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【ドラニュース】


ブラ、来日初サヨナラ弾

2009年7月11日 紙面から

中日−広島 10回裏1死一、二塁、ブランコが左中間にサヨナラとなる24号3ランを放つ=ナゴヤドームで(谷沢昇司撮影)

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 これぞ4番−。10日の広島戦(ナゴヤドーム)、0−0のスコアレスで迎えた10回、1死一、二塁で、ブランコが左中間スタンドにライナーで突き刺すサヨナラ24号3ラン。ホームラン王争いを独走する主砲のひと振りで、中日が3連戦の初戦をもぎとった。

 一瞬でナゴヤドームが興奮のるつぼと化した。広島・林のシュートを完ぺきにとらえた。そして確信した。バットを高々と放り投げるお得意のポーズをとってゆっくりと走り出したころ、打球は低い弾道で左中間スタンドへ突き刺さった。延長10回、勝負を決めたのはやはり主砲だ。

 「きのう、おとといは少し考えすぎていた。きょうは思い切っていこうと思っていた」。お立ち台から誇らしげにファンに手を振った。

 サヨナラの場面、1死二塁から広島ベンチは森野を敬遠で歩かせ、ブランコとの勝負を選択。4番として力が入っても不思議ではないはずだが、ブランコは冷静だった。

 「きっとダブルプレーを狙って内角を攻めてくる。後ろにはいい打者がいる。少なくともフライを打って、ゲッツーにならないようにしよう」。内角を意識し、ゴロだけは打たないと決めていた。

 状況に合わせてバットも変えていた。手にしたのは普段よりやや軽めのタイプ。「延長に入って疲れていたし、ゲッツーにならないように内側からバットを出すには、軽いバットの方がいいと思ったんだ」

 その読みのすべてが当たった。2球目、内角低めへ沈むシュートをすくい上げた。6試合ぶりとなる劇的なサヨナラ3ランは、パワーとクレバーな頭脳の結晶だった。

 努力も実を結んだ。10日は東京から名古屋へ移動し試合に臨むというハードな一日だったが、ブランコは試合前にあえて早出特打を敢行。全体練習が始まる前に約20分、黙々とバットを振り続けた。「力強く振れていなかったし、左足をホーム側に踏み込み過ぎていると感じた。チェックポイントがいくつかあった」

 前夜はよく眠れなかったという。ベッドに入っても野球のことが頭に浮かんだ。気持ちを静めるように聖書に目を通し、ようやく眠りについたのが午前4時ごろ。睡眠不足と移動で「疲れていた」のが本音だった。それでも、必要と感じた練習は怠らないのがブランコ流。石嶺打撃コーチが「こんな外国人は本当に珍しいよ」と目を細めたその数時間後、早速“ご褒美”が待っていた。

 リーグトップをひた走るホームランと打点はそれぞれ「24」と「65」に伸びた。2冠王ブランコのひと振りで眼下の敵・広島を粉砕し、神宮で喫した連敗の悪夢を払しょく。首位巨人追撃へ、再スパートの灯がともった。 (木村尚公)

◆シーズン2度のサヨナラ打は中日外国人23年ぶり

 ブランコのサヨナラ打は5月16日の横浜戦で山口から右前打を放って以来2度目。中日でシーズン2度のサヨナラ打は06年の立浪以来で、外国人となると86年のゲーリー(本塁打2本)以来23年ぶりだ。殊勲安打(先制、同点、逆転勝ち越し、サヨナラ)はこれで22本目となり、セ・リーグトップに。今季本塁打は24本だが、そのうち殊勲本塁打は16本でこちらもリーグ1位。内訳は先制9本、同点3本、逆転勝ち越し3本、サヨナラ1本と価値ある一発が多い。

 

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