2009年8月 4日 (火)

副島隆彦氏のメッセージと高橋清隆氏論評記事

6月29日付け本ブログ記事再掲載

副島隆彦氏が学問道場の掲示板にメッセージを掲載下さった。副島氏からは今回の最高裁不当判決の直後から、温かな激励のお言葉を賜り続けており、心から深く感謝している。副島氏からは植草救援委員会を作り、信頼できる人々と連携して行動するなどの身に余るありがたいご提案まで賜っている。温かな激励のお言葉に感謝の言葉を見出すことができない。ありがたくお心を賜り、弁護団とも相談して対応申し上げさせていただきたいと考えている。

 以下に、副島隆彦氏が学問道場掲示板に掲載下さったメッセージを転載させていただく。

「副島隆彦です。 

 私、副島隆彦は、この判決の4日前に、植草氏との対談本「売国者(ばいこくしゃ)たちの末路」(祥伝社刊)を出したばかりである。私は、この司法官僚どもの暴挙に、激しい怒りを覚える。

 植草氏は、この判決で、実刑判決を受けたようである。2006年の未決拘留(みけつこうりょう)の132日間のうち、60日ぐらいしか算入しない決定で、実刑の、刑務所への収監の残余の2か月が執行されるようである。私には、これ以上の詳しいことは今の時点では分からない。植草氏の弁護団がいろいろと教えてくれるだろう。私は、氏と連絡を取り合っています。

 私たち学問道場は、植草氏を支援し、警察・検察・裁判所(すなわち法務省官僚ども)の、権力犯罪、言論弾圧を許さず、植草氏への実刑攻撃に対して、強く抗議すべく、私は、弟子たちと慎重に協議した上で、何らかの抗議行動に打って出ることにします。

 植草氏を支援する人々と一緒になって、協力し合って、権力犯罪との闘いを始めなければならないと思います。これからは、私たちは、慎重に注意深く動かなければならないと思います。相手は、政治警察(公安警察)と法務省だからです。 

 副島隆彦拝」

ありがたいお言葉に心より感謝申し上げたい。

副島隆彦氏がご紹介下さったが、高橋清隆氏がライブドアPJニュースに今回の最高裁不当判決についての論評記事を掲載下さったので、ご閲覧賜りたい。被害者とされる女性が事件発生当時未成年で、被害者の特定につながる情報を一切公開できず、また、被害者供述も非公開で行われたため、被害者とされる女性についての情報がまったく伝えられずにきたが、この点についても重大な問題が存在している。

その内容については、いずれかの適切な機会に明らかにしたいと思うが、高橋清隆氏が記述下さったように、今回の事件および裁判には、極めて強い政治的背景が存在すると私は考えている。

高橋氏は私が巻き込まれた冤罪事件について、これまで継続的に公正な記事を執筆してきて下さっている。改めて深く感謝の意を表したい。

判決に伴う当事者への影響において決定的に重要な事項は、有罪・無罪の違いはもちろんだが、実刑か執行猶予かの相違にある。日本の刑事事件取り調べにおいては、「犯罪を認めれば早期保釈・執行猶予付き判決」、「犯罪を否認すれば長期勾留・実刑判決」という取り扱いを示唆し、一種の「司法取引」的手法により自白の強要が行なわれているのが実情である。

西松建設事件初公判の罪状認否では、西松建設前社長の国沢氏が起訴事実を全面的に認めた。このため、メディア報道は検察側主張が全面的に正しいとの前提で報道する傾向が強くなる。

しかし、6月19日付記事

「西松事件初公判と政権交代実現への課題」

に記述したように、求刑および判決での刑の軽減と引き換えに、被告が検察側主張を全面的に認めるインセンティブが働く点に十分な注意が必要である。

関係者が複数存在する事件においては、被告の一部がこうした司法取引で犯罪を認めてしまうと、真実に基づいて犯罪を否認する被告が存在しても、その主張が退けられてしまうとの問題も発生する。村上正邦氏などの事例は、このケースに該当するように思われる。

