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誰か介護してくれる方がいれば、まだマシです
先月末辺りから分娩少なく仕事が楽だ。なんて日記に書いたからであろうか、昨夜はまず晩酌?前に救急外来より呼び出しが一件、次いで深夜に陣発が入り、丑三つ時に起こされ分娩出動を要した。
週末にあまり運動しなかったせいもあり、その後の2度寝には失敗。熟睡感が得られぬまま朝を迎える。
と言う訳で今日は久しぶりの寝不足外来となった。とはいえ午後に手術は無いから寝不足手術は免れる。多少の昼寝タイムを得て夕方には体調回復できそうだ。
さて今日は予約診察で固めた月曜日で、妊婦健診の方に混じり多くのガン患者さんも受診される。ガン患者さんは当然お年寄りの方が多い。足腰が弱く受診通院が大変な方も多い。
そういう方に、特別な検査や手術の為、都市部大病院の受診を勧めても、そう簡単に移動できない。自宅傍のバス停までも大変な思いをして移動しているのに、名古屋や岐阜まで診療受けに行けといっても無理な話だ。
どなたか家族の方に都市部大病院まで連れていって貰う様に勧めても、介助してくれる身寄りの方がいなければどうにもならない。それではガン治療の説明の為にどなたかご家族を呼んでと言っても、近親者がいなかったり、家族が皆遠くに住んでいれば、誰も家族は来てくれない。可哀想な話だが、今そういう寂しい病気持ち独居老人の方が増えている。
さすがに亡くなられるまで、誰も来てくれなかったという無縁ガン患者さんの方はみえないが、その寸前の方は多い。特に女性は男性より長生きするので、夫に先に逝かれて、その後一人暮らしという方は多いのだ。
そしてそういう方は人生の終末期?で十分な治療を受けれない場合が多い気がする。
さてさて今世間では、結婚しない方の割合が急速に増えていると言う。そういう方は大抵子供もいない訳で、年取って亡くなられる時には、身寄りがいない状態になるのだろう。
人間年取れば確実に病気になる。誰か他の人に助けてもらわなければ生きていけない状態に必ずなる。それを思うとやはり人間は誰かと一緒に支えあって生きていた方が良いと思う。
身寄りが全くいない方を、地域社会で面倒見ると言っても限界がある。これから少子高齢化が進み、世の中独居老人ばかりになったら、日本はどうなっちゃうんだろうか? 貯金が幾らあっても最後に必要なのは近親者なのだとシミジミ思う。 |
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雨ばかりの大会でした
今週末は北陸東海各地域からのサッカー少年を高山に迎え、JC杯という高山市サッカー連盟主催の少年サッカー大会が開かれていた。例年ならば夏真っ盛りの大会で暑い事ばかり印象に残る大会なのだが、今年はあろう事か大会期間中3日間とも雨ばかりの大会となる。
時々大雨警報も発令される中での試合が続き、グラウンドコンディションもかなり悪い。もし登山や野球なら当然中止になるだろうが、なぜかサッカーは雷が鳴らない限り試合するのが原則だ。
という訳で、この金土日の3日間は、子供達は毎日びしょ濡れ泥だらけでの大会を満喫する事となった。
とはいえ子供達も泥と雨だらけの大会で大変だったろうが、もっと大変だったのは、受け入れ親さん方と、大会準備運営に当たった大会裏方さん方だろう。
僕は裏方としてほとんど碌な仕事をしなかったが、当番役員に当たった方々は、びしょびしょ泥だらけのテント手配片付けから弁当準備まで、とにかく色々と大変だ。いつも楽させてもらっている僕は全くもって頭が上がらない。
そんな中でせめてもの償いでもないが、僕もホームステイの子供達のお相手とか、受け入れサッカーチームの子供達をまとめて温泉、食事に引率したりとかして、週末登山なんかには行かず、真面目?に過ごした。
温泉の中で走り回る賑やかな子供達を注意しながらも、ついでにビール飲んでまったりしたりする。
この週末は代務の先生もいなかったが、病院がとても落ち着いてくれていたのはラッキーだった。僕は病院から呼び出される事もほとんど無く、ある意味平和すぎる週末だった。
雨ばかりの中のサッカー大会で、大変な思いをした裏方親さん方には申し訳ない気持ちがする。
水溜りの中の大会でした

夜は子供達はジュース飲み放題。引率親さんらはビールで乾杯
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アッチ立てればコッチ立たずで・・
分娩が40件を軽く越えた7月が過ぎ、先週後半辺りから比較的業務が落ち着いてきてくれている。
昨日も割りと早く仕事を終える事が出来た。そういう時にタイミング良く病棟では毎夏恒例ビアガーデン納涼飲み会が企画されていた。やっと本格的?な夏の暑さが来たところで、僕も楽しく皆と寝不足無しでビールを飲もうと思う。
とはいえ今週末は高山市サッカー協会主催の少年サッカー大会がある。もともと僕は大したお手伝いをしていないのだが、自宅が石川県白山市から来るサッカー少年のホームステイ受け入れ先になっていた。
別に少年達の受け入れで、僕が家にいなければいけない理由は無い。とはいえ子供達をお風呂に連れて行ったり、夜の花火等の家庭内イベントのお手伝いを多少はしなければならない。
と言う訳で病棟のイベントを取るか、家庭内のイベントを取るか少し迷う。
別にビールは家でも飲めるし、飲み会で焼肉食べてリバウンド中の身体を更に太らせてもいかん。そういう事で気持ち合理化させ、ビアガーデンの方はあきらめた。
帰宅してからまず真っ黒に日焼けしたサッカー少年達を、丹生川恵比寿の湯に連れて行く。更に暗くなってから、子供達は花火とスイカ、僕は家呑みビールで過ごした。
花火では心に火が付いた子供達を制御できず、なぜか線香花火で火傷させたりする。「こんな事なら飲み会に行けばよかったのに」という、家人からの指摘を受け心傷つく。
さて今日は代務医のいない休日だ。とはいえ今の所分娩も無く平和な土曜日である。このままだと雨降りサッカー観戦と軽い仕事で楽に過ごす事が出来るだろう。
病棟の看護師さんからは「昨夜は先生がいなくて寂しかったわ」と、見え見えのお世辞を言われ、花火で傷ついた心を少し癒されたりもする。
三男はギブスの代わりにサポーター巻いて、走ってました
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一人が一人を支えている時代
昨夜もきちんと朝まで眠れた。この数日間は分娩手術共に少なく、比較的楽な業務で済んでいる。
今朝も外来を始める寸前くらいの時刻に分娩が一件あったが、問題ない安産で睡眠時間や業務に何の影響も無かった。今日は午後の手術も無いし、上手く行けば子供のサッカー大会に間に合うくらいの時刻に、仕事引ける事が出来るかもしれない。
さて話は変わり、僕は家では何時もニュースしか見ない人間だ。
たまにニュース番組の無い午後8時台に他の番組を見る事もあるが、ドラマとかバラエティーはまず見ない。子供にはくだらない?バラエティー番組を見ていると頭が腐るぞと話している。
幾つものニュース番組をハシゴして、最後にたいていNEWSJAPANかNEWSZEROを見てから寝る。さてNEWSJAPANの顔と言えば何と言っても滝川クリステルな訳だが、もう一人のキャスター松本方哉が最近ほとんどテレビに出なくなっていた。
なかなか渋いキャスターなのだが、滝川クリステルがいれば、いてもいなくても良い存在なのかな??なんて思ったりもする。ところが実際はそうではなくて、どうも家族の介護に専念するため、自らキャスターを降板したらしい。
いくら滝川クリステルの横に座ってるインテリおじさん役?だったとはいえ、ニュースキャスターといえばかなり世間に影響力ある存在だ。
世の中には介護のプロの方が沢山いる。そういう介護を職業としている方に介護を任せられない特別な思いが、何かあったのかもしれない。キャスターの職よりも家族の介護を優先させる選択を、悪いというつもりはもちろん無い。
しかし僕はここで、どうしても不安に思う事がある。これから先日本は、少子高齢化が更に進む。
社会と言うのは健常者が弱者を支える事で出来ている。ところがこれから先社会を支える人の人数は確実に減る。そして支えてもらう人の人数は増える一方だ。これは間違いない現実で、そうなれば確実に社会は疲弊する。
これは今日本の抱える確実で、かつ最も身近な危機だと僕は思っている。
それを少しでも防ぐにはまず第一に子供の数を増やす事で、これが急務な訳だが、残念ながら子供の数は急には増えない。
そしてたとえ子供が少し増えても、子供は急に大人にならない。20歳成人がたとえ18歳成人に変わったとしても、少子高齢化の構造が変わる訳では無い。
だから次に大事な事は、上手に健常者が弱者を支えれる社会を作る事にあると思う。
誰か介護が必要な方が身近にいても、その人が問題なく自分の職業を続けれる社会の態勢を作ることが大事だ。
これは医療者がどうやってどの程度まできちんとお年寄りうや患者さんの面倒を見るかという問題もあるが、それはおいといてとにかく、介護の為に家族に過度の負担をかけてはいけない。
介護でその家族が仕事できなくしてはいけないのだ。これは僕が病院で働いていて良く思う事でもある。
だからニュースキャスターという世間に影響力ある職業の方が、介護の為に仕事を辞めるという事を知って、僕はなんとなく不安な気持ちになった。介護の為に仕事を辞めるというのが、世間のトレンドになったら、すぐに日本は先行き立たなくなるだろう。 |
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冷たすぎる親ですか
昨日の仕事は早めに一段落ついた。やや心配な促進経過中の方が残ったが、深夜になる前には多分お産になるだろう。
帰宅後のビールをまずは我慢して、夜のフットサル練習に出かける。こういう時に身体動かして、エベレスト後のパフォーマンスを少しでも維持しておかなければならない。
ちょうど三男のサッカー練習も同じ場所で行われるので、一緒に連れて行く事にする。三男は今、腕を骨折してサッカー練習は封印中だ。それでも簡単な基礎トレーニングくらいなら出来る。
大雨降る中ビックアリーナに向け、車を走らせた。ところがちょうど病院前を走っている時に、呼び出し電話が鳴った。促進中の方が意外に早く分娩に至ったらしい。分娩はとある理由で要注意分娩だから、後回しになんてできない。
早く体育館に行きたい三男を我慢させ医局に待たせておき、僕は分娩室で仕事に入った。要注意事項もきちんとクリアして仕事を済まし、ポツンと待たせておいた三男をピックアップし再度ビックアリーナに向かう。
