なお収集している情報は主に食品中化学物質に関するもので、食の安全にとって最も問題である微生物関連情報は扱っておりません。
参考食品安全情報ナビbyましゅうさん
2009-08-03
■[ProMED]ルーピン種子毒性 オーストラリア 警告
Lupin seed toxicity - Australia: alert
02-AUG-2009
Brisbane Timesから
健康によい豆には一つ問題点がある:ヒトを殺す
GI(グリセミック指数)が低いために健康によいとされるルーピン豆は正しく調理されないと危険である。
西オーストラリアで女性二人がルーピン豆中毒で入院した。彼らの症状はかすみ目、軽い頭痛、倦怠感及び歩行困難であった。調査の結果、品不足でアルカロイドの多いビタールーピンが粉にされて販売されていた。その粉には粉に許容されている量の1000倍のアルカロイドが含まれていた。ルーピンの摂取量は増加しているが消費者や製造業者がリスクにきがついていない。ビタールーピンを含む製品には有毒アルカロイドを除去する適切な処理が必要である。
Two cases of anticholinergic syndrome associated with consumption of bitter lupin flour
Nevada M Pingault et al.,
MJA 2009; 191 (3): 173-174
http://www.mja.com.au/public/issues/191_03_030809/pin11419_fm.html
■[論文]研究、教育、協調:米国栄養士会は食糧と水の安全性についてのポジションペーパーを発表
Research, Education, Collaboration: American Dietetic Association Releases Position Paper on Food and Water Safety
AUGUST 1, 2009
http://www.eatright.org/cps/rde/xchg/ada/hs.xsl/media_22377_ENU_HTML.htm
Journal of the American Dietetic Associationの8月号に発表された。
米国は世界でも最も安全な食糧が供給されている国の一つであるが食中毒が益々得重要な公衆衛生問題になっている。
Journal of the American Dietetic Association
Volume 109, Issue 8, Pages 1449-1460 (August 2009)
Position of the American Dietetic Association: Food and Water Safety
■[論文]オーガニック野菜の栄養と毒性学的価値:消費者の認知対科学的根拠
British Food Journal 2009, 111(10)
The nutritional and toxicological value of organic vegetables: consumer perception versus scientific evidence
In press
2006-2007年フランドル地方の成人529人を対照に消費者調査を行い文献からの科学的知見と比較した。
消費者はオーガニック野菜を汚染物質が少なく栄養価が高く、従って通常栽培の野菜より健康的で安全であると認識していた。しかしながらそのような認識を支持する十分な科学的根拠はなく、消費者の認識と科学的根拠の間にミスマッチがある。このギャップはこどものいる年齢の高い消費者でより大きい。この認識は消費頻度が高いほど強いが、性や住居地域、教育や収入レベルとは関連しなかった。さらにオーガニック野菜を購入して以内人たちも平均してオーガニック野菜の方が栄養価が高くて毒性学的アドバンテージがあると考えている。
■[NHS]オーガニック食品は「良くはない」
Behind the headlines
Organic food 'is no better'
Friday July 31 2009
http://www.nhs.uk/news/2009/07July/Pages/OrganicFoodIsNoBetter.aspx
「健康によいというのがオーガニック食品に想定されている大きなセールスポイントであるが、栄養価が高いという評判には打撃」とThe Timesが報道した。
新聞によればオーガニック食品が通常栽培の食品より健康的であるという根拠はいつも薄弱で、一部のオーガニック圧力団体は、オーガニック食品の方が栄養価が高かったという一部の結果だけを示して全体的結果を無視している。新聞は、オーガニック食品は高価なので、健康に良いと信じて買っている人には、同じ値段で食べられる野菜や果物の量を減らすことで実質的には健康被害を与えていると示唆している。
この問題を解決するために、FSAが資金を提供して系統的レビューを行った。このレビューは良くできた包括的レビューである。5万以上の論文を評価して満足できる質のものは55しかなかった。ヒト健康上に直接意味があるのは11論文しかなくそのうち5つは培養細胞での実験であった。6つのヒト試験のうち4つは対象者が20人以下で統計学的検出力が低い。味や残留農薬や食品の見た目については対象としていない。
生産方法に関わらず、野菜や果物はあなたにとって良い。予算が限られている場合は冷凍や缶詰めでも良い。
関連
- 自然が常に最良だと信じるのは間違っている
It's wrong to believe that nature is always best
Guardian
Robin McKie(Observerのサイエンスエディター)
Sunday 2 August 2009
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/aug/02/organics-food
ついにオーガニック食品のほうが良いという神話は打ち砕かれた。増加する人々を食べさせるというもっと重大な問題に集中すべき時であろう
オーガニックの方がカビ毒汚染は多いし収穫量が少ない。オーガニック栽培の面積を増やすことは人道上問題があるなど
コメントがたくさん
■[FDA][農薬]2007会計年度残留農薬モニタリング計画
Pesticide Monitoring Program FY 2007
07/30/2009
モニタリングの結果、