いずれにせよ、判決における「実刑」と「執行猶予」の落差は極めて大きい。真実に基づき犯罪を否認し続ける限り、不当な長期勾留を科せられ、また、判決において実刑が科せられる。つまり、無実の主張を貫くことに極めて大きなコストが発生するのが日本の現実である。

したがって、状況によっては、節を屈して事実に反して犯罪を認めてしまうことも生じやすい。逆に言えば、この状況下で無実の主張を貫くことは、強い真実の裏打ちがなければ、基本的には不可能であると言えるのだ。

ライブドア株式取得に関連してインサイダー取引疑惑で検挙された村上世彰氏は、逮捕勾留され、犯罪事実を認める供述をしたために、早期に保釈された。ところが、保釈されてから否認に転じ、第一審では実刑判決を受けた。一般的には取り調べで犯罪を認め、保釈後に犯罪を否認するのは悪質と見られる。

ところが、第二審では刑が軽減され、執行猶予付き判決になった。極めて珍しいケースであると考えられる。

村上ファンドの最大の出資者はオリックスである。村上ファンドは、極めて重大な機密情報を多数保持していると考えられる。

「かんぽの宿」疑惑などのオリックスに関連する問題などと村上ファンドが何らかの関わりを持つことも考え得る。また、村上ファンドへの出資者として福井俊彦前日銀総裁の名前が表面化したが、これ以外の出資者については、関係者名がまったく公開されていない。

村上氏に対する判決が実刑から執行猶予に減刑された背景に、これらの事情が関係しているとの見方も成り立ちうるように思う。

日本の警察・検察・司法制度において、直ちに是正が求められることは、

①取り調べの全面可視化

②否認事件における不当長期勾留の禁止

③適法手続きの遵守

を確実に確立することである。

04年の事件では、私を逮捕したという警官が、「逮捕する旨を告げたところ本人がうなずいたので逮捕した」との趣旨の現行犯人逮捕手続書を作成していたが、公判で、逮捕する旨を説明したかと問われ、そのような発言を一切していないことを明言した。

この警官は証人尋問で、手続書を警察署で事務的に作成したことを証言した。つまり、逮捕、勾留といった基本的人権の根幹にかかわる公権力の行使に際しての「適法手続き」=Due Process of Law」が完全に形骸化(けいがいか)しているのである。

また、取り調べに際して、「認めないなら裁判で家族を徹底的に苦しめてやる」などの「脅迫」に基づく自白の強要も行なわれる。「取り調べの全面可視化」を実現して、不当な取り調べを排除することも必要である。

私の身の安全を心配して下さる声を多数賜り、大変ありがたく思う。私は自殺しないことをここに宣言する。三浦和義氏が米国政府に拘束されている間に死亡されたが、私は、自殺する道を選択しないことをここに明言しておく。

日本の民主化、政治の刷新に向けて、微力ではあるが力を注いで参る所存である。なにとぞ、今後ともご支援ならびにご指導を賜りますよう謹んでお願い申し上げたい。

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2009年8月 3日 (月)

痴漢冤罪事件最高裁不当判決について

6月27日付本ブログ記事再掲載

私が巻き込まれた冤罪事件について、最高裁第三小法廷が上告を棄却する決定を下した。言語道断の不当判決である。

もとより政治的な背景のある事案であるから、公正な裁判が行なわれるとは考えられなかったが、先般、痴漢冤罪事件で最高裁が逆転無罪判決を示したため、私のケースにおいても適正な判断が示されるのかどうかを注目してきた。

この事件でも、私を犯人とする証拠は被害者とされる女性のあいまいな証言だけであった。事件を目撃したという証人が出廷したが、警察に出頭した日付も公判での証言と事実が異なり、証言内容にも重大な矛盾が数多くあり、極めて信憑性の低いものであった。

