ある警察官と大学生について話をする機会があった。彼は「最近の大学生は自己を律する意識が低い」と言う▼学生時代の自分が聞いたら、きっと「そんな大学生ばかりじゃない」と反論していたと思う。しかし今、その警察官の言葉を借りれば、大学生がかかわる事件の原因を分析するのに便利な考え方だとも感じる▼事件報道で、容疑者や被害者がどんな人か伝えることは重要だ。ただ、職業や年齢ばかり目がいって「思い込み」が生まれるのは怖い。その人が、なぜそんな事案にかかわるようになったのか、丁寧に取材したい。それを伝えることが、事件の記事を書く意味のひとつだと思うからだ。【成田有佳】
毎日新聞 2009年8月4日 地方版