脱北者:「米国は受け入れる振りをしているだけ」
米国入りした脱北者が苦言
先月30日、米国ワシントンに近いあるレストランで開かれた脱北者関連の集まりに、今年6月に米国の地を踏んだキム・チョルギュンさん(仮名)が現れた。30代半ばのキムさんは、20人余りの参加者から米国入りを祝う拍手を受けた後、口を開いた。
「米国がわたしの亡命を受け入れてくれたことに、とても感謝している。だが、まだ米国に来られない脱北者のために、話したいことがある」
キムさんは「北朝鮮を脱出した後、アジアのA国の監獄に収監されていたが、1年8カ月後にようやく米国の地を踏むことができた。大勢の脱北者が米国に来ることを望んでいるが、あまりにも長い時間がかかり、あきらめる脱北者も多い」と語った。
さらにキムさんは、「一緒にいた脱北者の中には、A国の監獄の中で3度も誕生日を迎えた人もいる。当時、一緒に収監されていて米国行きを望んでいた脱北者28人のうち、米国に来たのは8人だけ」と語った。キムさんは、現在米国が脱北者の受け入れを「最小限」にしているシステムに問題がある、と指摘した。
「現在は、韓国政府が脱北者に対し保安上の調査を行って初めて、米国政府が米国行き希望者に接触する。しかし、その過程にあまりにも時間がかかり過ぎる。これを解決してほしいと断食闘争もしたが、世界最強の米国がなぜそのようにするのか、理解できない」
キムさんはこうした理由から、A国の監獄にいる脱北者は米国をかなり批判していると伝え、「米国が北朝鮮住民の人権にかなり関心を寄せているのは分かったが、脱北者を受け入れていると広報しておきながら、実際にはまね事ばかり」と語った。キムさんによると、一緒に収監されていた脱北者の相当数は韓国の親北左派勢力の活動を不安に思っており、韓国に居住する脱北者の身元や所在についての情報はすべて北朝鮮当局に渡っていると考え、米国行きを希望するという。
脱北者に米国亡命の道を開く北朝鮮人権法が発効したのは2004年のこと。米国議会調査局(CRS)が最近出した報告書によると、ブッシュ前大統領時代にこの法律が発効して以来、今年1月までに受け入れられた脱北者の数は71人にすぎないという。
実際、今のオバマ政権は北朝鮮の人権問題を強く提起していくという立場を表明しているが、現在までのところ具体的に実行されたものはほとんどない。北朝鮮人権特使も、トム・ラントス元連邦議会下院外交委員長の秘書室長を務めた経験を持つロバート・キング氏を内定したが、まだ上院に認証の要請も行っていない。米国議会は、8月は1カ月通して休会する。従って、いくら早くても9月にならなければ、北朝鮮人権特使は任命されない。
ワシントン=李河遠(イ・ハウォン)特派員
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