非国民通信

未来なんてあるわけがない

なぜ女性だけ?

2009-08-01 23:03:24 | ニュース

昼間の飲酒、女性に勧めないで 市民団体がCM規制要望(朝日新聞)

 女たちよ、一人気ままに昼間から飲もう――。そんなメッセージを発信するCMが相次いでいるとして、主婦連合会や日本アルコール問題連絡協議会など4団体が31日、大手酒類メーカーでつくる業界団体や厚生労働省などに、CMの自主規制強化や法的規制の検討を申し入れた。

 同協議会に加盟するNPO法人アスクが、今年6月にメーカー9社のホームページで確認できたCM(動画)全64銘柄について分析した。アスクによると、6割に当たる38銘柄で「一人酒」のシーンがあり、このうち22銘柄で女性が一人で飲むシーンがあった。青い空の下で歌って踊るものや、テラスでグラスを傾けるものなど「日中から楽しげに飲む」設定が目立ったという。

 4団体は「昼間の一人酒はアルコール依存症につながりやすい。しかも、乳がんのリスクが高まるなどアルコールの影響を受けやすい女性に対して、こぞって飲酒を推奨している」と主張している。

 色々と謎の多いニュースです。どこから突っ込んだものでしょうか。一応「乳がんのリスクが高まる〜」辺りは正しいようですが、他はかなり微妙です(アルコール摂取量が1日に15gを超えるとリスクが跳ね上がるそうです。他には男性に もまれながら発生するとか)。果たして本当に「昼間の一人酒はアルコール依存症につながりやすい」のか、そして本当に「こぞって飲酒を推奨している」のか、そこは鵜呑みにできないところです。

 「女たちよ、一人気ままに昼間から飲もう――。そんなメッセージを発信するCMが相次いでいる」というのが最初の問題設定です。まずこの現状認識は正しいのでしょうか。一時期、方々で話題に上ったエロゲー規制問題は根本的な現状認識の誤りから騒動が始まりました。とっくに店頭から姿を消した昔のゲームを引っ張り出しては、そのタイトルだけで勝手に中身を想像して「こんなに酷いゲームが蔓延しているんだ!」と煽り立てられていたわけです。ある意味、外国人犯罪を騒ぎ立てるレイシストのごときミスリードが繰り返されたわけですが、今回の件はどうなのでしょう。

 一応、実際のCMを確認した上で「6割」という数字を出しているだけ、エロゲー規制論者に比べれば実態を把握する努力の跡は窺われます(その認定基準はさておくにせよ)。ただ実際に「女性が一人で飲むシーン」があったとしても、それが女性に飲酒を勧めているかどうかは微妙です。そもそも女性タレントを起用するにしても、女性に好まれるタレントもいれば、逆に男性に好まれるタレントもいるでしょう。男性に人気の女性タレントが飲酒するCMは、女性じゃなくて男性をターゲットにしているわけです。CMに登場する女性を数えたところで意味がない、むしろ「女性が一人で見る番組(平日昼間の主婦向けの番組など)」でアルコール飲料のCMがどれだけ流れているかなどを調べた方が多少の意味はありそうですけれど。

 それ以前に、酒ぐらい飲んだっていいじゃないか、と思うわけです。「日中から楽しげに飲む」ことが許されないなら、日の当たらないところで陰鬱に飲むしかないのでしょうか。それに、一人で飲んだっていいじゃないですか。友達がいない人は、酒を飲んじゃダメなんですか?と問いたいくらいです。むしろ一人で飲んだ方が他人に酒臭い息を吐きかけないで済む分だけ、周りに迷惑をかけていない、褒められたっていいところです。そして何より、なぜこの飲酒を勧めるべきではないとされる対象が女性に限られているのでしょうか。女の一人酒がダメなら、男はどうなのよ?

 まぁ、昨今の性に対する闇雲な規制といい(エロゲー業界ばかりが狙い撃ちにされている訳じゃありませんから)、今回のアルコールに対する自意識過剰としか言いようのない反応といい、着々と日本社会の価値観がイスラム化しつつあるような気がしますね。

フランスのビーチでもうトップレスは見られないのか――ひまだね英語(gooニュース・ひまだね英語)

「メトロ・フランス」の分析では、そもそもフランス女性がトップレスでビーチを闊歩するようになったのは1960年代〜1970年代のフェミニズム運動の影響で、ビキニトップをかなぐりすてることで女性は自由を謳歌したのだと。タイムズ紙によると、そのせいもあって、最近のフランスのビーチでトップレスなのは主に50代以上の女性ばかりで、もっと若い人たちは「胸を出すなんてありえない」とばかりに「cover up」しているのだと。モデル並みとは言いがたい体型や肌を、他人にジロジロ見られたくないという本音もありそうですが、裸に対するフランス人女性の考えが保守化している傾向もありそうです。