特に注意が必要な作物:ベリー、ニンジンやハーブ、サヤエンドウ、マンゴ、セロリ、中国産オクラ、中国/タイのナス、赤カブ、ナシ、チャツネ、パパイヤ、ホウレンソウ、ブラックベリー
国:グアテマラ、ペルー、インド、ドミニカ共和国、中国
を同定している
全体的な結果としては、6930検体(うち国産1317、輸入5613)を検査した。検出可能な農薬は461。
国産1317検体中残留農薬が検出されなかったのは58.0%で基準値違反があったのは2.3%であった。輸入品の基準値違反は4.2%であった。
その他細かいデータと表や図提供。
■[EFSA]植物ステロールによる血中コレステロール削減の健康強調表示はEFSAの新しい科学的助言に照らして判断される
Blood cholesterol reduction health claims on phytosterols can now be judged against EFSA new scientific advice
31 July 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902769494.htm
EFSAの専門家は一定量の植物スタノールやステロールを含むヨーグルトやマーガリンなどが血中コレステロール濃度を下げられると結論した。
EFSAは効果を得るためにはどれだけの量をどれだけの期間摂れば意味のある削減効果があるのかについて同定した。
■[EFSA]植物スタノールと植物ステロールと血中LDLコレステロール
Plant Stanols and Plant Sterols and Blood LDL-Cholesterol - Scientific Opinion of the Panel on Dietetic Products Nutrition and Allergies on a request from the European Commission and a similar request from France in relation to the authorization procedure for health claims on plant stanols and plant sterols and lowering/reducing blood LDL-cholesterol pursuant to Article 14 of Regulation (EC) No 1924/2006 [1]
31 July 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902768432.htm
植物スタノールと植物ステロールの量は遊離(非エステル化)の重量当量として表現した。
植物スタノール/ステロールの血中LDLコレステロール濃度への影響を調べた無作為対照化試験は80以上あり、それらのメタ解析多数において植物スタノール/ステロールが、1日約2g以降は減弱する用量依存的に血中LDLコレステロール濃度を下げることが示されている。LDLコレステロール低下作用は植物ステロールでもスタノールでも同様である。
1日あたり1.5 - 2.4 gの摂取で平均7-10.5%の削減が期待できる。このような削減は冠動脈心疾患のリスク削減のために生物学的意味があると思える。
また血中LDL低下作用は2-3週間で現れ摂取し続ける限り持続する。最長85週間まで観察されている。
マーガリンタイプのスプレッド、マヨネーズ、サラダドレッシング、乳製品への植物スタノール/ステロールの添加は血中LDLコレステロール濃度を下げることが示されているが、他の食品への添加についてはそれほど明確な根拠はない。
■[EFSA]Danacol と血中コレステロール 植物スタノール/ステロールの多い低脂肪発酵乳製品と血中コレステロール削減と冠動脈心疾患リスク削減に関する健康強調表示の科学的実証
Danacol and blood cholesterol Scientific substantiation of a health claim related to a low fat fermented milk product (Danacol ) enriched with plant sterols/stanols and lowering/reducing blood cholesterol and reduced risk of (coronary) heart disease pursuant to Article 14 of Regulation (EC) No 1924/2006 [1]
31 July 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902768493.htm
植物由来の植物ステロールエステル(ベータシトステロール 80 %、カンペステロール 40 %, スティグマステロール 30 %、ベータシトスタノール 15%、カンペスタノール 5 %、ブラシカステロール 3 % 及びその他の植物ステ ロール 3 %、植物由来脂肪酸とのエステル)を多く含む低脂肪発酵乳製品の 健康強調表示申請について評価した。
申請には23の論文を含み、そのうち19報は対照化ヒト試験、1報は非対照化ヒト試験、3報はメタ解析であった。さらに未発表の2つのメタ解析が提出された。
NDAパネルは食事からの植物ステロールの摂取とLDLコレステロールの低下の因果関係は確立されていると結論した。
科学的根拠を繁栄した文言としては:「植物ステロールは血中コレステロール濃度を低下させる作用がある。血中コレステロール濃度が高いことは冠動脈心疾患発症のリスク因子である」
NDAパネルは植物ステロールは血中コレステロール濃度を下げる必要のあるヒトにのみ消費されるべきであり、コレステロールを低下させる医薬品を服用している患者は医師の指導のもとにのみ使われるべきであると考える。
■[EFSA][GM]EFSAの専門家はGMOのデータ解析を統一する
EFSA experts aim to harmonise GMO data analysis
31 July 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902768560.htm
EFSAはGM植物及びそれに由来する食品や飼料のリスク評価のために行われる野外試験のデータを標準化するための意見を発表した。
