2009年8月5日3時8分
国が認めた耐火性能の仕様と異なるアルミサッシを使った7種類の防火窓や防火戸が全国の住宅やマンション、ビルの計1万棟以上で使われていることが4日、国土交通省の調べでわかった。国の認定を受けた業界団体が、形や材質、寸法が異なるサッシの製造と販売を容認していた。
国交省によると、問題の7種類は、ガラス板を重ねてブラインド式に開閉できるルーバー窓や、はめ殺し窓、上げ下げできる引き戸など。ルーバー窓は、ガラス板を素材にして認定を受けながら、実際にはアルミ板を使っていた。7種類の耐火性が著しく劣ることはなく、現時点で交換は必要ないとしている。
建築基準法は、火災時に延焼を防ぐため、市街地の住宅や多くの人が利用する病院などの建物の窓や戸は、炎に20分以上耐えられる性能が必要と定め、防火窓や防火戸は国交省の試験に合格した仕様での製造を義務付けている。
7種類の商品は社団法人・カーテンウォール・防火開口部協会(東京)が代表して国から認定を受けて約15社で製造。三協立山アルミ、新日軽、トステム、YKKAPなど大手も含まれている。アルミサッシの防火窓・戸の9割は、同協会が認定を受けた仕様に基づいて、協会が発行する解説書に従って製造される。解説書の範囲内であれば、個々の製品は国の試験を受けずに販売される仕組み。
しかし、協会は解説書の中で、材質やサイズを認定を受けた内容から拡大解釈して記述していた。大阪市から昨年末、ルーバー窓の仕様が国が認定したものと異なるとの指摘が協会に寄せられて発覚。同協会の末永佑己事務局長は「多少の変更は耐火性に影響を与えないと考えていた」と説明している。