練習時刻に遅れそうだと三男は心配そうだが、「産婦人科医の息子はそんなものだ」と意味の無い言葉をかける。
ビックアリーナにはほとんどギリギリの時間に間に合い、僕は病院のフットサル試合と親子サッカー、三男は基礎練習をそれなりにする事が出来た。
帰宅後はロング缶2本飲んで、乾いた身体を潤して朝まで眠る。病棟からややつまらない?問い合わせ電話が入り、ビールを床にこぼしてしまったが、だからどうと言う事は無い。十分幸せな夜だ。
さてさて一晩明けて今朝になり、三男と今度は自転車で病院に向かった。
三男には明日からサッカー大会JC杯がある。今日の内にギブスはずして貰わなければ、明日からの試合には出れない。まだギブス外すにはちと早いという話もあったが、「骨折したって死にはしない」とこれまた愛情無い?言葉がけをして、ギブス外すために整形外科受診させた。
子供を整形外科の待合室にこれまたポツンと置くと、「後は自分で説明しろよ」と申し渡し、僕はとっとこ産婦人科の外来業務に入った。本当にギブスを外して良いのかと、心配してくれた整形スタッフ各位から連絡を受けたりする。
その後ギブスを取った三男は一人で、産婦人科の待合にトコトコ入ってきて、「お父さんの仕事場は女の人ばかりで、恥ずかしいねえ」と感想を漏らしていた。もちろん後は一人で帰らせる。
産婦人科医という職業は家族に不義理が当たり前の職業だ。これは周囲産婦人科医を見てもそう思う。しかも僕は平気で子供をほったらかす?冷たい親でもある。
子供はそんな僕を見て将来産婦人科医になるという選択をするのだろうか?親が普通のサラリーマンだった僕には、今の段階でまだ想像もできなかったりする。
しかも子供よりサッカー下手です
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へき地って何処?
昨夜もきちんと朝まで眠れた。今日はペーパーワークで固めた水曜日で、比較的業務は楽にしてある。とある理由でやや心配な破水入院とか、急患さんの受診も多いが、今のところは楽に推移している。
農耕民族の性として「雨が降る日は眠いよー」なんて言いながら、空いた時間に昼寝などしたりする。
さて話は変わり、今僕のところには、だいたい隔週一回くらいのペースで飛騨保健所から、飛騨圏域へき地(山間部・遠隔地)妊婦支援事業登録者台帳というのが送られてくる。
如何にも長いネーミングがお役所らしいが、要するに病院から離れた僻地?に住む妊婦さん方リストだ。
良く見たら、今回その登録されている方全員が白川村の方であった。確かに高山から見たら白川村は僻地なのだろうなあと思う。しかし僻地という定義は今一つ曖昧な気もする。
僕の所に良く手伝いにきてくれるある産婦人科医は、そのブログで自らの事を、僻地の産婦人科医と名乗っている。
しかし実際にはその方は、僕から見て大都会?在住の産婦人科医だ。その方から見たら僕は、弩級僻地の産婦人科医になるらしい。まあ高山が弩級へき地なら、白川村はさしずめ超弩級僻地と言う事になるのだろう。
さてさてしかし白川村は本当に超弩級僻地だろうか?確かに病院から距離的に遠い。しかし今は高速道路がある。高速道路の除雪は速い。災害にも強いし、そこらの3桁国道より一年通してずっと安全確実な道路だ。
高速が繋がった今、萩町から高山まで30分かからない。岐阜まで2時間、富山まで1時間だ。なお高山からは岐阜まで2時間、富山まで1時間半だから、都会までの距離は今や高山よりも白川村の方がちょっと近い。
例えば白川村から富山医科薬科大病院まで1時間かからない。高山から岐阜大病院までは2時間以上かかる。どの程度の病院を大病院と言うかで異なるが、産科医が沢山いる大病院までの距離は、高山より白川村の方がかえって近いと見た方が現実的だ。
飛騨保健所で僻地妊婦さんのリストを作っていただけるのは、もちろんきっと良い事なのだろう。
お役所さんが何とかして飛騨地域の周産期事情を良くしようと努力してくれている。それはとっても有難い事で、努力に感謝すべきだと僕は思う。しかし何か少し現実とずれている感じがするのは、僕だけの印象だろうか?
東京から見たら名古屋は田舎だし、名古屋から見たら岐阜は田舎だ。岐阜から見たら高山は僻地だし、高山から見たら白川村は僻地となる。何だか「目くそ、鼻くそを笑う」という諺を思い出したが、そこまで書いたら書きすぎでしょうか? |
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天気予報がいけている
昨夜から割りと病棟は落ち着いてくれいている。今日は一日外来の火曜日だが、降り続ける雨のお陰かそれほどは混まず、今のところ珍しく業務順調だ。
さてここのところ日本国中毎日雨が降り続いている。
高山でもこの数日間激しい雨が降ったり止んだりだ。昨夜は特に酷い土砂降りで、大雨洪水警報に土砂災害注意情報まで飛騨北部で出されていた。
防府市では老人ホームが土砂崩れにあったりとか、館林市では竜巻が起きたりとか天災?があちこちで起きている。一説によると今の日本は徐々に熱帯化しているらしいし、そんな中で昔より天気予報の重要性が増している事は明らかだろう。
僕の印象では最近の天気予報は良く当たる。週末の登山の行き先を天気予報で決めるという人はきっと多いだろう。僕もほぼ毎日予報をネットで見るが、最近の天気予報はほとんど間違う事は無い気がする。
昨日のテレビニュースで見たが、とある天気予報会社では館林市で竜巻が起こる事をその一時間前から予想していたらしい。最近の天気予報は雷や竜巻発生までかなり正確に当てるのだ。
これも気象衛星の活用、過去の情報の積み重ね、人間やコンピュータの判断力の向上等で、天気予報業界がハード、ソフト共に大きく進歩したためだと思う。
さてもちろん山の世界では特に、天気予報が重要だ。この春のエベレストでも天気予報の正確さで登頂の成否が分かれたという話を聞いた。不正確な天気予報情報で頂上を目指した英国の隊は登頂を逃したと言う。一方正確な天気予報情報を得ていた日本やアメリカの隊はほとんど登頂に成功している。
大金をつぎ込んでエベレストまで来た以上、最高の天気の下で登頂したい。誤った天気予報で登頂を逃した方は、泣くに泣けない心境だと思う。
今回僕の参加したAGエベレスト登山隊では、その天気情報をメテオテック社から得ていた。そしてそれは驚くほど正確に当たった。何日の何時頃から天気が崩れ出すという予報までピタリと当たる。
お陰で僕等が頂上に向かった時は無風快晴で、おそらく一年で最も登頂しやすい時に僕は頂上に立つ事が出来た。
其の前の悪天周期もピタリと当てたし、悪天のC2から逃げ出す時も、天気が一時持ち直すという情報を得る事で素早く下山できた。遠く日本からエベレストの天気を当てる天気予報技術に僕は正直舌を巻いた。なんでそんなに当たるのかと不思議に思うくらいだ。
さてさて、長期予報によると今年の夏は雨が多いらしい。きっとこれも当たってしまうのだろう。天気予報技術の進歩のみならず天気そのものを変える技術が進歩しないかと思ったりするが、それは甘すぎる観測だろうか。 |
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人生観は変わりましたか
懸念していた週末の出血の方は代務の先生の活躍で落ち着いてくれたらしくホッとする。お陰で僕はこの週末きちんと眠れて、それなりに気持ちリセットは出来た。
とはいえ週初めの外来の最中にも、勝負誘発の方の経過が思わしくないとか、分娩室の方が進行停止状態だとか、もろもろ心配な連絡ばかりで始まる。
とはいえ今日の午前中はまだ代務の先生が病院内にいてくれる。代務の先生が名古屋に帰ってしまう前にできるだけ仕事を片付けよう。というわけで進行停止状態の方は、僕の外来最中に代務先生に出動お願いし、まずは吸引をかけていただく。
続いて昼には勝負誘発の方の緊急手術を決定して、通常なら昼休み?の時間を使い緊急帝王切開とした。今週末もまた色々大変な分娩が多かったが、代務先生の協力の下これで一段落つけれた。
午後からの小手術と外来を済ませ、先ほど病棟回診が終わったがもうクタクタだ。
さて話は変わり昨日日曜の午前中の時間を使い、僕はやっとこの春のエベレストの記録作りを完成させ、HPにUPする事ができた。
ぱっと見直し思い出すだけで、感動が甦る感じだ。しかしゆっくり余韻には浸れない。まだエベレストから帰国して2ヶ月も経ってないのに、もう仕事は従来どおりの綱渡り状態になっている。
この2ヶ月で僕は多くの方から、「エベレストに登った事で何か人生観が変わりましたか?」という類の質問を受けた。中には性格変わって帰ってきてくれ?と願っていた方もいるだろう。
しかしその答えはNOである。世界最高点からの景色を見ても、何かが自分の中で変わったという意識を、残念ながら僕は持てなかった。というよりこの仕事の状況では、変わりたくても変われないというのが正しい答えなのかもしれない。
記録をUPして今感じているのは、大きなプロジェクトが成功裡に終わったという満足感と寂しさだ。
先日日本では46年ぶりの皆既日食があり、多くの方が宇宙のショーに酔いしれた。しかしエベレスト登っても皆既日食見ても、その殆どの方は、従来どおりのルーチンワークの日々にただ戻っていくしかないのは確かだと思う。
エベレスト頂上からの景色です

エベレスト頂上直下、下山中の景色。この時は安全に戻る事をまず考えていた

病院駐車場から部分日食を見ても、何かが変わる訳ではありません
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近い危機と遠い危機
代務の先生がせっかく名古屋から来ていただいているというのに、残念ながら雨の週末となった。とはいえやる事は山ほどあるから、かえってこういう週末の方が有難いとも言える。
というわけで日曜日は午前中に各種連絡業務とエベレスト記録の総仕上げ。午後から松本に出かけ山道具屋巡り兼、多少の家族サービスとした。
松本への行きも帰りも、雨が降ったり止んだりであった。梅雨のしとしと雨という感じではなくて、夏の夕立の様な雨が次々と断続的に襲う感じだ。あちこちで大雨による災害が起きているし、自分の子供の頃と比べて雨の降り方が確かに変わったなあと感じる。これはもちろん地球温暖化が関係している事なのだろう。
今世界中のあちこちで地球温暖化による変化が話題になっている。ニューギニアのジャングルでは雨季も乾季も無くなり、一年中雨季となっていた。世界中の氷河が後退している事も有名な事実だ。梅雨前線が長く日本列島に居座るのも多分地球温暖化が関係している。
そういう中でヒマラヤの氷河が溶け、巨大な氷河湖が山奥の氷河のあちこちに出来ている事をご存知だろうか?