公判では、もう一人の目撃証人が名乗り出てくれ、法廷で証言してくれた。この証人は、事件があったとされる時間帯に、私が何もせずに吊革につかまってぐったりしている様子を明確に記憶されていたことを克明に証言してくれた。証言の詳細な内容は事実に即しており、極めて信憑性の高い証言を示して下さった。

また、私の手指の付着物から採取された獣毛繊維数本が、被害者の着用していたスカート構成繊維と「類似している」との警察証言が証拠採用されたが、弁護側が私が駅事務室でもみ合った駅員の制服生地の構成繊維と比較する大学教授鑑定を行なったところ、手に付着した獣毛繊維が、駅員の制服生地の構成繊維と「極めて類似している」との鑑定結果が得られ、繊維鑑定からも私の無罪が推定されていた。

今回の裁判について、副島隆彦氏との共著『売国者たちの末路 私たちは国家の暴力と闘う』に以下のように記述した。

「私の裁判は現在、最高裁での上告審に移っていますが、こちらの主張を厳正に判断してくれれば、逆転無罪になる。ただ、私の場合は裏側に“政治”があると見ているので油断できないと思っています。」

予想通り、政治がこのような不当判決をもたらしたと考える。

事件の概要については、拙著『知られざる真実-勾留地にて-』巻末資料に記述したのでご参照賜れればありがたく思う。

裁判所がどのような判断を示そうとも、真実はただ一つである。

私は嘘を言わない。私は天に誓って無実潔白である。したがって、心には一点の曇りもない。このような不当判決に遭遇して、怒りは沸騰するが、これが残念ながら日本の現状である。

幸い、多くの皆様が真実を見つめ、私の発する真実の声に真摯(しんし)に耳を傾けて下さっている。私を信じ、私の無実を確信して下さる方が多数存在する。

この皆様方の心を支えとして、私は自信を持って、今後も進んで参りたいと思う。

日本の命運を決する総選挙に向けて、微力ではあるが私もネットから全身全霊を込めて情報を発信している。そのタイミングでこのような不当判決が下されたことに対して、大変強い憤りを感じるが、いかなる弾圧に直面しても、節を屈せず、微力ながら一歩ずつ前進して参りたいと考えている。

多くの心ある人々の力を結集して、政権交代をあらゆる障害を乗り越えて達成しなくてはならないと考えている。

日本の警察・検察・司法制度の前近代性除去は、政権交代後の新政府の最重要課題のひとつになる。

なにとぞ、今後とも温かいご支援とご指導を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

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植草一秀氏の刑事事件弁護団声明

刑事事件弁護団声明                            

                                         

2009年8月3日

                                            

1 最高裁第三小法廷は,植草一秀氏に対する東京都迷惑防止条例違反被告事件に ついて,平成21年6月25日上告を棄却し,植草氏が異議を申立てましたが, 同年7月6日異議申立は棄却され,懲役4ヶ月,未決勾留日数60日参入の実刑 判決が確定しました。                            

本日,植草氏は,午後1時30分に,東京高等検察庁に呼び出しを受け,収監されました。

2 植草氏は逮捕されて以来,現在に至るまで,一貫して自分は犯人ではないと無罪を訴え続けてきました。

  痴漢事件では,誤った被害者の供述によって,無実の者が逮捕され犯人に仕立て上げられる危険性が高いことは周知のとおりです。

  本年4月14日の防衛医大教授逆転無罪判決では,同じ最高裁第三小法廷が「本件のような満員電車内の痴漢事件においては,被害事実や犯人の特定について物的証拠等の客観的証拠が得られにくく,被害者の供述が唯一の証拠である場 合も多い上,被害者の思い込みその他により被害申告がされて犯人と特定された 場合,その者が有効な防御を行うことが容易ではないという特質が認められることから,これらの点を考慮した上で特に慎重な判断をすることが求められる。」との判例を出したばかりです。

  本件では,被害者の供述や目撃者の供述に数多くの矛盾点があり,信用性が低いばかりではなく,弁護側目撃者の証言によって,植草氏が痴漢犯人でないこと が明らかになりましたが,裁判所は,これらの供述や証言について「特に慎重な 判断」をしませんでした。

