闘いに飢えた亀田家の長男に、ようやく世界へ再び羽ばたく舞台が用意された。興毅はこの日、所属する亀田ジムの五十嵐紀行会長(34)と都内で会見。今年3月以来、約半年ぶりの実戦が決まり、不安よりも自信をあらわにした。
「何やかんやいうて、こんなに日にちが空いてしもうた。リングの上でいい結果を出せるようにがんばるだけや」
マネジメント権をめぐって、2人のマネジャーの間で二重契約が発覚したデンカオセーンは、6月に予定されていた興毅とのタイトル戦を回避。5月に母国で久高寛之(24)=仲里ATSUMI=との初防衛戦を敢行した。亀田ジムはその後も王者と交渉を重ねたが合意には至らず。興毅の試合間隔が空いていることも考慮し、世界前哨戦を挟むことにした。
デンカオセーンへの挑戦を常に想定していた興毅は、スパーリングを順調にこなし、体重も維持している。試合が組まれない状況に、「正直、何やねんと思った」。悔しさを胸に秘め、同じ左利きの世界王者の映像を見て研究を続けた。特に4階級制覇を果たしたフィリピンの英雄、マニー・パッキャオ(30)に心酔しており、「同じアジア人としてすごい」と刺激を受けた。
「2階級制覇の自信はあるよ。年内に挑戦できる。せやないとおれのモチベーションが落ちてまう」。06年に奪取したWBA世界Lフライ級王座に続く2つ目のベルト獲得へ、半年間の沈黙を破る“浪速の闘拳”が進化した姿を披露する。(江坂勇始)