2009年8月4日
在京の民放キー局で春以降、組織改編が相次いでいる。とくに大がかりなのはテレビ東京と日本テレビ。テレ東はアニメ局を、日テレはドラマ局を、それぞれ新設した。不況で経営が厳しいなか、制作部門の競争力を強化するのが狙いだ。
テレ東は今春、営業、コンテンツ事業、編成の各局にあったアニメ担当部署を一つにまとめ、アニメ局を立ち上げた。他のテレビ局には例のない取り組みだ。
テレ東はこれまで、マンガをアニメ化して放送し、関連商品やDVDを販売することで大きな収入を得てきた。昨年度の放送外収入約146億円のうち、約76億円がアニメ関連事業だ。アニメ局新設により、この分野をさらに伸ばしたい考えだ。
各局に分かれて役割を分担していたアニメ担当部署を一つの局にまとめたことで、担当者間の風通しがよくなったという。田村明彦・アニメ局長は「アニメに関する商談はすべてアニメ局に持ち込めばよいので、外部の人にとってもわかりやすい」と話す。
アニメ局創設を機に、原作に頼らない独自のキャラクターの開発にも力を入れ始めた。9日に放送が始まるアニメ「ウチュレイ!」のキャラクターは、宇宙人の幽霊という設定。米アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞した「つみきのいえ」で知られるプロダクション「ROBOT」がデザインした。
田村局長は「これまでは原作者がいてアニメ化する作品がほとんどだった。今後は独自にアニメを制作することで競争に勝ち残りたい」と意気込む。
日テレは7月に制作局を二つに分け、ドラマ局とバラエティー局にした。最大の狙いはドラマ制作へのてこ入れにある。
日テレのプライム帯(午後7〜同11時)のドラマは現在、週に2本。今春に放送が始まった「アイシテル 海容」「ザ・クイズショウ」は、最終回の視聴率がいずれも14%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を超えるなど好調だった。だが、過去には10%に届かない回が続いた作品もあった。
ドラマの制作部門が局として独立すると、他の部門との調整にかかる時間が短くなる利点があるという。小松伸生・ドラマ局長は「いずれはドラマの本数を増やしたい」と話す。(村瀬信也)