3 本件では,犯人が被害者に,後ろから密着して,手指で被害者の着衣を撫で回 したという被害者供述から,植草氏の手指,ネクタイ,背広に,被害者の着衣の 構成繊維が付着していないかの繊維鑑定が科捜研でなされました。

  この鑑定結果では,植草氏の手指とネクタイから「つよい青色」「さえた青色」 「あかるい青色」の被害者の着衣の構成繊維と「色調が類似した獣毛繊維」が数本検出されたとされています。 

  しかし,「つよい青色」等の主観的で曖昧な表現の鑑定では,「繊維の異同」の 科学的な識別ではありませんし,また,繊維の色を科学的に識別できる顕微分光光度計による鑑定はなされておりませんので,「色調が類似した獣毛繊維」が数本検出されたと認めることはできません。

   痴漢事件では被害者の着衣に触ったとされる手指に付着した繊維の鑑定をすれば十分な証拠とされているのに,本件では,植草氏の手指の鑑定で「類似の繊維」が検出されなかったからこそ,ネクタイや背広に,被害者の着衣の構成繊維 が転移し付着していないかとして,次から次へ,同種事案では通常行われていないネクタイや背広の繊維鑑定を続けたことからも,植草氏の手指やネクタイから 被害者の着衣の構成繊維に由来すると認められる繊維が,全く検出されなかったことが判ります。

  裁判所も1審判決で「これらの付着していた各繊維は前記スカートに由来する と判定されたものではなく,他に由来する可能性も否定できるものではない。」と, 被害者の着衣に由来すると認定できないことを認めています。 

  被害者の着衣に触れば付着するはずの繊維が,植草氏の手指,ネクタイ,背広 に付着したと認められなかった3回もの繊維鑑定結果から,植草氏が被害者の着衣に全く触っておらず,植草氏が犯人ではなく,冤罪であることが明かです。

4 裁判員裁判時代を迎えた今日,供述証拠のみに頼る裁判には冤罪の危険があり,客観的証拠による裏付けが必要なことは,上記最高裁判例の説くところです。

 しかし本件では,最高裁判所も,「物的証拠等の客観的証拠」がないのに,被害 者供述等を「特に慎重に判断」することなく,本件が冤罪であることを認めませんでした。

 植草氏は,本日,収監されましたが,再審請求も視野に入れて,今後も本件が 冤罪であることを訴え続けて行く所存です。植草氏は,そのブログにおいて「(執行中の)身の安全を心配して下さる声を多 数賜り,大変ありがたく思う。私は自殺しないことをここに宣言する。」と記しています。

  刑事事件弁護団は,植草氏が刑の執行を安全に終了の上,これまでどおりの活発な活動を続けていくことを心から期待しております。

                     

                   植草一秀氏刑事事件弁護団

                   

                    弁護士 野 嶋 真 人

                    弁護士 佐 藤 善 博

                    弁護士 田 島   浩

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2009年8月 2日 (日)

メディア攻撃を超え無血市民革命を成就しよう

8月30日の総選挙まで1ヵ月となった。

テレビ番組では、次の二つの傾向が観察される。

①民主党の政策の細目を取り出して、民主党を攻撃する。

②橋下徹大阪府知事を出演させて、地方の主張を第三極の主張として大きく取り上げる。

テレビ各局の民主党攻撃は異常である。最も強い存在が集中砲火を浴びるが、テレビ各局も各政党も民主党を最強の存在であることを認めているのだと考えられる。

橋下徹氏が地方と国の協議機関設置を求めた。民主党のマニフェストにこの点が盛り込まれず、橋下氏がクレームをつけた。この点に関連して鳩山由紀夫民主党代表が、正式なマニフェストで対応する意向を表明した。すると、御用メディア各局は、鳩山代表発言に噛みついた。重箱の隅をつつく対応だ。

