(cache) 裁判員裁判・検察側冒頭陳述要旨 - 47NEWS(よんななニュース)
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  • 裁判員裁判・検察側冒頭陳述要旨  

     東京地裁で3日開かれた裁判員裁判初公判で、検察側による冒頭陳述の要旨は次の通り。

     【犯行に至る経緯】

     被害者は女手ひとつで男の子2人を育て上げ、マッサージ師として働きながら高齢のお母さんの面倒も見ていた。被告は以前は廃品回収などをしていたが、現在は無職で生活保護を受け一人で暮らしていた。

     被害者と被告は幅約2・3メートルの路地を挟んで斜め向かいの家に住んでいた。被告は数年前から、被害者が路地に植木鉢やオートバイを置くため、通行の邪魔だと思っていた。また、被告は自宅敷地内に置いたネコよけのペットボトルが倒れているのを見て、被害者がオートバイを方向転換させる時に倒しているのではないかと思っていた。

     被告は直接被害者に文句を言ったことがあったが、逆に被害者から言い返され、怒りを覚えた。被告は近所の人から、年下の女に怒鳴られても逃げ帰ったと思われていると考え、悔しくて被害者の顔も見たくないと思うほど嫌っていた。

     【犯行状況】

     被告は犯行前日に競馬で負け、やけになって焼酎を飲み、犯行当日も焼酎の水割りを2杯飲んだ。被告がペットボトルを倒したら直しておくよう被害者に言ったところ、被害者が倒していないと言い返したことから路上で口論となった。

     被告はサバイバルナイフで脅せば、被害者が怖がって逃げるか謝るのではないかと考え、自宅に戻り、玄関の道具入れからナイフを取り出した。被害者のところに戻り、ナイフを見せたが、被害者はひるまなかった。引っ込みがつかなくなり、これまでの積もり積もった不満が爆発し、被害者を刺すしかないと考えた。この時に被害者に対する殺意が発生した。

     被告は5月1日午前11時50分ごろ、被害者の自宅前の路上で右手に持ったナイフを突き出し、手加減せずに被害者の胸を突き刺した。続けて左胸、肩、背中などを計5回以上突き刺した。その後もナイフを持ったまま、逃げる被害者を追いかけた。被害者を刺して追いかけるまでの間「ぶっ殺す」と数回言った。

     被害者は被害に遭った場所から約60メートル離れた民家の前まで逃げ、座り込んでいたところを救急車で病院に運ばれたが、約3時間後に死亡した。

     被害者は胸や背中などに全部で8カ所の傷を負ったが、直接の死因は左胸と背中の刺し傷だった。左胸の刺し傷が、心臓と肺へ血液を送る血管との「つなぎめ」の部分を傷つけた。また、背中の刺し傷が肋骨の間の動脈と大動脈を傷つけた。それらにより出血性ショックで亡くなった。出血性ショックは急激な出血により血圧、体温の低下、意識障害などを起こし、脳や心臓などの機能が障害され、死に至る。

     【殺意の存在、内容】

     被告に被害者に対する殺意があったことについて検察官と弁護人との間に争いはないが、殺意の内容については争いがある。殺意は「絶対に殺してやる」という強いものから「ひょっとしたら死ぬかも知れない」という弱いものまで濃淡がある概念だ。殺意がどの程度のものだったかは殺意を裏付けるさまざまな具体的事実により判断される。被告は「ほぼ確実に死ぬ危険な行為と分かって行った」もので、強い殺意があった。

     【殺意を裏付ける事実】

     (1)凶器の形状(2)傷の位置や程度、傷の数(3)犯行態様(4)殺害動機があること(5)犯行時の言動―の五つを「殺意を裏付ける事実」として立証する。

     (1)~(4)の事実は弁護人も争っていないが、(5)犯行時の言動は争いがある。被告は被害者を刺す場面や追いかける場面で「ぶっ殺す」と数回言い、ナイフを持ったまま逃げる被害者を追いかけたが、被告も弁護人もこのような事実を否定している。(検察側は)近所に住む2人の証人尋問で立証する。弁護人が争わない被害者の傷の位置なども証拠により立証する。

     【考慮すべき情状】

     刑を決めるに当たり考慮してもらいたい特に重要な情状として(1)犯行態様が執拗かつ残忍(2)被害者を死亡させており重大な結果を生じさせた(3)動機が短絡的で酌量の余地が少ない(4)被害者の遺族の処罰を求める感情が極めて厳しい(5)被告の規範意識が極めて低い―ことがある。(1)~(4)は遺族の供述や証言で立証し、(5)は被告の身上に関する供述調書などで立証する。

      【共同通信】
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