コペンハーゲンにて女性がトップレスで泳ぐ権利が可決される(GIGAZINE)

デンマークの首都コペンハーゲンの文化レジャー委員会にて、女性がトップレスで泳ぐことに関する圧倒的な賛成票を受けて、普通のプールで女性がトップレスで泳ぐことが可能になったそうです。

今回の決定は女性の上半身も男性と同様に扱うべきだというトップレス推進団体が行った、1年間にわたるキャンペーンの結果でもあるそうで、リーダーのAstrid Vangさん(20)は「私たち女性は自分の胸が性的かどうかは自分自身で決めたい」と述べています。

 何とも気っ風のいいお姉さんです。Vangさんの胸が性的かどうか、それは見る人次第でしょうけれど、個人的には好きなタイプです。そして驚くべきは、こうした考え方がデンマークでは十分な賛意を受けていること、フランスでも退潮傾向とはいえ、一定の支持と理解があったことです。日本では、なかなか考えられないことですよね。以前「(私は)ミソジニストからはフェミニストと呼ばれることがあるが、自称フェミニストからは怒りのコメントをもらう」と書きました。たぶん、日本のフェミニズム主流派は「性」の側面で非常に閉鎖的であり、そこが分かれ目になっているような気がします。

 子どもの頃は、地上波でもお色気番組がよく流れていました。それも深夜ばかりではなくゴールデンタイムにも、時々は露出が見られたものです。それに比べると今はずいぶんと規制が厳しくなり、日の当たるところで女性の胸が露わになるようなことはタブーになっています。人前で女性の肌を見せるべきではない――そういう価値観が強まっているわけです。女性の裸は後宮の奥でしか見せちゃいけないのかもしれませんね。まぁ女性の肌を隠したがる人にも言い分はあるのでしょうけれど、その辺の規制が厳しい国ほど女性の権利は抑圧されているのは動かしがたい事実でもあります。

 

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4 コメント

Unknown (シーソー)
2009-08-02 04:44:46
デリケートな世の中なんですね。過保護かな。

個人に主体などなく、メディアに流されるままの人々ばかりを想定してるのでしょうか。大人も見くびられたもんだ。

で、「事実その通り操られちゃう今の日本人も多い」&「マジでメディアの力は侮れない」と見えるから、しっかりしろよ個々の人(俺たち!)って事だ。

団体がどっかに文句を付けるとき、「誰かをかばってやってますよ」的なのは眉に唾つけとこ。つまり善を言う。(←これに文句をいうとあっけなく「ヒドイ人」にされてしまう)

そうではなくて、結局社会全体にとってそれが有害かどうかで言わないと、どうせ 綻(ほころ)び がでるだろう。
やっぱりこの人 (観潮楼)
2009-08-02 12:12:59
おおつき教授
「女の人が酒飲んで悪いなんて実害のデータがないね〜。
男女両方データ取って言うならわかるけど、これくらいの論拠ならインチキだよ〜。
それに禁煙運動もそうだけど『正義の毒』をいい加減自覚しようね〜。
もっともそれを科学的に立証しろっても難しい話だけどね〜w」
何となくずれているかも (ヒイロ)
2009-08-02 12:29:51
男性だけでなく、女性が一人で昼間に飲酒をすることはどこかで許容したいです。
自分の基準で昼間に飲まない、という意見もそれはそれで尊重に値します。

母胎への影響やガンが発生するリスクは理解しています。キッチンドランカーという話も十分あり得るということは承知しています。

ただ、女性が一人で昼間から飲むリスクは、医学的な見地から指摘されていない気がします。昼間から一人で飲酒をすることがどの程度習慣になっているか、お酒の種類でもアルコールの摂取量が変わってくるわけですから。

女性タレントをCMに起用することに関しては、管理人様の仰る通りだと思います。
CMの解釈は色々とできますから。

過保護になる一方で、自己責任を連呼するアンバランスを感じています。
Unknown (非国民通信管理人)
2009-08-02 12:44:21
>シーソーさん

 「過保護」というのはありますね。守ってあげるという善意を装いつつ、その実は当人の行動に干渉し、制限するばかりだったり。「過保護は良くない」という論調がある一方で、社会的には潔癖主義がはびこり、人々を無菌栽培しようとするような風潮は強まりつつあるようです。

>観潮楼さん

 煙草に関してはデータが豊富ですし、飲酒や大麻吸引と比較すれば他人の迷惑を省みないケースも目立つだけに、もう少しバランスをとる必要があるとは思いますが、この女性の飲酒に関しては怪しいものですよね。飲酒の害云々と言うより道徳論に近い気がします。

>ヒイロさん

 女性の飲酒は咎め立てするけれど、いざアル中になった場合は突き放す、そんな光景が目に浮かびますね。この「過保護」はたぶん自己責任論と一緒で、「女性は昼間から飲むな」という戒律を破った人を貶めることも織り込み済みなのかもしれません。

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