Statistical considerations for the safety evaluation of GMOs(1) - EFSA Panel on Genetically Modified Organisms (GMO)(2) (3) (4)
31 July 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902768517.htm
■[EFSA][GM]遺伝子組み換えトウモロコシMON810の再評価:EFSAは9月のEFSAの意見に関する科学的議論に関係者を招待
Re-evaluation of genetically modified maize MON810: EFSA to invite stakeholders to meeting in September for scientific discussion on its opinion
31 July 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902771813.htm
EFSAはグリーンピースとFriends of the Earthが発表したMON810のEUでの認可更新申請にに関する報告をレビューすることを決定した。
EFSAはGM技術に賛成でも反対でもなくただ最も厳密なリスク評価基準に基づいて安全性に関する独立した評価を行うことが役割である。
EFSAはGM技術については異なる視点がありGMOパネルのMON810の更新に付いての科学的意見はグリーンピースとFriends of the Earthのそれを支持しないことは認識している。グリーンピースとFriends of the Earthの報告についてEFSAは以下の点を指摘したい:
・ EFSAのGMOパネルは科学的不確実性のある部分について同定している。総合的に判断してどうするかはリスク管理者の仕事である。GMOパネルがグリーンピースとFriends of the Earthの報告で言及されている研究も含めて検討したことについては確信がある。
・ EFSAはMON810の栽培による標的でない生物への影響について軽視したり無視したりはしていない、ただ極めて低いと結論した。さらに環境モニタリングなどの管理オプションについても科学的見解を述べている。
・ MON810に存在するまたはその可能性のある全ての蛋白質については検討済みであり、安全上の懸念はない。
・ EFSAは90日試験のレビューを行っている。
EFSAのGMOパネルによる報告書はウェブサイトで公開されており、パブリックコメントを受け付けている。提出された全ての意見について回答を検討するための9月の会議にはグリーンピースとFriends of the Earthを含む関係者を招待する。
■[ヘルスカナダ]カナダ政府は化学物質管理計画に含まれるさらに18の化合物の評価を完了
Government of Canada Completes Assessments for an Additional 18 Substances Included in the Chemicals Management Plan
July 31, 2009
http://www.ec.gc.ca/default.asp?lang=En&n=714D9AAE-1&news=74FA7ECC-A601-4AD4-869B-DFD06E08D346
詳細は以下から
http://www.chemicalsubstanceschimiques.gc.ca/interest-interet/index_e.html#4
■[FTC]FTCはインチキや詐欺的宣伝と闘う努力について証言
FTC Testifies About Efforts to Combat Fraudulent and Deceptive Advertising
07/22/2009
http://www.ftc.gov/opa/2009/07/advertising.shtm
FTCは米国上院委員会において急速に変化する医療・技術・オンライン宣伝戦略のなかでの詐欺的宣伝への対応努力について証言した。
ここ数十年間でインチキや詐欺的宣伝はより大規模により複雑になっているがFTCのリソースはそれらに対応できるほど増えていない。
健康や安全に関する宣伝、保証や裏書き付きがあるとする宣伝、グリーンと称する宣伝、不況の犠牲者を騙すような宣伝が重要な課題となっている。
証言全文は以下
http://www.ftc.gov/os/testimony/090722advertisingtestimony.pdf
■[KFDA]食品医薬品安全庁、"スダン色素検出憂慮製品暫定流通・販売禁止措置"
2009-07-30
食品医薬品安全庁は最近国内業者がパキスタンから輸入したカレーパウダーミックスから、食品に使用が禁止されているSudan色素が検出された(Sudan I 263.5 mg/kg、Sudan IV 48.2 mg/kg)ため当該製品を返送し既に輸入された製品1824kgに対して暫定流通・販売禁止にして検査を実施中だと発表した。
食薬庁は全ての輸入カレー製品に対して輸入段階での検査を強化する方針である。
製品の写真あり。
■[KFDA]食品医薬品安全庁、"米ステロイド含有ダイエタリーサプリメント摂取警告"
2009-07-29
食品医薬品安全庁はTREN-Xtremeなどアメリカのダイエタリーサプリメント(ボディービル製品) 製品 8種にステロイド、ステロイド類似物質などが含まれるため、使用すると深刻な副作用を生じる可能性があるので使用しないようお願いする。これらの製品は米国FDAが警告したもので、韓国には正式に輸入されていない。食薬庁は該当製品のインターネット販売を遮断し旅行客携帯品や国際郵便物に対する管理強化を関税庁などに依頼した。
■[KFDA]食品医薬品安全庁、勃起不全治療剤含有ダイエタリーサプリメント摂取警告
危害情報課2009.07.31
食品医薬品安全庁はシンガポール産ダイエタリーサプリメントであるXP
Tongkat Ali Supremeに勃起不全治療剤成分であるタダラフィルが検出されたため使用しないよう警告する。
正式な輸入はない。
■[論文]高温の飲食物と食道がんリスク 系統的レビュー
High-temperature beverages and foods and esophageal cancer risk--a systematic review.
