、助かる方策はあっただけに、惜しまれますね。

    人間の命は、そうやすやすと奪われてはならないと思います。だから、こういった山のガイドを仕事とする者は、自分のささいな判断ミスが、お客さんの死を招くということをよくよく認識すべきだと思います。

    そういった認識があれば、事前の下調べも行ったでしょうし、無理な予定での行動もしなかったはずです。

    人命が失われてから気がついて、反省しても意味がないのです。

    後半にお書きのように・・夏涼しく、冬暖かい生活に慣れてしまうと、人間にもともと備わっていた生存本能や、自己保存の本能が失われてゆくようです。

    登山や、アウトドアの体験は、そういった失われつつある本能を維持するのに役立つと思っています。

    でも、よくよく慎重にならないと今回のような事故になってしまいます。

    いわば、自然は、飼いならされたペットのように扱いやすいものから、野生本能そのままの猛獣のように下手をするとこっちが大怪我をするものまでさまざまであるということです。

    今回のガイドさんは、トムラウシを飼い猫か何かと勘違いして、安易に手を出してしまいました、悲劇は、彼が一人だったら良かったのですが、大勢のお客さんを引率していたことにあります。

    こうした引率者のうっかりミスは、厳しい山の場合は致命的ですね。

    silvaplauna

    August 3, 2009 um 4:56


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