今多くのネパールの山村がその氷河湖決壊の危険にさらされている。特に有名なのは観光客も多く入るエベレスト街道上、アイランドピークの脇にあるイムジャ湖という氷河湖だ。
この氷河湖が決壊したらエベレスト街道沿いの主だった集落が壊滅的打撃を受けると言われている。もちろん多くの死者も出るに違いない。恐ろしい話だ。
この6月にイムジャ湖の危機を世間に周知させる事が目的で、イムジャ湖氷河マラソンというイベントが、ネパールの山奥で行われた。昨日そのマラソンを走ったと言う唯一の日本人の方から、メールを頂く。
なんでマラソンなんだという疑問も無きにしもあらずだが、明白な危機に対して特別な解決策も無い状態で、何のアクションも起こさないよりはずっとマシなのだろう。
さてさてそのメールがはるかネパールから届いた同じ日の深夜未明(日曜深夜未明ということ)にも、病院では大出血分娩があった。
代務の先生が一生懸命働いて何とか出血を食い止めてくれたらしい。これから病棟回診だが、無事に出血が収まってくれていたら良いと思う。
地球温暖化は確実な人類の危機事項だ。とはいえ僕を含めた多くの凡人は、地球温暖化より目前の仕事の心配事の方がずっとリアルな危機である。
そんな事ではいかんと思いながらも、遠い氷河湖決壊を心配するよりも、目前の手術や分娩の心配をする方が、今の僕にはどうも現実的な様だ。
写真に入りきらない程の巨大なイムジャ湖。この数年で巨大化したと言う。どうすれば決壊を防げるのか・・・誰か助けてあげて。
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雨が降っても登ります
今週末は代務の先生が名古屋から来てくれている。
子供のサッカー大会も今週末は小休止で、僕にとっては、比較的気兼ねなく自由出来る貴重な週末になりそうだ。
とはいえ天気予報を見てガックリする。どうもこの土日は居座った梅雨前線のため、海山は大荒れの雰囲気である。どう考えても野外活動には不適な週末だ。しかしそれでも何処かには出かけたい。せっかくの大事な週末を無駄?にはしたくない(実際には何時でも必ずやる事はあるので、無駄にはなりませんが・・)。
予想天気図を見た限りでは、日曜より土曜の方が、まだマシな天気の感じだ。そこで例によって長男を誘い、今朝は早くから親子揃っての運動不足対策に出かける事にした。
場所は大倉尾根からの白山にする。この尾根なら危ないところはまず無いので、よほどの悪天で無い限り頂上まで至れる。サッカー部を中途退部した長男との登山の場合、途中であきらめずに頂上まで至る事は重要だ。
ところが白水湖の登山口に着いた時には、空から雨がザーザー降りの状態だった。
こんな状態での登山ではびしょ濡れの苦行山行になるのは目に見えている。長男の目が「こんなんで本当に上に行くの?」と訴えていたが、ここで挫けてしまっては僕のためにも長男のためにもならない(多分)。ここは当然出発を厳命する。
そんなこんなで雨降りの中ひたすら登り、白山頂上を往復してきた。
季節柄、風雨に叩かれても寒くは無い。トムラウシの気象遭難の様な事は無いだろう。我慢して歩くだけである。
長男には「登山は苦労して何ぼなんだ。楽しみたければディズニーランドにでも行け」とディズニーランドに連れて行く訳でも無いのに言ったりする。
その代わりに?帰りには荘川の温泉に入り、蕎麦を食べて帰る。決して楽しい山行とはいえないだろうが、それでも十分為になる良い一日であった。
この後から土砂降り

当然何も見えません
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忙中閑の話とか
昨夜残った分娩は、破水後速やかに進行し、就寝前時刻に分娩となってくれた。
夕食時に飲んだビールの酔いはもうとっくに醒めている時刻だったが、ここは様々な事を考慮し、車は使わず自転車で深夜の病院に向かう事にする。
こんな夜中に自転車漕ぐ方が、車使うよりよほど危険だと思いながら、真面目?な僕は何時もの通勤坂道をせっせと漕ぎ上がった。
気持ちとしては自転車の方が、車よりエコだし、健康にも良い。
しかし分娩室で一仕事し病院を出ると、ついつい病院前のコンビ二に寄り、甘いものなど買ってしまったりする。
僕はビールも好きだが、甘いものも好きだ。幾ら自転車漕いで運動した気になっても、ここで甘いものを食べてしまえば何の意味も無い。そう知りながらも止めれないから、エベレスト後すぐに体重リバウンドしてしまうのだろう。
さて今日の仕事は何時もの秒単位外来に、手術、その合間に各種用事が入る。時間は有限だが、その使い方は人それぞれだ。どう使うかで人生の量も質も変わる。
一瞬の時刻も無駄にしない様にしようと心がけて、どんどん仕事を進めた。手術は比較的楽な手術で、寝不足は無いから今のところスムーズに業務が進んでいる。
このまま上手く行けば夜から始まる労組の夏祭りに間に合いそうだ。
今まで仕事のため、一度もこの夏祭りに最初から参加できた事は無い。たくさん払っている労組費を少しでも回収?しに、今年こそビール飲みにいければ良いと思ってるがどうだろうか。
と言う訳で10年間で初めて、最初から夏祭りに出れました

帰宅後はハムちゃんにも癒される
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登山と分娩
昨夜は夜中に分娩も残らず、平和な夜だった。これはチャンスとエベレストの記録作りに励む。もう少しでこの春の記録UPも完成終了するが、その分思い出が自分から遠ざかるような感じがして、何だかそれも寂しい気がする。
今日の外来は混んだ。外来の看護師さんは大変な様子だ。
だが分娩や検査も無く、入院患者さんも比較的落ち着いていて、僕にはどちらかと言うと楽な方の一日だった。寝不足無しで外来だけやってれば良いという仕事になれば、どれだけ楽だろうかと思う。これから深夜にかけて分娩が入りそうだが、寝不足になり明日の手術や外来に響かなければ良いのだが・・。
さて話は変わり、梅雨明けが近づき、各所から山の遭難ニュースが入ってきている。
中でも北海道トムラウシでの大量遭難は、登山ガイドの判断で生死が分かれたという事が話題になっている様だ。
登山にもいろいろあって、遭難には運不運があるのは確かだ。遭難を起こしたガイドが悪く、遭難を起こさないガイドが優秀とは限らない。ただトムラウシの様な百名山夏山では、結果的に遭難を起こさない方が良いと思われるのは仕方ないだろう。
一方分娩にもいろいろあって、これにも運不運が間違いなくある。
母体死亡を起こした産婦人科医が悪くて、母体死亡を起こさない産婦人科が優秀とは限らない。ただ分娩のような母体死亡が万に一の世界だと、今時どんなケースでも母体死亡を起こしたら、それなりに問題があったと思われるのは仕方無いかもしれない。
登山も分娩も数多く扱っていれば、それだけ遭難や母体死亡に遭う可能性が増える。しかし経験豊富な登山ガイドとの登山の方が安全だし、経験豊富な産婦人科医の方が確立的に安全に分娩できる。そして遭難や母体死亡に遭う事も経験の一つになるのは間違いない。
大事な事はいたずらに失敗を繰り返さない事だ。そのためにも一回(もしかしたら二回)の遭難や母体死亡で、そのプロ業務ができなくなるほどダメ出しをしない事が大事だと思う。登山や分娩は自然のものであり、もともと危険を内含しているのだ。
僕がエベレスト登山に入った時、一緒に登った登山ガイドの方はとても優秀な方だった。しかしそれでも彼のエベレスト登山中に、顧客が遭難死された事がある。僕はその事を知っていても彼と一緒にエベレストに登った。
中にはもしかしたら危ないぞと指摘してくれる方もいた。しかし超高所素人の僕にとって、一番安全確実?なエベレスト登頂方法が、彼の公募登山に参加する方法だと僕には思えたのだ。
かく言う僕も過去に、遭難や母体死亡に遭った事がある。振り返ればああすれば良かったとか、こうすれば良かったとか、後悔と共に思う事もある。百戦錬磨の宮本武蔵は「わが人生に悔いはない」と言ったらしいが、僕はそんな境地にはきっとなれないだろう。
