〈激白ルポ〉別れませんから! 妻が家を出ていかない、本当の事情(1)婦人公論8月 3日(月) 22時 5分配信 / エンターテインメント - エンタメ総合世間に大不況の嵐が吹き荒れる最中、ヒロミさん(57歳)が今日も一夜を明かす某女性用高級スパは、平日の深夜だというのに驚くほど賑わっていた。 入浴料や館内着・タオルの貸出料を含む「入館料」が約2700円、深夜3時を過ぎると、これに約1700円が加算される。風呂上りにビールを飲んだり、小腹が空いたとちょっとつまめば、プラス3000円ほど。さらにマッサージやエステ、あかすり、岩盤浴など、豊富なオプションサービスを利用すれば、出費はひと晩で1万円を超える。 この高級スパへ週に4、5日は来て、朝まで過ごすというヒロミさん。子供たちは数年前に独立、自営業の夫とふたり暮らしの自宅は、ここから電車で一駅。悠々自適の専業主婦生活を謳歌できるはずの彼女が、なぜ週の半分以上も高級スパで夜明かししているのだろう。 「そりゃーあなた、『お風呂が大好き』だからよ(笑)。ここは設備もいいし、食事もおいしいしね。そう言うと周囲もダンナも納得するでしょ。でもこれ、半分は本当だけど、残りの半分は、家でダンナと顔を突き合わせていたくないから」 10年以上、夫とは会話らしい会話をしていない。なのに、自分が家にいると「ビール!」だの、「オレの着替えは?」だのと雑用を言いつけてくるから、うっとうしくてたまらない。とは言っても、無視するわけにもいかないし……。ヒロミさんはそうグチったあと、明るくこう続けた。 「ここに来れば、嫌いなダンナの顔を見なくてすむし、常連の女友達とおしゃべりできて、楽しいわ〜。あくまで『お風呂』だから、朝までいても『家出』じゃないし、女湯に男は入れないんだから、飲み屋なんかにいるのとは違って、浮気してるとあらぬ疑いをかけられようもないでしょ。ホント、パラダイス(笑)」 夕飯前にやってきて、閉館時間の朝9時まで過ごす。スパを出て家に着くころには、もう夫は仕事に出かけているので、顔を合わせる心配もない。確信犯的な“お気楽朝帰り”だ。 「ダンナが女子大生の愛人を囲っていたことが発覚したのは、私が47歳のとき。毎月お手当を渡すだけじゃなくて、マンションまで借りてやってた。当時? もちろん修羅場よぉ。興信所に調査を頼んで、弁護士頼んで愛人の親まで巻き込んで、慰謝料だ! 離婚だ! と大騒ぎ。 結局、ダンナに土下座させて、手を打ったけど。ちょうど更年期が始まっちゃって、体も心も調子が最悪だったわね。ダンナの顔を見るだけで頭痛がしたり、動悸が速くなったり。そんなとき友達にレディス・サウナに誘われて、一発でハマっちゃった。常連仲間にもそういう人、多いのよ」 そう話すヒロミさんは、すっぴんなのにお肌はツヤピカ。リッチで陽気、幸せな奥様にしか見えない彼女に、そんな裏事情があると誰が思うだろう。 それとも、この館内にひしめく女性たちの何割かは、彼女と似たような事情の持ち主なんだろうか。 なんだかここが、余裕ある奥様たちの「高級駆け込み寺」、「リッチなシェルター」に思えてきた。 (2)に続く 取材・文◎若尾淳子 【関連情報】 ・ 『婦人公論』2009年6月22日号目次
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