3日午前9時ごろ、東京都港区西新橋1の鈴木芳江さん(78)方の近くを通った人から「包丁を持った男と女がけんかしている」と110番があった。警視庁愛宕署員が駆け付けると、住宅内で鈴木さんと、同居する孫で耳かきエステ店従業員、江尻美保さん(21)が血を流して倒れていた。2人は病院に搬送されたが鈴木さんは間もなく死亡、江尻さんは意識不明の重体。室内にいた男が「自分が刺した」と認めたため、愛宕署は殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。
愛宕署によると逮捕されたのは千葉市美浜区幸町2、会社員、林貢二(こうじ)容疑者(41)。逮捕容疑は同8時55分ごろ、室内で鈴木さんと江尻さんの首などを、持っていたナイフのようなもので刺したとしている。愛宕署の調べに「殺すために来た。最初に応対に出た女性では話にならなかったので、2階に上がって刺した」と供述し容疑を認めているという。
林容疑者は江尻さんが勤める耳かきエステ店の客で、偽名を使って通っていたという。江尻さんは7月19日午後11時ごろ、自宅近くから「勤務先の客の男につきまとわれている。今日も家の近くに来ている」と110番した。署員が駆け付けたが男の姿はなかったため、異常があれば至急連絡するように伝えて引き揚げたという。
愛宕署の調べでは、林容疑者は最初に応対に出た鈴木さんを1階で刺し、2階に上がって江尻さんを刺したとみられる。2人には首を中心に複数の刺し傷があり、室内から血の付いた複数の刃物が見つかった。鈴木さん方は5人暮らしで、当時、自宅に他に家族2人がいたが無事だった。
現場は東京メトロ銀座線虎ノ門駅の南東約300メートルの繁華街。【古関俊樹、神澤龍二】
毎日新聞 2009年8月3日 東京夕刊