しかしただ失敗しても、周囲が守ってくれる様な、魅力的で優秀な人間になりたいものだと、常日頃から思ってはいる。 |
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運子ケースの思い出
昨夜は夜中まで2件の分娩が残り、何時呼び出されるか分からない落ち着き無い夜となった。連休明けの激務による疲れもあるし、何とか夜はきちんと眠りたい。
その切ない思いは天に通じ、遅い夕食とビール直後に一人がお産になってくれる。既に深夜時刻だったが、業務はもちろんさくさくこなした。続いて残ったもう一人の方は、深夜から明け方にかけて微弱となる。
お陰で夜中に突然起こされる事は無しで済んだ。寝不足無しできちんと朝起きた時には、何だか得した気持ちになる。
微弱になった方は朝から促進の指示を出し、午前中の良い時刻に産まれてくれた。お陰で今日の業務はスムーズだし、全てが上手く行ったようで嬉しい。今日は水曜日で書類業務が主だし、少しは楽できるだろう。空いた時刻に少しでもエベレスト遠征の記録を少し追加UPできた。
さて今からちょうど2ヶ月前の今日、僕はエベレスト登頂直後の最終アタックキャンプにいた。天気は下り坂で標高は8000mだから、まだまだ油断できない厳しい状況だ。そんな中であろう事か便意を催した僕は、迷った末にきちんと持参の雲子ケースに雲子して、それを下のキャンプまで自分で持ち帰った。
サウスコルから自分の雲子を自分で持ち帰った人は、世の中そんなに多くはいないだろう。
標高8000mはいわゆるデスゾーンの入口だ。雲子も直ぐに凍りつくし、微生物も存在しない。しかも乾燥した雲子は風ですぐに何処かに飛んでいく。だからわざわざ凍った雲子を持ち帰る気は普通なかなかおきない。
さてさて一昨日の海の日、僕は長男と笠が岳に登った。その時僕は愛用雲子ケースを車の中に置き忘れてしまった。便意催さなければ良いのにと思いながら登っていたが、そうはいかず何時もの様にきちんと便意を催してしまう。
長男の前でそこらのお花畑に雲子垂れるなんて事は、絶対に出来ない。
それは必死の思いで雲子我慢して、笠が岳山荘に到着。山荘の清潔で素敵なトイレに雪隠させていただいた。先日の笠が岳登山で最も辛かった事が、この雲子我慢だったりする。
そんなこんなで僕はエベレストでも、笠が岳でもちょっとは自然に優しかった(多分)。
こういう事は実際問題として自己満足の世界にかなり近い。それでもサウスコルから雲子を持ち帰ったのは、僕の密かなこだわり自慢の一つになるだろう。
サウスコルでの雲子ケース。雲子するにも酸素吸いながらです
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あれからまだ2ヶ月なのに
昨夜は笠が岳から帰宅してから、シャワーを浴びて、日記をUPし、子供達の送り迎えを幾つか済ませて、後はビール飲んで早く眠るつもりだった。これらが予定通り朝まで眠れれば、週明けからの激務に備えて気持ちリセットできるだろう。
ところがやはりそうは上手く行かず、まずビール直前に入院患者さんの件で呼び出され出動を要した。
更に深夜未明から明け方にかけて3件の分娩が続く。もちろんこれら分娩に全て出動していたら、僕はもう今日は眠くて仕事にならないだろう。幸いな事に優秀な助産師さんらが上手に対応してくれたため、僕の深夜出動は無しで済んだ。全てお決まりの早出翌朝縫合で対応する。
朝一番の仕事としては、ややハードな3人連続縫合の後に外来業務に入った。連休明けで混む事は予想できていたが、やはり予想通り外来は混む。延々と診察し続けた。外来の最中に更に分娩が一件追加され、とある理由で縫合はやや困難だった。
外来終了後も急患診察が何人も続き、午後の予約診察、会議に病棟回診に、色々あってとても緊張感が持続しない。
もう既に午後9時を回ったが、晩飯もまだで、今からまだ出血の止まらない急患さんが受診すると言う。それだけならまだしも深夜に分娩となる方が残ってしまい、今夜もこれから深夜出動を要するだろう。
脳内アドレナリンが出すぎているのだろうか、今日の午後からは不整脈がどんどん出たした(多分)。高所登山後の突然死の話を聞いた事があるし、マジに過労死が心配になる。
しかしここで死んでも、エベレスト登山直後とか笠が岳に週末登って来たばかりとかで、過労死の労災認定はされないんじゃないかと思ったりする。
今日でエベレスト登頂後ちょうど2ヶ月だ。一生懸命頑張る事に何も悪い事は無いのだが、何事も程度問題だろう。何でこんなに頑張ってしまうのか、もはや自分でも分からない。 |
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海の日は山に
3連休の最終日は、梅雨も一段落し好天の天気予報となった。
例年なら何だかんだとやる事があり(去年は確か引越しだった気がします)、3連休と言っても仕事その他で全てが終わってしまうのだが、今年は何とか時間を作れそうな感じがする。
またついつい強い味方の開業医さんに昼間の病院留守番をお願いしてしまった。長男と一緒に山に出かける事にする。
海の日に外出できたのは、海の日が国民の祝日になって以来始めての事だと思う。ただ夕方には自宅に戻っていたい都合があったので、行ける山は近場が良い。
そこで今日は自宅の窓から良く見える笠が岳に行く事にした。多分杓子平では、高山植物のお花畑も見れるだろう。
というわけで今朝は早起きし、病棟が落ち着いている事を確認すると、長男を後部座席に乗せ新穂高温泉まで行き、笠新道経由で笠が岳を往復してきた。
下山で暑くなり、思ったよりハードな行程だったが、長男と僕の運動不足対策の山としては、上出来で素敵な登山だった。
今回僕はこの3連休のうち、2日間(夜は無しですが)も近所の開業医さんに病院お留守番をお願いしてしまった。
開業医さんは夜に(理由は不詳)自由に過ごしたい。僕は登山等で昼に自由に過ごしたい。
開業医さんと僕の行動時間がずれている事は、僕にも多くの飛騨地区妊婦さんにとって幸運な事だと思う。
また僕は客観的には普段とても拘束時間が長い生活をしている。平日は昼も夜もほとんど病院傍から離れられない。
だからだろうが僕の自由裁量で、産科代務をお願いできる様にしてくれている病院にも、僕はとても感謝の気持ちを感じている。
予想以上の好天でした

新穂高から頂上往復9時間は、それなりに疲れました
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早い車が必要なのかも
世間一般では今は3連休と言うことらしいが、もちろん僕にはそんな事は関係無い。
昨夜も名古屋から帰宅して後に、深夜破水入院が2件入ってきた。とはいえ呼び出しは無く済んだから寝不足感は無い。
今朝の診察で破水のうちの一人は破水感のみであったため、薬は使わず様子観察に回す事にする。
もう一人は破水入院の原則に則り、連休中日でも朝早くから誘発を始めた。
さて今日は午前中に中学校の中体連サッカー飛騨予選トーナメントが古川の杉崎グラウンドであり観戦に出かける。とはいえ次男は補欠の応援係だ。東山中サッカー部は1回戦勝利、2回戦敗退であった。
試合が終わり片付けの頃になって、誘発中の方の事が気になりだした。病院には他にも落ち着いてない患者さんが多く入院している。親さんの務め?である後片付けは免除してもらい、僕は一足早く病院に戻る事にした。
案の定その勘は当たり、車に乗り込んだところで病院から「そろそろ分娩です」コールが届き出した。
41号を飛ばして病院に戻り、分娩業務はもちろんそつなくこなした。各種病棟業務をこなし日記を書いていると、今度は子供達から「腹減った早く帰れ」コールが届く。
そういえば話は戻り、昨夜、名古屋から病院に向かい高速を飛ばしていた時も、病院から妊婦さんの出血量連絡が15分毎に入ってきた。
当然出血量は逐一連絡毎に増えている訳で、車の運転も落ち着かなくて仕方ない。