Islami F et al.
Int J Cancer. 2009 Aug 1;125(3):491-524.
全体としては高温の飲食物が食道がんリスクを高くすることを強く示唆している。
温度と量が独立したリスク要因である可能性がある。
■[EU]SCFCAHの2009年6月19日の会合の要旨
Summary record of 19 June 2009
http://ec.europa.eu/food/committees/regulatory/scfcah/toxic/summary19062009_en.pdf
・ ドイツによる食品と接触する物質へのトリクロサン使用禁止案
・ デンマーク議会が哺乳瓶へのビスフェノールA使用禁止を提案したが、EFSAの見解通り特に必要ないという意見。
・ 紅花のオレンジII及びスパイスのバターイエロー混入について、HPLCによる検査と定量限界500 ppbをアクションリミットとすることを検討すべき。
・ カドミウムについて、EFSAがTWIを引き下げたため一部の食品において提案されていた最大規制値の引き上げは困難であると判断。甲殻類のカドミウムについては、特にカニで最もカドミウム濃度の高い部位の定義などをさらに検討すべき。
・ PAHの指標としてPAH4の代わりにPAH8を使うことにあまりメリットはなくPAH4をベースにいくつかのオプションを検討する。
・ アクリルアミドについては3年間のモニタリングの結果からは明確な削減が認められず、さらなる対応を検討。
・ 小麦ふすまや繊維の多い朝食シリアルのゼアラレノン量最大規制値の引き上げについて
・ 中国産乳製品のメラミン汚染への対応のレビュー:乳児用製品の輸入禁止措置の継続や検査頻度の引き下げなど
・ 食品照射施設のリスト更新
など
■[WHO]母乳育児:命に関わる緊急対応。準備はできている?
Breastfeeding: a vital emergency response. Are you ready?
31 July 2009
http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2009/world_breastfeeding_week_20090731/en/index.html
WHOは2009年8月1-7日の世界母乳週間に世界母乳育児行動連盟と協力する。
今年のテーマは特に緊急時の母乳が命を救うのに大切であることを強調する。
自然災害などで多くの人々の健康と生存が脅かされるような場合、子どもたちは特に弱く死のリスクに直面する。緊急時の母乳は命を救う。緊急時に要求されていない又は無計画な母乳代用品の提供は母乳を与えることを阻害する可能性があり避けるべきである。そうではなく、母親が母乳を与えられるようにサポートする必要がある。
■[HK]香港の母乳育児率は上昇
HK breastfeeding rate rises
August 1, 2009
http://www.news.gov.hk/en/category/healthandcommunity/090801/txt/090801en05004.htm
香港の母乳育児率は1997年の50%から2008年は73%に増加した。4ヶ月から6ヶ月の間に母乳のみで育てている率は6%から12.1%に増加した。
■[論文]母乳ブランド:粉ミルク販売促進に逆らって子どもの生存を促進する
The Lancet Volume 374 Issue 9687 p423-425
視点
The breastmilk brand: promotion of child survival in the face of
formula-milk marketing
Anna Coutsoudis, Hoosen M Coovadia, Judith King
中国におけるメラミン汚染ミルクによる多くの乳児の病気をきっかけに考察。
基本的疑問として、なぜこれほど多くの赤ちゃんに母乳ではなくミルクが与えられているのか?母乳が経済的にも生理的にも有利であるにも関わらず乳児用ミルク製造企業は60年以上にわたって母乳を避けさせようとしてきた。中国では特にテレビによるミルクの宣伝−出産祝いはミルクが標準などのような−が大きな影響を与えた。中国政府が母乳を推奨しているにも関わらず、他の情報源から入ってくるのは母乳をやめるメッセージばかりである。