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裁判員裁判 歴史的な改革が始まった

 一般市民が重大な刑事事件の一審公判に加わる裁判員裁判がスタートした。1943年の陪審制度停止以来、66年ぶりの歴史的な司法の大改革である。

 皮切りとなったのは東京地裁で3日から始まった裁判だ。無作為に選ばれた有権者が裁判員として審理に参加し、プロの裁判官と一緒にどんな判断を示すのか。6日に予定される判決まで連日開かれる公判の成り行きを注視したい。

 期待と不安が入り交じった心境の人が多いだろう。裁判員制度導入の狙いは、法律の専門家任せだった裁判に一般国民が参加することによって、市民感覚をより反映させることだ。社会常識とかけ離れたような判決が少なくなかっただけに、趣旨は理解できよう。

 一方で裁判官による評議の誘導や、被告の権利を損ないかねない審理簡略化などの問題が指摘される。専門知識を持たない市民が「人を裁く」ことへの抵抗感も根強い。被告の一生を大きく左右し、時には命をも奪うからだ。

 さまざまな課題を抱えて始まった東京地裁裁判の対象は、東京都内で起きた殺人事件である。地裁は6月、管内約2万7700人の裁判員候補者から100人を無作為抽出した。

 初日はこの中から辞退者などを除く47人が選任手続きに訪れた。面接やくじで裁判員6人と、急病などの際に交代する補充裁判員3人が選ばれた。

 手続きには会社を休んで来た人もおり、関心の高さをうかがわせた。選に漏れた候補者の間から「裁判を身近に感じるきっかけになった」との声が聞かれたのが印象的だった。

 裁判員裁判の間接的な意義として、社会への参加意識の触発が挙げられる。一般市民が法律の当事者としてものを考えるようになり、社会全般の事象にも関心が強まるという見方だ。米国では陪審員を体験すると投票に行くようになる、という専門家もいる。日本ではどうなるか興味深い。

 裁判員裁判では、従来の法廷が様変わりした。東京地裁では裁判員の負担を考慮し、実質審理は3日間に限られた。裁判員が多くの証拠書類を読み込む時間はない。被告人質問や証人尋問を中心に、検察、弁護側とも「見て、聞いて分かる立証」に工夫を凝らす。

 それが裁判員にどう影響するのか。今後、全国で本格化する裁判員裁判に向け、選任手続きや守秘義務の在り方なども含め冷静に検証する必要がある。


古橋氏死去 「泳心一路」の生涯だった

 水泳の国民的英雄として戦後日本に希望を与え、スポーツ選手として初めて文化勲章を受章した古橋広之進さんが80歳で亡くなった。日本スポーツ界にとって大きな損失であり、巨大な星が落ちた感がある。

 「フジヤマのトビウオ」の愛称が生まれたのは、1949年の全米選手権だったが、その名を一躍世界に知らしめたのはロンドン五輪が開催された前年(48年)のことだ。

 第二次世界大戦の終結から3年後。「戦犯国」として五輪に招待されなかった日本は、同時期に東京で日本選手権を開催。古橋さんは400メートル自由形、1500メートル自由形でいずれも五輪記録をはるかに上回る世界新記録で優勝した。

 泳ぐたびに更新した世界記録は33度といわれる。同時に文化勲章を受章した作家の田辺聖子さんが言うように、日本人が誇りや自尊心を取り戻し、戦後日本が息を吹き返すきっかけをつくった点で、スポーツ界を超えた存在だったといっていい。

 競技を離れた後は日本水泳連盟、日本オリンピック委員会の会長などを歴任し、日本の「顔」として活躍した。息を引き取ったのも、世界水泳選手権が開かれているローマだった。

 日本水連の佐野和夫会長は、駆けつけた国際水連関係者から強く抱き寄せられて「大丈夫か」と声を掛けられたという。故人が国際的にも大きな存在感を持ち、尊敬されていたことを物語るといえるだろう。

 座右の銘は「泳心一路」だったという。命日はくしくも選手権大会の最終日。参加した競泳日本代表の愛称が「トビウオジャパン」だったことも偶然とは思えない。日本はその遺志を継ぎ、大海を突き進むトビウオのように世界に飛躍してほしい。

 心からご冥福をお祈りする。

(2009年8月4日掲載)
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