夜の東海北陸下り高速の車の交通量は決して多くない。交通法規を無視して飛ばそうと思えばガンガン飛ばせる。ここはアクセル踏み込んでスピードを上げちゃおうかと思ったが、僕のお爺ちゃんイプサムがエンストしたらもっと大変なので、きちんと交通法規は守って?運転した。
夜の東海北陸が空いていて、こんな連休夜に覆面パトカーなんていないというのを知っているのだろう。
僕の横を赤いフェラーリの集団が5台ほどまとまってすごいスピードで僕を抜いていった。多分何処かのお金持ちが、夜の高速運転を集団で楽しんでいるのだろうと思う。
僕は患者さんが待っているというのに、お爺ちゃん車でゆっくり運転だ。
一方走りの楽しみだけが目的で、スピードオーバー(もしかして3桁オーバーだったり)のお金持ちの方もいる。
何だか少し世の中間違ってるんじゃないかと思いつつ、今からまずは子供達に愛車でゆっくり?弁当買いに行こうと思う。 |
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やっぱり崖っぷちです
今日は名古屋ウェストンホテルで名大産婦人科関連病院部長会があった。東海地区の主だった病院の産婦人科医にとって、人事にまつわる重要な会議と言える。ある意味僕にとって1年で1番重要な会議に当たるため、普段あまり会議に出ない僕でもこの会議だけは毎年必ず出席している。
今年は代務の先生はみえてないので、病院のお留守番は近所の開業医さんにお願いした。急に呼ばれたり、帰りが遅くなる事に備えて、名古屋には車で行く事にする。懇親会でお酒は飲めなくなるが、立場上そんな事くらい我慢しないといけない。
さて会議のメイン議題は、例年通り勤務医の待遇改善であった。
更に今年はその他にいわゆる女医問題と勤務医の開業医化問題も話題になっていた。いろいろな意味でドキッとする報告もあったがおいといて、この数年間で勤務医の待遇改善は確実に進んでいる印象だ。それは良い事だと思う。
とは言うものの話は例によってここでは終わらない。
会議終了直後の懇親会最中に病院からまた不穏な電話が入りだした。どうやら出血の多い方がみえるらしい。強力助産師に電話で適切な対応を指示し、すぐさま車に戻り名古屋から高山に引き返す事にする。
だからという訳ではないのだが、色々挨拶したりお願いしたりしなければならない事もあるにもかかわらず、タイミングずれたりして、思惑通りのロビー活動??がほとんどできなかった。これは心残りだったりする。
夜の高速を飛ばして、先ほど病院に帰り着いたが、出血はお留守番をお願いしていた開業医先生に無事対応していただけていた。ホッとする。今日も様々複雑な一日だった。
いろいろな思いが渦巻いて、上手く表現できないが、結果的に上手く行けばそれで良いのだと思うしか、今の僕にはないのかもしれない。
勤務医一人当たりの分娩数は10年連続で1位。だからといって自慢する気はおきません。ただ日記には小さく載せちゃおう。
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寝不足業務を避けるには
昨日は午後から仕事を上手くさばいて、夜はとある会合で飲み会となった。
殊の外美味しい寿司、肴に心奪われて、久しぶりにビールと日本酒で深酒する。多分呼ばれる事は無いだろうと踏んで、気持ちよく飲んでいた。ところが世の中それ程甘くは無く、一時帰宅したはずの方が分娩になったという連絡を受ける。
宴たけなわの真っ最中にタクシーを呼び、分娩室に直行する。
マスクを深めに被り、目を周囲に合わせない様にして、何時もの様に仕事は問題無くこなした。その後再び宴席に戻るが、僕のいない間に何が話されていたか少し気になったりする。
宴席終了後にも更に深夜2時過ぎにもう一件分娩が入ったが、それは特別な問題無く強力助産師さんが産科医不在で上手く対応してくれた。お陰で僕の深夜出動は無しで済む。
今日は二日酔い感覚が軽く朝だけ残っていたものの、寝不足は無くじきに回復した。寝不足業務は避けられ、朝の処置も外来もサクサク進み、多くの患者さんは喜び?、僕も嬉しい。
さて僕のところは医師一人なのに、月の分娩数が平均30件(春の一時期除き)あり、更にそのうえに多くの婦人科ガン患者さんも診ている。更に膣脱や筋腫、内膜症といった良性婦人科疾患の方も多い。
好奇心と体力溢れる若い頃ならともかく、通常は僕のような立場、年齢でこれだけの仕事量はこなせないものだ。
とにかく辛いのは寝不足外来、寝不足手術で、それを避けるためには、手術外来の件数を減らすか、寝不足にならない方策を考えるかそのどちらかしか方法は無いと僕は思う(寝不足に負けない体力はなかなか付きませんからねえ・・)。
僕は圧倒的な需要がある以上、患者さんや妊婦さんを制限するという方法はできるだけ避けたかった。
そこで僕は寝不足業務を避ける方策として、経産婦さんの分娩は原則助産師さんに任せて、会陰縫合は翌朝まとめて行うという業務形態を考えた。僕は経験上、ローリスクの経産分娩において緊急帝切や緊急吸引分娩の割合は、非常に少ない事を知っている。初産婦の10分の1以下だ。確かにある程度周囲の不評は買ったが、結果この作戦は成功して僕は今でも仕事を続けていられてる。
約5年ほど前から始めた助産師外来と、約4年ほど前から始めた経産婦さんの翌朝縫合は、僕の仕事維持の為の2大柱であり、一部評価はともかく、僕としては大成功を収めた作戦だと思っている。
なおこの作戦成功の為には助産師さんの協力が不可欠であり、それに対して僕は感謝しないといけないだろう。
そしてまた一方で、この2つの作戦により、飛騨地域周産期医療が保たれているのは紛れも無い事実であり、このやり方を考え出した僕とそのアイデア自体にも価値はある。他の産科医療過疎地域も見習えば良いと思うが、どうだろうか??
さてさてとはいえ、これらの方策は今まで上手く行っていたが、これから先はどうなるかは分からない。今まで上手く行っていたのはたまたま運が良かっただけなのかもしれない。
角を矯めて牛を殺すという諺もあり、慎重な判断は要するが、常にリスクとベネフィットを評価し最善の方策を考える事が、これから先も僕には要求されるのだろう。 |
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サッカーと登山と勉強
経過中の方も偽陣痛で帰られて、昨日は分娩も無い平和な夜となった。仕事はまだ残っていたが、それは後回しにして夕から病院フットサルチームの公式?試合に参加する。
サッカーと登山と言うのは全く違う筋肉を使うためか、お互い利するものも無い代わりに、相克するものも無い。つまり日曜日に登山でワークアウトして、水曜夜にフットサルで走り回っても何の問題も無い。
サッカーと登山の違いと言うのは、使う筋肉の違いだけではない。
最大の違いは頂点があるかないかだと僕は思う。サッカーは幾ら頑張っても上には上がいる。どんなに強いチームでも最後は負けて終わる。だから問題はどこに目標を定めるかという事になる。
しかし登山は頂上に立てば、内容はともかく勝って終わった気分になる。これがサッカーと登山の最大の違いだろう。
さて家に帰ると三男が手にギブスを嵌めて、せっせと勉強に励んでいた。聞いたらサッカー練習で痛めた手首が骨折していたらしい。サッカーも油断していると怪我する事がある。僕が手を骨折すると、多くの患者さんに途端に大変な迷惑をかける事になる。その点注意して運動しないといけないと改めて思ったりする。
さてまた話は変わり、僕は基本的にスポーツと勉強は両立するものだと思っている。
スポーツが出来る人は勉強も出来るし、勉強が出来る人はスポーツも出来る。天は二物を与えずという諺が世間にあるが、それは間違った諺だ、プロ級レベルの話なら別だが、一般的にはスポーツと勉強はお互いに良い影響を与え合う。文武両道は当然の成り行きなのだ。
というわけで長男にはサッカー部を続けて貰いたかったが、彼は今や帰宅部の選手になった。その分登山で鍛えてやるしかないだろう(逆に鍛えられそうですが・・)。
そうする事で勉強でも大きな成果を上げて貰いたいと内心思っているが、そこまで話は上手く行かないだろうか?
