【エルサレム18日共同】イスラエル紙イディオト・アハロノトは17日、放射線被ばくの人体被害を防ぐ薬を米企業が開発し、安全性試験などが順調に進めば1、2年後に米食品医薬品局(FDA)の承認を得られる見通しだと報じた。
サルへの試験では被ばくの24時間前から72時間後の間に注射すれば効果が見られたという。同紙によると、この薬を確保した国は核戦争で優位に立てるほか、がん患者らに投与することでより強力な放射線治療ができると想定されている。
開発したのは米バイオテクノロジー企業「クリーブランド・バイオラブズ」の首席科学者、アンドレイ・グドコフ教授。研究には米国防総省や厚生省が資金提供し、イスラエルの研究者も協力している。
教授は、腸内細菌からつくられるタンパク質に被ばくから細胞を防護する作用があることを応用して薬を開発。実験ではサルに致死量の放射線を当て、薬を投与しないグループは70%が死に、残りも被ばく疾患を発症したが、薬を注射したグループは生き残り、大半は副作用もなかった。
人間に投与する試験で副作用は出ておらず、2010年半ばの完了を目標にさらに安全性の試験を行っているという。