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【主張】民主党公約 国家戦略の明確化が前提
民主党の鳩山由紀夫代表は衆院選マニフェスト(政権公約)で、首相直属の「国家戦略局」の新設など、官僚主導政治からの脱却を図る組織づくりに踏み込んだ。
首相官邸を中心に、政治家が責任をもって予算編成や重要な政策決定にあたる仕組みの構築は、自民党政権下でも長年の課題だった。民主党が政権交代で政治主導の確立を目指すのはもっともだが、問題はその仕組みの下で行おうとする政治の中身が鮮明に見えてこないことだ。
外交・安全保障政策は具体性に欠け、憲法改正論議への取り組みは弱い。「子ども手当」など内政面には力を注いだが、社会保障の安定財源となる消費税には触れていない。無駄をなくそうという意図はわかるが、国家戦略を明瞭(めいりょう)に打ち出すことなく、国家の統治能力は示せないだろう。
国家戦略局に官民のスタッフを集め、予算編成の基本方針や外交・安保政策など中長期の国家ビジョンを策定するという。大臣、副大臣、政務官や大臣補佐官ら100人以上の与党議員を政府に送り込む。
閣議の形骸(けいがい)化を防ぐため、事前に閣議内容を調整する事務次官会議の廃止も掲げた。だが、廃止するだけで閣議の位置を高め、閣僚の政治決断力を向上させられるだろうか。問われるのは首相や閣僚自身の指導力や戦略の有無だ。
「主体的な外交戦略の構築」や「緊密で対等な日米同盟関係」というが、日本がアフガニスタン問題で果たせる主体的な役割とは何か。北朝鮮の脅威や中国の軍事力強化に対応するため、米国との同盟関係をどう強化するか。政権を担うためには、答えを出さなければならない。サボタージュを続けてきた衆参両院の憲法審査会に、民主党がどう臨むかを明確にしなかった点も残念だ。
公約の工程表を作り、政策の実施時期や優先順位を示すなどの工夫はみられるが、9兆円以上の財源を公共事業や補助金の無駄削減に求めている。「行政刷新会議」による点検作業でどれだけ事業の選別が可能か。財源を明確にしなければ説得力はない。
永住外国人への地方参政権付与や国会図書館に過去の日本の「罪」を追及する恒久平和調査局を設置するなどは、マニフェストには盛り込まれなかった。リベラル色の強い政策を民主党は断念したのか語るべきだ。