ギブスを嵌めて勉強したり。勉強でもサッカーでも結果を出してね・・
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登山ガイドと産婦人科医
昨日は仕事が引けてから、エベレスト登頂時の記憶を思い出しつつ、せっせとその記録を書いていた。
あれからまだ2ヶ月も経ってないのだがもう随分と昔の事に思える。いろいろなドラマがあった事を思い出し、何だかとても懐かしく感じた。
ついつい記録書きに時間を費やしてしまい、夕食や風呂の時刻も遅くなる。日付も変わり遅い風呂に入っていたら、また病棟から電話が入ってきた。風呂桶から飛び出し電話に出ると、案の定やや不穏な内容の電話だ。
いわゆるVBAC転向で昼に帝王切開予定だった方が陣発したというものだ。
なぜこんな事になったか言いたい事を述べれば長くなるから省略し、この場合僕には幾つかの選択肢がある。
子宮破裂を防ぐために一番安全なのは深夜に緊急帝王切開をする事だ。しかしそうなると、多くの手術室看護師さん、助手を務める外科医に深夜出動を要請する事になる。僕の睡眠時間も削られて、翌日の仕事にも響くだろう。
ここは子宮収縮抑制剤の適応外使用により、陣痛を抑えて昼まで手術を持たせる事にする。この判断が正しいかどうかは分からない。最悪夜中に子宮破裂を起こすかもしれないし、そうでなくとも深夜未明に緊急手術を迫られる事になるかもしれない。しかし僕には経験的に十分昼まで大丈夫と言う計算があった。
その読みは当たって、収縮抑制剤で陣痛はコントロールでき、手術は予定通り今日の昼間に行われる。緊急手術連絡が心配で昨夜の睡眠がやや浅くなった事を除き、皆ハッピーな結果になりりホッとする。むしろこの程度のことで睡眠不足になるようならば産科医として修行不足だと言えるだろう。
さていきなり話は変わり、エベレスト登頂前夜の最終アタックキャンプで、プロガイドの謙ちゃん隊長は、登頂をあきらめ引き返す事を考えている隊員に向かい「引き返すなんて絶対に許さない。頂上に立つか否かは僕が決めるんだ」と言い、隊員が引き返す事を断固認めなかった。
その一言で気合が入った隊員は、夜中に一人早くテントを発ち、見事に登頂を果たす。生死と成否を分ける場面で、なかなか言えない言葉だったと思う。
登山ガイドと産婦人科医はその専門性とプロ意識の点で似ている。僕も患者さんに対してギリギリの場面で「手術するかしないかは僕が決めます」と言う事がある(思うだけの時の方が多いですが)。その時にはもちろん強烈な責任感もヒリヒリ感じている。
どちらの仕事も命が懸かっているだけに、厳しい仕事だと思う。
そう言った意味で、僕はこの春登山を職業としている方から、多くの事を学んだし共感する点を多く感じた。
思わず謙ちゃん隊長やヒロ倉さんを尊敬してしまう場面もあったが、それはおいといて(おいちゃうよー)、あえて言えば産婦人科医の場合、この手の決断が日常茶飯事であまりに多くありすぎる気はしている。 |
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VBACという名の冒険
今日は一日中外来の火曜日。朝から晩までひたすら外来患者さんの診察が続き、その後夜の病棟回診中に分娩が一件重なる。まあ何時もの忙しい一日だ。寝不足もないし分娩は安産だったから、疲れはしても辛くは無い。一日中各種訴えを聞き続けた事による多少のイライラがあるだけだ。
さて昨日家に帰ったら、東京新聞から山岳雑誌岳人8月最新号が送られてきていた。何度も雑誌に記事を書いている為か、東京新聞はいつも僕に雑誌を無料で送ってくれる。有難うございます。感謝しています。
その今月号雑誌の第一特集は「挑戦するこころ」というものだった。興味ある内容で早速中味をチェックする。そこでは多くの登山家が冒険について論じていた。
それによると、まず本田勝一による冒険の定義は、危険を主体的に冒す事であるとある。僕も同感だ。大事なのは自ら主体的に危険を冒すという事にあるのだと僕は思う。
この春の公募によるエベレスト登山も冒険だったと僕は考えている。
というのは今までのAG公募エベレスト登山隊では、ガイドを除く6人の登頂者中2人の死者が出ている。エベレスト登山はやはり危険で、それを知ってでもあえて主体的に挑戦した隊員の方々は、多かれ少なかれ何らかの冒険したのは事実だろう(なお今年の隊では、4人の隊員中4人全員が何の怪我も無く全員無事に登頂しています。これは追記です)。
しかし冒険の本当の価値は、危険を冒す事にあるのでは無く、創造性にあるとも書かれていた。創造性という観点から見たら、残念ながら現代の公募エベレスト登山隊に、創造性はほとんど無いだろう。現代のノーマルルートのエベレストに、冒険の要素は非常に少ないと思える。創造性を発揮する場としてやや難しい状況になっているからだ(そう思うとクーンブ氷河でのテレマークスキーは冒険だったかなあ???)。
さてさて話は変わり、分娩は冒険だろうか?
50年ほど前までの分娩というのは、今の公募エベレスト登山並みに危険だった。とすると当時の妊婦さんは皆冒険者なのかもしれない。しかし昔の女性は主体的に妊娠するよりも、否応無く妊娠したケースが多かっただろうから、冒険者という定義には少しずれる。
なお現代では、分娩による母体死亡率が万に一つまで下がったので、ちと分娩を冒険と言うには辛いと思う。
現代の産婦人科で一番良く行われている冒険はVBACだ。帝王切開後の自然分娩の意味で、これは現在世界で一番多く行われている冒険だと僕は思う。そしてここでも大事な事は主体的という事にある。
VBACを希望する妊婦さんには、自ら危険を理解してその上で主体的にVBACに挑戦しないといけない。逆に他人任せで挑むなら止めておくべきだ。
大病院ならともかく、中小病院でのVBACの危険度は、現在の公募エベレスト登山にかなり近いと僕は思う。
VBACにどれだけの価値を置くかとか、プロの産科医による危険度評価は別の問題だが、妊婦さんが危険を理解して主体的にVBACに挑むのならば、僕はVBACを止めたりはしない。
エベレスト、クーンブ氷河でのテレマークスキー。これは創造的と言えますか???
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2年半で59例
昨日の折立から薬師岳往復は、朝4時半に家を出て6時に有峰林道料金所を通過、折立を7時過ぎに登りだして11時に薬師岳頂上、午後2時過ぎには折立に下山しているというやや強行軍登山だった。
高校生の長男の歩くスピードに合わせると、どうしても歩きが速くなる訳だが、運転手兼ねの僕にはやや厳しいペースだ。
エベレスト帰りであるという意地と、お互いの体力向上?のため、長男に負けない様せっせと歩いた。
お陰で今日はやや脚に疲労感ありだが、どちらかと言うと久しぶりの運動で心地よい感じである。やはり普段の仕事で心が疲れるより、山で足の筋肉が疲れる方がずっと気分良い。
さて今日は午前と午後に予約診察とその合間に手術と処置が一件ずつ入る。外来の合間に手術が入るのは、気持ち的に楽ではない。更にまだ病棟回診が待っている。入院患者さんの人数もこの一ヶ月でどんどん増える一方で、もう勘弁してという感じだ(予想はしてましたけどね・・)。
ここで話はマルッと変わり、病院評価機構によるとこの2年半で日本全体の患者間違いの数は59例だったそうだ。その殆どは投薬間違いらしい。
はっきり言って僕はその結果の少ないのに驚いた。というのは僕はほとんど毎日の様に、患者さんの名前と病室を間違えているからだ。
もちろん確認によるリカバーで、間違った処置や投薬をした事は無いが(多分)、その確認段階で患者さんの名前を間違えるという事はしょっちゅうある。
それは何故かと言うと、産婦人科の患者さんはほとんど全員が急性期で慢性入院はほとんど無いため、入院患者さんの回転が早い。毎日毎日多くの患者さんが入院して、同時に多くの患者さんが退院して行く。それが産婦人科である。
しかも今産婦人科病棟には各種個室と大部屋があり、若くで自費の分娩入院の方は、状況と希望によりどんどん部屋が変わる。しかもプライバシー保護という観点から、各病室には名前が張られてない。
つまりとても僕が患者さん一人一人を把握できる状況に、もともと現状がなってないのだ。
僕の足りない分は優秀な看護師、助産師に補ってもらっているのだが、僕としてはどうしても一日一回は患者間違いを起こしてしまう(確認でリカバーしてますが・・)。それでも今まで無事に済んでいるのが不思議なくらいだ。
さてさて世間では、看護師より医師の方が、同じ事をやるのに間違いなく物事を行うと思われている傾向にある。しかし実際にはそんな事はありえない。間違いの主たる原因は各人の性格にあり、職分には無い。
忙しい医師が、全て間違え無しで物事を行うなんて、人間である以上決して無いと思っておいた方が良い。
抗がん剤の薬詰めなんて、僕がやっているといつか必ず間違いを起こすだろう。要するに僕の診ている患者さんの人数は多すぎるのだ。しかしそこで患者さんを減らすと言うのではなくて、それでも大丈夫なシステムを考えるのが大事だろう。
それが世間から求められている事でもある。というわけで僕ができるだけ仕事を看護師さん、助産師さんに任せるのは、安全の為でもあるのです。 |
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長男との薬師岳
日曜の天気予報は芳しくなかった。とはいえ山が大荒れと言う程でもない。
比較的簡単な山ならきっと十分楽しめるだろう。ちょうど暇?してた長男が山に行きたいと言ってきた。各種条件を付けて長男と、折立からの薬師岳登山に出かける事にする。
各種条件と言うのは、「自分の事は自分でやる」「準備や後片付けもしっかり自分でやる」という山では至極当然の事だ。
そしてもう一つ付け加えたのが「頂上に立つまで絶対に引き返さない」と言う事であった。梅雨の真っ最中の登山だから頂上付近は風雨だろう。しかし長男との登山の場合、途中で引き返さないのが原則だ。
長男はつい最近、小学校以来続けていたサッカー部を止めた。
理由を聞いたら、「ゴールキーパーがつまらないからだ」と言う。それならば、長男にキーパーからフィールド選手に変われないのかと聞くと、今更それは無理らしい。
世にあまたいるキーパー少年が聞いたら怒り出す様な理由だが、高校生が試合中にフィールドを走り回れないのはきっと辛いのだろうとは思う。かく言う僕も親子サッカーでは、下手なくせに前の方にできるだけいるようにしてるから、他の親さん方に大変な迷惑をかけている。
