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イラン:「大統領選不正なかった」デモで起訴、法廷で一転

 【テヘラン春日孝之】6月のイラン大統領選後の抗議行動に関与したとして起訴された改革派を中心とする反対派要人は、1日に始まった裁判で相次ぎ「選挙に不正はなかった」と証言した。約100人の被告は体制転覆の罪に問われており、最高刑は死刑だ。今回の裁判で「混乱の幕引き」を目指す当局に対し、反対派は「(当局が筋書きを演出した)ショーだ」と反発を強めている。

 ◇幕引き図る当局…「バカげたショー」改革派は反発

 起訴状によると、騒乱(抗議行動)は三つの改革派政党が主導して事前に計画したもので、外国NGO(非政府組織)から資金を得て、(東欧で起きた民衆による)「ビロード革命」を参考に実行に移した、とされる。

 選挙で敗北した改革派ムサビ元首相など反対派は「大規模かつ組織的な不正」を主張、数十万人規模にも及んだ抗議デモにより、保守派が実権を握るイスラム体制は革命(79年)以来最大の危機に陥った。

 法廷で、改革派ハタミ前政権時代の副大統領アブタヒ氏は「他の改革派リーダーと共に騒乱を扇動するための準備をした」と告白。ファルス通信によると、アブタヒ氏はムサビ氏について「不正があったと思い込む妄想家」と表現、「不正」という言葉は市民を抗議行動に駆り立てるための「隠語のようなものだった」と述べたという。

 アブタヒ氏は閉廷後の会見で「最高指導者ハメネイ師が選挙結果について(反対派の主張を認めて)後ずさりしていたら、イランはアフガニスタンやイラクと共に混乱のトライアングル(三角形)を形成することになった」と指摘し、ハメネイ師の対応を称賛した。

 これに対し、ムサビ氏を背後で支援してきた保守穏健派ラフサンジャニ元大統領が議長を務める最高評議会は1日の声明で、自白の強要を示唆し「(アブタヒ氏の証言は)うそだ」と反発。改革派政党の一つは自らのウェブサイトで「最低レベルのバカげたショー」とこき下ろした。

 改革派ウェブによると、アブタヒ氏は1カ月半の拘置中に体重が18キロ減少、弁護士との接見もできないという。イランでは国家安全保障に反する犯罪の最高刑は死刑だが、革命防衛隊系のファルス通信は同氏の最高刑は「最大で禁固5年」と伝えており、当局との裏取引の可能性も指摘されている。

 一連の混乱で2000人以上が逮捕されたが、既に大半が釈放され、裁判は「重大犯」とされた約100人が対象。いつまで続くかは不明だ。

毎日新聞 2009年8月2日 21時22分

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