また、インド洋への自衛隊派遣について、鳩山代表が政権を獲得しても直ちに撤退はしないと発言した。その後、検討の上で来年1月の法律の期限切れをもって撤退する意向を示した。メディアはこれらの発言を批判するとともに、かつて小沢民主党代表が自衛隊派遣を憲法違反だと述べたことを問い質す。街のごろつきにようなからみ方である。

テレビ朝日「サンデープロジェクト」では、今日もまた田原総一朗氏が民主党を懸命に攻撃した。

予算運営で2010年度の財政赤字が2009年度を上回るかどうかを問い質した。2009年度の第一次補正予算では3兆円も埋蔵金を使っており、通常の予算編成を行なうと、中立の予算編成でも2010年度予算では財政赤字が3兆円増加する。景気支援型の予算を編成すれば、財政赤字はさらに拡大する。

田原総一朗氏と財部誠一氏は、民主党が2010年度予算で国債発行額を増加させたら下野するとの言質を取ろうと必死の形相だった。

このような低劣な罠にかかってはならない。民主党は財源調達について、景気情勢を踏まえた調整枠を設けるべきである。財源を満額調達すると景気には中立の影響を与えることになる。景気支持のスタンスを政策に反映するなら、財政赤字を拡大させなければならない。

民主党はマクロ経済政策の自由度を確保しておくべきである。「サンデープロジェクト」のようなさもしい番組から制約を受けることを確実に排除しておかなければならない。

サンデープロジェクトでは民主党の長妻昭議員が自民党の財源の不明確さを指摘すると、田原氏が「まずは民主党から」と述べて、民主党の財源問題を論じ、結局そのまま時間切れになった。初めから自民党の財源問題を論議する考えがないのだ。

番組が約束した「かんぽの宿」徹底検証も何の説明もなく反故にされたままだ。

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8月30日の投票日まで、御用メディアの民主党攻撃が続く。政権交代を希求する主権者である国民は、メディアの偏向報道に左右されずに、必ず投票所に足を運び、政権交代推進勢力に1票を投じるべきである。

御用メディアが地方首長を頻繁に出演させているのは、渡辺喜美氏新党に最後の望みをつなぎたいからであると考えられる。このグループと渡辺喜美氏新党とを連結させて、民主党に向かう投票を減少させようと考えているのだと思われる。

道州制は地方分権の決定打でない。道州が新たに創設されれば、屋上屋が形成されるだけである。日本のような狭い国土で、道州制を導入する意味はない。国と地方基礎団体の二層構造を目指すべきである。

基礎自治体は40万人程度の人口を必要とするだろう。数百人から2、3万人の自治体にすべての機能を求めるのは無理がある。人口40万人を目安に基礎自治体を300程度に再編成するべきだ。40万人の人口を擁すれば、それぞれの基礎自治体に行政機能の全体を委ねられ、委ねるべきである。

地方分権の論議は民主党が先行している。地方分権を論じるなら、民主党案をベースにするべきところ、橋下氏などが地方分権を言いだしているのは、民主党に地方分権の主導権を持たせないためである。橋下氏がテレビのバラエティー番組に出て騒いでいるころから、民主党は地方分権論議を詰めているのだ。

総選挙に向けて不安が残るが、「無血市民革命」実現を目指す主権者である国民が力を合わせて、何としても政権交代を実現しなければならない。

繰り返しになるが、

官僚のための政治

大資本のための政治

外国資本のための政治

を排除して、

「国民のための政治」

を樹立することが、政権交代を実現する最大の目的である。

 政権交代が実現しても、それはゴールではない。スタートだ。

 「国民のための政治」を確立してゆかねばならない。

 この点で、民主党が「政治献金全面禁止」提案に踏み切った意味は極めて大きい。

 「企業献金全面禁止」については鬼頭栄美子弁護士が素晴らしい論考を示して下さった。さらに、「神州の泉」主宰者の高橋博彦氏が繰り返し、ブログで説得力のある論考を示して下さった。