そんなこんなで長男はサッカー部を中途退部した。人生何事も中途半端で終わる癖をつけてはいけない。だから僕は山では途中で引き返さないぞと長男に言った。
案の定今日の登山は頂上間際で風雨激しくなり、多くの他の登山者が途中で引き返していた。しかし夏の薬師岳頂上付近に危険な箇所は無い。風にふらふらしながら頂上は往復する。慣れない登山で良くがんばったと誉めてあげた。
長男にとって、サッカーの代わりが登山になるとは思えない。サッカーの方が登山より日々の運動としてはずっと激しいだろう。
とはいえどうも今年の夏は、僕と長男お互いにとって、運動不足対策の利害が一致しそうな気がしたりする。
上部はガスと雨になりました
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怒っていますか
手術や処置が立て込んで、金曜の帰宅も随分と遅くなった。経過中の方が2名残ってしまったが、これはもう代務の先生にお任せしよう。この土曜日は代務医と休日と晴天というこの時期月に一度あるかないかの有難い一日になりそうだ。
心置きなく?自由に出来る日として、大事に使いたい。
というわけで、金曜夜はビール飲んで睡眠薬も併用し、早めに眠りについた。土曜は早起きして剣か穂高当たりの日帰り登山で日頃のストレスを少しでも晴らしたい。
ところが例によって、その儚い望みは打ち砕かれた。深夜1時過ぎに経過中の方についての問い合わせ電話で起こされる。
通常なら代務の先生に問い合わせれば十分な内容なのであるが、何故か僕の方にかかって来た。なぜ僕の方にかかってきたかと聞くと、どうも「患者さんが怒っている」かららしい。
さて僕には、何故患者さんが怒っているのかさっぱり分からない。
陣痛が痛くて怒ってるのだろうか、分娩が進行しないから怒っているのだろうか。とても痛がっているのに緊急帝王切開にしないから怒っているのだろうか。
しかし陣痛が痛いのは自然の生業である。帝王切開というのも医学的適応が無いと出来るものではない。通常痛いからというだけでは帝王切開の適応にはならない(過強陣痛という病名もありますが・・)。
とにもかくにもあまり穏やかでない電話なので、眠りも浅くなり、翌朝早くから山に行く気は無くなった。結局土曜の午前中にきちんとした適応の元、緊急手術とし対応する。もちろん土曜にお出かけする事はできなくなり、貴重な晴天休日の一日が実質無くなった。
さてさてこの経過には何の問題も無い。産科では良くある出来事だ。これで世の中から元気な新生児が無事一人増えたという事なら、言う事は何も無いと言える。
運動不足と各種ストレスで不機嫌かもしれないが、客観的に考え、こんな事でまた休みが飛んだからといって、僕は怒ったりしないのだ。 |
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僕は普通の人ですから
昨夜は比較的仕事は早く終わったが、夕食後寝る前に分娩で出動は要した。ちょうど缶ビールのロング缶を半分開けたところだったので、車は使えず夜道を病院まで自転車で移動した。分娩待ちの時間は控え室でエベレストの写真整理しながら過ごし、再び夜道を自転車で帰った時には、深夜と言える時刻だった。
今日は何時もの秒単位外来に、午後から手術が2件、続いて外来処置が1件、急患さんの診察が1件、更にやっと病棟回診が終わったが、既にもう大分遅い時刻だ。ダイエット兼ね、夕食抜きビールのみで寝てしまおうかと思うが、それもちと悲しいか。
さて聞いた話ではエベレスト遠征中に、とある産婦人科医がお酒飲んで診療していたという事がニュースになったらしい。僕はこのニュースを実際に見た事は無いからはっきりした事は分からない。とはいえ多分「そんな事ではいかん」という論調だったんじゃないかと想像する。
しかし僕はビール飲んで更にデパスと言う睡眠薬まで飲んで、爆酔状態で緊急手術した事が何回もある。中にはその時の記憶が飛んでしまった手術もあった。そうなると多重人格者のもう一人の自分が何時の間にか手術していた様な感覚だ。それでももちろん今まで全て、そういう手術は問題無くこなしている。他に代わる人がいない以上、それはがんばらないといけない。
さてさて僕は平均週6日産直している人間だ。昨日もそうだが、分娩と言うのは24時間何時でもあるし、しかも突然あるものだ。産直中にビール禁止という法律があれば、僕は週に一日しかビールが飲めなくなる(週に一日の休肝日なら良いですが)。暑い季節にそんな事が普通できるだろうか?
僕は時々周りから常軌を逸した要求される事がある。寝不足長時間外来、寝不足手術、寝不足急診などがその際たるもので、何が辛いと言ったら、その暮らしがその場限りでは無く延々と続く事だ。
状況と必要に応じて対応できる事とできない事はある。その手の要求を平気でされる方がいても、僕には無理だとここにはっきり書いておこう。 |
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僕の医療はサービス業ではありません
早くエベレストの登山記録をHPにUPしようと思っているが、なかなか先に進まない。理由はあまりにも中味が濃いせいだろう。写真の枚数もエベレストは他の山と比べ圧倒的に多い。
写真を見ているだけでどんどん時間が経ってしまう。そうこうする内に他に各種仕事がどんどん出てくるので、何時まで経っても記録をUPできないとなる。
さてPROM入院が2件入り、今日も朝から忙しく業務が続いた。
外来の最も多忙な時刻に分娩がぶつかる。区切りの良い外来患者さんまで診察してから分娩室に向かうと、あろう事か妊婦さんが分娩室で子癇発作を起こしていた。
一生懸命対応している助産師さんらから「先生来るのが遅いよ」光線が発せられる。助産師軍団の力で上手く対応できたが、当然僕も冷や汗をかいた。
子癇発作が落ち着いた事を確認して、その後の指示を出し、急いで外来に戻ったら、今度は外来の看護師さんらから「先生戻るのが遅いよ」光線を発せられた。低血糖予防にチョコレートを一枚食べ、これまた忙しい外来を再開する。
更に外来終わりかけの時刻にまた別の分娩が入った。今度は裂傷が大きい。そこはきちんと縫合して外来に戻り、最後の待ちくたびれた外来患者さんらの診察に入った。
僕が分娩室や控え室にいる間、仕事が進まくなる外来看護師さんらは、なかなか現れない僕と(それでも平均より相当早く仕事してるのですが)待っている患者さん等の間に挟まれて辛そうだ。
誰もが早く診察してもらいたいし、目前の仕事を早く進めたい。しかし僕の身体は一つしかない。急いで雑に縫合したり、何かトラブルがあったら、却って患者さんも自分も困る。正しい優先順序をつけて一つ一つきちんと対応していくのが当然だろう。
多くの患者さんや看護師さんらは、僕に「患者さんの顔を見て話せ」とか「患者さんにもっと笑顔を見せよ」とか「PCを叩く時間があれば、少しでも早く診察せよ」とか思ってるのだそうだ(直接は言われないけどね・・)。
それができないのなら患者さんの人数を制限せよと考える方もいる。患者さんの人数を制限すれば、僕も楽だしコメディカルも楽になる。同時に何人の重症さんを抱え込む事も減るだろう。患者さん制限は何時でも甘い誘惑だ。
しかし僕は自分が求められている以上、仕事から逃げる事はできない。
ただ患者さんの顔を見ながら同時に、カルテ記入するほど器用でないし、愛想笑いしながら秒単位外来なんて事もできない。
周囲の人は時に僕に色々な事を求める。しかし僕は目の前にいる大変な人とか苦しんでいる人を現実に助け、長い時間にマクロで大きな成果と結果を出したい。その為には能率的に動く事も必要だし、ミクロな視点で自分勝手と思われても全く構わないのだ。 |
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デュプリバンでしたか
昨日の外来はまた殊更に混んだ。朝から晩まで多くの患者さんの訴えを聞き続ける。入院中の患者さんを入れて約100人の方を診察した。外科系の産婦人科で一日にこれだけの患者さんを診察する医者はそうはいない。
お陰で何だか今日になっても少しイライラした感じが残り、気分はやや欝状態だ。運動不足もあるし、何をやるにもあまり意欲が出なかったりする。
さて今朝のテレビのワイドショートップニュースは、アメリカのポップスター、マイケルジャクソン追悼式の話題であった。当初謎の突然死とされていたが、どうもその原因は睡眠薬による呼吸停止によるものだったらしい。
睡眠薬は産婦人科医にとって馴染みのある薬だ。
仕事柄自分で使用する事もあるし、ガン患者さんや更年期の患者さんに処方する事も多い。しかし通常の内服系睡眠薬はものすごく大量に服薬しても死ぬ事はまずない。ただぐっすり眠るだけだ。
各種ニュースによるとマイケルジャクソンはデュプリバンという睡眠注射薬を使用していたらしい。睡眠薬は内服系は安全なのだが、何故か注射系になると一転して呼吸停止が来るものが多い。だから普通は自分で自分に睡眠薬を注射する人なんていない。危険すぎるのだ。
なおデュプリバンというの薬も、流産中絶処置で使われるため、産婦人科医にはとても馴染みある薬だ。
高価な薬だが、切れの良い薬なので、僕も現在全ての流産処置でデュプリバンを使用している。たまたま流産が多かった関係で、この数日間はほとんど毎日1本づつ使用している(自分に使用している訳でありませんから、これは念のため)。
というわけでデュプリバンの呼吸停止では何度と無く怖い思いもした事がある。ただもちろんプロであるから対処法は知っている。いつも看護師さんに決まった量を注射してもらい、致命的なトラブルになった事は無い。
さてこの薬での睡眠はとても素晴らしいらしい。眠りから覚めた後に、今までに無い気持ち良い睡眠だったと言う感想を、患者さんから聞く事も多い。呼吸が止まるほどぐっすり眠った方から、そういう感想を聞く事もあった。
おそらくマイケルジャクソンはその気持ち良い睡眠のために、自分で自分にデュプリバンを注射して死んでしまったのだろう。深い睡眠と呼吸停止による死だから多分苦痛はほとんど無かったと思う。
中国の故事に胡蝶の夢というのがある。自分が夢で蝶になったのか、蝶が夢で自分になったのか分からないという逸話だ。きっと人生の儚さを象徴しているものだと思う。
この春は特に多くの有名人の死が気になるが、華やかな蝶の様だったマイケルジャクソンの死に、何故かそんな故事を思い出していたりする。 |
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子供達が一番世界に近づいた日でしたか?