 7月28日付記事

「「企業献金全面禁止論」の理論基盤が確立された」

に記述したように、私は民主党の小沢一郎前代表秘書が不当逮捕された本年3月3日以降、本ブログで繰り返し、「企業献金全面禁止」の提案を示してきた。

3月6日
「国策捜査と情報操作がまかり通る暗黒国家日本」

3月11日
「既得権益勢力VSレジスタンス戦線の激闘」

3月15日
「国策捜査・選挙妨害の裏は「かんぽの宿」疑惑つぶし」

に、その主張を記述した。

 私がこの提案を示したあとで、民主党小沢代表が3月17日の記者会見において企業献金全面禁止の提案を示した。私の提案を受けていただけたのなら光栄である。

 本ブログでは、その後、

3月18日
「小沢一郎代表続投による政権交代実現を期待」

に小沢代表による「企業献金全面禁止提案」への賛意を示し、

3月22日
「「企業献金全面禁止」の是非が総選挙最重要争点に」

に、個人的見解を要約して示した。

 企業との関係が民主党中心の政権における最大の懸念要因であった。小沢前代表の秘書逮捕をきっかけにして、民主党が企業献金全面禁止に舵を切ったことは非常に意義深いことだった。

 政権交代を実現して「国民のための政府」を樹立する。これが、次期総選挙の課題である。本ブログでは、これまでの提言を本ブログで繰り返し掲載させていただく。「悪徳ペンタゴン」の攻撃をかわして、何としても政権交代を実現しなければならない。最後の一瞬まで気を抜いてはならない。

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2009年8月 1日 (土)

各党マニフェストを比較する報道番組の偏向

8月1日放送の「サタデーずばっと!」と読売テレビの「ウェークアッププラス」。私は以前、いずれの番組にもレギュラーとして出演していたが、番組の質の劣化にとまどうばかりだ。

6党から国会議員が出演し、討論が行なわれたが、MCのみのもんた氏がフリップを使用して、民主党の鳩山由紀夫代表がマニフェストの内容を一部追加する方針を示したことと、インド洋での自衛隊の活動についての鳩山代表見解について、問いただしていた。

6党の討論であるから、この点について、自公から質問が出るなら理解できるが、司会者のみの氏がフリップを使って追及するのは不当である。番組コメンテーターの岩見隆夫氏も一緒になって自民党に加勢していた。鳩山氏発言を問題にするなら、なぜ高齢者の尊厳を損なう麻生首相発言を取り上げないのか。

岩見氏の発言の劣化も激しい。民主党や民主党の小沢一郎前代表に個人的な恨みがあるように見える。

メディアが一知事にすぎない橋下徹氏を祭り上げて、橋下氏をのさばらせるから歪んだことが生じる。国政に関しては橋下氏も一国民にすぎない。橋下氏が日本の元首でもないのに、各政党の政策の評価をいちいち橋下氏に聞くことがおかしいのだ。

「悪徳ペンタゴン」が、自分たちの利権を守るために、橋下氏をてなずけて、メディアに頻繁に登場させることによって利用しようとしているだけだろう。東国原氏も中田宏氏も同じだ。共通していることは、これらの人物たちがそろって、ぎらぎらの野心を持っていることだ。お互いに利害を利用し合っているのだと考えられる。

「ウェークアッププラス」の質的劣化は悲惨な段階に至っている。MCの辛坊氏の個性が番組に反映されており、偏向がはなはだしい。

8月1日放送では、驚くことに「無責任男」代表の中田宏氏と竹中平蔵氏が同席し、中田氏の無責任辞任について、竹中氏が全面擁護するという、吉本のお笑い漫才のようなトークを炸裂させていた。

竹中氏も6年が任期の参議院議員の公職をわずか2年余りで無責任に放り出した。中田氏は来年春までの任期を半年以上も残して市長職を放り出した。このような「無責任男」を番組コメンテーターに起用している点に、テレビ局の堕落が象徴的に示されている。

中田氏は市長の4月就任はすでに編成された予算を執行することになるので、秋に市長を選出すべきだと述べていたが、中田氏は7年間の市長在任中に、自治体首長選の時期を秋に統一すべきだとの主張を展開し、その実現に向けて取り組んだのか。その場しのぎの自己正当化の理屈を並べても通用しない。

かねて、この時期での辞任を決めていたのなら、あらかじめその方針を示しておくべきだったはずだ。市長選を実施するのであれば、候補者を擁立しなければならない。突然の辞任発表は政治に混乱を与えることになる。

民主党は中田氏とは無縁の、人格、見識に優れた候補者を擁立するべきである。「無責任男」の影響力を完全に排除することが、横浜市長選の最優先の課題になる。

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番組では、唯一、江川紹子氏が正論を吐いていたが、非常に遠慮がちに発言していた。思ったことをそのまま発言すれば、すぐにコメンテーター職を解かれることになるのだろう。

番組では、各党のマニフェストが比較検討されたが、説明に経った橋本五郎氏が、歪んだ偏向解説を示していた。

橋本氏が強調したのは以下の二点である。

①幼児教育や高校授業料の無償化など、「無償化」が今回の各党マニフェストに共通して見られる政策である。これに対して、自民党は消費税を打ち出した。他方、民主党などの野党は増税を行なわない、増税に反対としている。この違いをどう見るかが第一のポイントだ。

②子育て手当は子どもにお小遣いをあげるという話。それじゃあ、お父さんの給料はどうかというと、これが減っている。お父さんの給料を増やすには「成長戦略」が必要だが、「成長戦略」について、各党はどのような考えを示しているか。

この二つの論点の設定は、自民党の主張そのものである。TBSの岩見隆夫氏も読売の橋本五郎氏も、テレビで自民党の代弁をしているだけなのだ。

①の点について言えば、新規施策をどう設定し、その財源をどのように調達するのかが問われる。新規施策の規模は、自民党が「小」で民主党が「大」である。これに対して財源は、自民党が「消費税大増税」で民主党が「天下り根絶など無駄の排除」である。

橋本氏の説明では、「国民に国費を投入する政策を打つのは共通しているが、自民党が財源を用意しているのに野党は財源を用意していない」との話になってしまう。

②の「成長戦略」について、橋本氏は自民党の政策には「成長戦略」があるが、民主党の政策には「成長戦略」がないと勘違いしているのかも知れないが、まったく違う。

自民党の政策は、経団連企業に国費をばらまくだけで、成長が誘導されるようなものでない。エコカー、エコポイントなどは、倒産しそうな経団連企業が潤うように、消費者の購買活動を前倒しさせる補助金をばらまいただけのものである。

家計の可処分所得を増加させ、国民の自由な選択に基づいて決定される個人消費増大によって需要が増大する企業の成長を誘導することが、最も効率的な「成長戦略」になる。

メディアの自民党支援が激しい。渡辺喜美氏は政治活動のグループを結成し、その延長上に新党を結成する見込みである。この政治活動グループに所属する人物は総選挙期間に入った以上、番組への出演を排除しなければならない。屋山太郎氏、吉崎達彦氏、八代英樹氏などは中立の存在でないことを報道各局は確認しなければならない。

8月30日の投票日まで、情報操作活動が継続される。マスメディア情報の偏向を指摘して、主権者である国民に真実の情報を伝えてゆかねばならない。

「悪徳ペンタゴン」の最終兵器は「偽装新党CHANGE」である。「地方分権」や「霞が関改革」の装いをこらした、「悪徳ペンタゴン」延命を目的とするグループである。「道州制」も国、都道府県の間に新たに中間組織を作る話で、行革に逆行する。

民主党は「偽装新党CHANGE」に近付き過ぎてはならない。この勢力は総選挙後の「大連立」を狙っている。結局は、国民の手から「悪徳ペンタゴン」の手元に権力を引き戻そうとするだけなのだ。

野党勢力による本格政権交代によってしか国民が主人公である、国民の生活を第一にする政権は樹立されない。この点を浸透させなければならない。

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«財源だけでなく具体策もない自民マニフェスト