昨夜は手術もなかった関係で、色々と忙しかったのだが仕事は早く終わった。大急ぎで移動し、高山FCの親子サッカーに参加する。親子サッカーが終了した後は高山FCの解団式が行われる予定だ。高山市の小学6年生のサッカー少年が集まって出来た高山FCだが、昨夜で解散となりもう無くなる事になっている。
高山FCはもともと夏の全日本少年サッカー大会上位入賞を目標に作られたチームであった。ちょうど1ヶ月前の県大会決勝でその夢が砕かれるとその存在意義を一気に失う。
数々の激戦に勝利して県2位まで勝ちあがっても、負けは負けと評価される。それまで一生懸命練習に励んできた子供達だが、負ければ解散という過酷な現実に直面する事になった。
通常の育成会少年団サッカーチームと異なり、高山FCは最初から全国で勝つ事を目的に作られたチームだ。負ければ解散というのも仕方が無いのだろう。
さて今回高山FCは県で2位だった。そしてこれは三男にとってサッカーで最高のキャリアになる可能性が高い。
というのは中学、高校、社会人?になるにつれて、クラブチームも少年団も、そのレベルが少しずつ全国レベルから引き離されていくからだ。これは子供の数が都市部と比べて圧倒的に少ない以上、仕方が無いことなのだろう。
別に高山のサッカー少年に全国や世界への道が閉ざされているという訳では無い。とはいえ本当に才能があってプロサッカーを目指すなら、早く都会のユースチームに入るのが一番となる。
来年度から高山でこの手のチームはもう作られない。3男は勝つ事を宿命付けられたチームで最後のキャプテンとなり、有終の美を飾れなかった。負けて終わって消えて無くなるという現実に、サッカーの厳しさを親子共々痛感したりする。
子供も僕も運動に特別な才能がある訳で無い。親子共にスポーツで食べれる様になると思った事は一度も無い。とはいえそれでも何も子供を応援できなかった父親として、僕は情けない親であった。
そして1ヵ月後には解団します
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無理、ムラ、無駄は嫌いです
日曜日の夜は珍しく特別何も無く過ぎてくれた。お陰できちんと朝まで眠れる。
正確には様々な特別ケアを要する患者さんも見えるのだが、夜中に僕に連絡するよりも若手の外科先生に連絡し出動していただいた方が看護師さんにはやりやすいらしい。
外科先生には申し訳ないが、そこは僕の担当業務を外科先生に代わりにしてもらっている。お陰で僕のストレスは減り大いに助かっている。
今日は外来の最中に分娩が1件、午後から処置が2件、今のところは落ち着いて楽な方の一日だ。さて土曜日に東京まで行き取ってきたミニPCは、さすがにきちんとウィルス駆除され無事に手元に戻ってきた。
何でも中から8つのウィルスが見つかり、その内の一つは5段階の危険度のうちで一番危険度の高い種類のものだったと言う。ほっとけばPCの中のあちこちで自然増殖してPCは使い物にならなくなると書いてある。
恐ろしやの話だ。しかし今では綺麗に完全駆除されたからもう大丈夫らしい。写真も無事全て救いだされてホッと安心だ。
というわけで昨夜はPC内の秘蔵?写真を眺めて思い出に浸っていたりした。
その段階でたまたまPCのあちこちを見ていたら、何とPC内には90日間お試しバージョンのウィルス対策ソフトが最初からプレインストールされていた事に気づいた。
ただそれは起動されてない状態でPC内で眠っていたのだ。そういえばPCを購入した時にそんなパンフレットが付いていた気もする。
もしこれに気づいて、最初からウィルス対策ソフトを起動していたら、今回東京2往復するなんて手間を省く事が出来たはずだ。
更に今回の徹底的?ウィルスサーチとウィルス駆除、ウィルス対策ソフトの新規購入もしないで良かったと思う。
最初に店頭の販売員さんが、ウィルス対策ソフトの起動について教えてくれてたら良かったのだが、安売り量販店の店員さんにそこまで要求するのは酷だろうか。
僕は昔から無理ムラ無駄が嫌いな人間だ。世の中悪くする最大の原因がその3つだと思っている。
今回のPCウィルス感染騒動は典型的な無理ムラ無駄だった。不注意とネット世界の世間知らず?がいけなかったとあきらめるしかないのだろうが、何といっても東京2往復で消費したガソリン90リットルと排出二酸化炭素量が一番気になったりする。
PCに眠っていた写真。ウィルスから救っても綺麗でした。左奥はコーカサスの名峰ウシバ
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応援を応援したりしてました
土曜から日曜の夜中は熟睡中に救急問い合わせ電話が1件。看護師さんは出動してきてもらいたい雰囲気もあったが、中味は電話で問題なく対応できるものであった。他は朝まで眠れたから、十分幸せな夜だ。
この日曜日は次男には中体連のサッカー大会、3男にはフジパンカップのサッカー大会がある。大雨だったと言う土曜日とは変わって晴天の日曜日で、今日は子供たちの応援兼お手伝いで過ごそうと思う。
とはいえ子供達は二人とも試合には出ない。次男はあえなくレギュラー落ち、三男は資格停止になっているためだ。つまり子供達は今日は2人ともチームの応援係りと言える。
親心としては自分の子供が試合で活躍する所を見たい訳だが、自分の子供を応援するだけでな、くチーム全体を応援する事も大事だ。自分の子供が試合に出てなくてもやる事はいろいろあるし、知ってる子が沢山出てる試合は見てるだけでも楽しい。
とはいえ試合の最中にもあちこちから各種電話が入り続けた。
やや難産系の分娩が経過中でちと落ち着かない。試合の最中にぶつかる分娩で呼び出され、試合の結果はまだ不明だが後で聞こう。だからどうと言う訳ではない。何時もの事だ。運動不足は気になるが、今のところは穏やかで平和な日曜日と言える。
仕事が終わり試合会場に戻ったら、試合も終わってました。
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車は燃費良く、身体は燃費悪く
代務の先生不在で手術を組んでなかった関係で金曜午後の仕事は比較的早く終わった。とはいえ帰宅後気持ちよくビールを飲もうとしていた寸前に、開業医さんから緊急手術の電話が入る。例によって見事にタイミングを見計らった様な電話だと思う。ビールは少しお預けにして、手術のお手伝いに励む。
そこはそれついでに土曜日の病院お留守番をお願いしてしまった。
天気予報や各種状況を睨んで、土曜日は東京ヨドバシデンキに預けておいたミニPCを取りに行く事にする。やはり貴重な山の写真データを早く手に入れたい。
病棟は色々と落ち着かないし、分娩も何時あるか分からない。高山を離れるのにやや不安はあったが、土曜日はエアポケットの様に仕事が空いて大丈夫そうな気がしたのだ(勘と運ですけどね・・)。
と言う訳で高速を車で飛ばし、無事ウィルス駆除されたPCを日帰りで取りに行ってきた。 それはそれで良いのだが、嫌なのはこのPCだけのために車を8時間運転する事だ。
僕の愛車イプサムは既に走行距離20万キロを軽く突破したお爺ちゃん車だ。とはいえ何故か未だに燃費は良い。高速ならリッター15km走る。それでも600kmも走れば40リットルのガソリンは食う。
今回PCとその内部写真のために東京を2往復して、トータル90リットル近いガソリンを消費した。そう思うと減税されているうちにもっと燃費の良い車にエコ替えした方が良いのかなとも思う。とはいえ今更愛車を手放す気もしなかったりする。
さて僕は今エベレストから帰国して、急速に体重リバウンドしている。先月は1ヶ月で3kgも太った。
これはリバウンドの理屈によると、エベレストで自分の身体の燃費が良くなりすぎた事も影響しているに違いない。
車の燃費が良くなって、身体の燃費が悪くなる。そうなれば世の中一番理想的なのだが、そう上手く行く分けないかと少し溜め息?ついていたりする。 |
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