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7月18日(土)付 

整備進む徳之島ダム 
 天城町瀬滝で建設が進む徳之島ダムの定礎式が17日、行政や工事関係者ら約200人が参加して現地で行われた。国営かんがい排水事業ダムで、堤体部分に礎石を埋めて工事の安全を祈願した。同事業は、用水路などの2期工事を含め2014年度の完成を目指す。
 定礎式では、宮本敏久農水省九州農政局長(代読)が「ダムが完成し、一日でも早く効果が発揮できるよう願っている」と式辞。岡積常治副知事、金子万寿夫県議会議長、高岡秀規徳之島地域農業総合対策推進協議会会長(徳之島町長)らが祝辞を述べ、ダム完成に期待を寄せた。
 セレモニーで岡積副知事ら来賓が、堤体部分に開けられた穴に据えられた礎石前で定礎の儀式を行った後、大型重機などを使って砂を流し込んだ。天城町前野民謡保存会が「田植え歌」を披露。大久幸助天城町長の万歳三唱に続き、同町の小学生ら28人がくす玉を割って定礎式を祝った。
 同事業は「徳之島ダム」(有効貯水量730万トン)と徳之島3町にまたがる総延長129・9キロの用水路、6・8キロの送水路、揚水機場8カ所、調整池(北部と南部)、ファームポンド12カ所を整備するもの。徳之島ダム本体は11年度完成予定。その後、幹線用水路から、島内各地区へ配水する事業を進め、14年度に同事業全体の完成を目指す。
 かんがい受益面積は3540ヘクタールで、受益者数約3700人。総事業費は590億円。08年度までの進ちょく率は金額ベースで55・1%。
2・26メートル、3キロ、過去最大級のハブ捕獲
 奄美市名瀬の奄美観光ハブセンター(中本英一所長)に17日、過去最大級のハブが持ち込まれた。長さ2・26メートル、重さ3・150キロ。中本所長は「めったに見られない大物。胴回りが20センチほどもある」とその大きさに驚いている。
 巨大ハブは16日夜、奄美市住用町の山中で捕獲された。捕獲者は瀬戸内町の末久芳行さん。
 中本所長によると、過去に長さは2・40メートルを超える物が持ち込まれているが、今回のハブは重さでそれを上回るという。雌で卵も抱えている。
 中本所長は「奄美にはまだこんな大物が生息している。ウサギも丸のみにする。ハブは直射日光に弱く、まずは草むらにむやみに入らないこと。かまれたらすぐに毒を吸い取り、救急車を呼んで」と皆既日食などで島を訪れる観光客らへ注意を促した。

コアジサシのコロニー無残、人が近付き巣を放棄―土盛海岸

 奄美大島の海岸で16日までに、コアジサシが子育てを放棄したコロニーが確認され、約20個の巣から命絶えた卵やひなが見つかった。人がかなり接近して脅威を与えたため、親鳥が巣から去ったとみられる。同島では、コアジサシと同じように絶滅が危惧されているベニアジサシも繁殖期を迎えた。海水浴シーズンで、皆既日食も近づいた同島では今後、海辺への大勢の人の出入りが見込まれることから、奄美野鳥の会は「自然の中で小さな生き物が懸命に命をつないでいる。繁殖している場所に近づかないで」と訴えている。
 コアジサシ、ベニアジサシともに環境省のレッドデータブックで、絶滅の危機が増大している絶滅危惧U類(VU)。奄美野鳥の会によると、コアジサシは毎年4月下旬ごろに渡来し、6月中旬ごろから7月中旬ごろにかけて海岸の砂地などにコロニーをつくり繁殖する。7月末にはひなが巣立つ。ベニアジサシは夏鳥として奄美に渡り、7月中旬ごろから8月初旬ごろにかけて海岸の岩礁で繁殖する。
 子育てを放棄したコロニーがあったのは、アジサシが毎年繁殖している奄美市笠利町の土盛海岸右端の離れ瀬。同会会員が5日に双眼鏡で確認したときは卵を温めている親鳥やふ化して元気なひながいたが、9日に確認したときは親鳥の姿はなく、卵もひなも死んでいた。
 アジサシは、天候が荒れたり、危険を感じると、子育てを放棄してしまう。このため、同会がコロニーに近づかないように看板を設置してロープを張り巡らそうとしていた矢先だった。
 同会の鳥飼久裕会長は「ここ3、4日間、荒天でもないのに、親鳥が抱卵放棄したのはそうせざるを得ない状況に追い込まれたからで、要因は人以外に考えられない」と指摘。「アジサシは命をつなごうと必死。小さな命を守れるのもわれわれ人間。釣りや海水浴に出かけて繁殖地に気付いたらなるべく離れて見守ってほしい」と話していた。

7月19日(日)付 

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奄美パークで「夜ネヤ、島ンチュ、リスペクチュッ!!」

 皆既日食の関連イベント「夜ネヤ、島ンチュ、リスペクチュッ!!」(2009皆既日食奄美市実行委員会主催)が18日、奄美市笠利町の県奄美パーク多目的広場で開幕した。初日は奄美出身や奄美に縁のあるアーティスト、地元で活躍する唄者らが共演、多彩なステージで多数の観客を沸かせた。
 「夜ネヤ…」は、地元の活性化や大都市圏への奄美のPRなどを目的に開催されている“島興しイベント”。今回は皆既日食による地域振興への取り組みとして、18、19の2日間、奄美市実行委員会の主催イベントとして催されている。
 島唄がメーンとなった18日は、人気ユニット、サーモン&ガーリックの司会が会場を盛り上げる中、地元の若手唄者、永井姉妹の島唄でオープニング、築地俊造さんと坪山豊さんによるベテラン唄者の共演といった豪華なステージも。メジャーシーンで活躍する元ちとせ、中孝介も出演し、2人で島唄を披露。総立ちの観客が踊り出す場面もあった。
 19日は中孝介や元ちとせのほか、RIKKI、濱田洋一郎と商工水産ズなど13人・団体が出演する。

2009年産キビ収穫面積、16年ぶり7300ヘクタール超

 県農政部農産園芸課が6月1日現在でまとめた2009年産サトウキビ生産見込みによると、奄美地域の収穫面積は08年産比143ヘクタール(2・0%)増の7377ヘクタールとなる見通しだ。達成されると4期連続の面積増で、1994年産以来16年ぶりの7300ヘクタール超となる。糖業関係者は、ここ数年の単収とキビ価の安定が面積増につながったとみている。
 島別の収穫見込み面積は▽奄美大島639ヘクタール(08年産比4ヘクタール増)▽喜界島1279ヘクタール(同64ヘクタール増)▽徳之島3924ヘクタール(同165ヘクタール増)▽沖永良部島1043ヘクタール(同93ヘクタール減)▽与論島492ヘクタール(同3ヘクタール増)。10アール当たり単収で過去10年の最高と最低を除いた8年間の平均で算出した生産見込み量は42万3978トン。
 栽培体系別面積は▽夏植え1551ヘクタール(同110ヘクタール減)▽春植え1498ヘクタール(同112ヘクタール増)▽株出し4328ヘクタール(同141ヘクタール増)。構成比は夏植え21・0%(同1・8ポイントダウン)、春植え20・3%(同0・8ポイントアップ)、株出し58・7%(同1・0ポイントアップ)で、春植え株出し体系への移行が続いている。
 群島のキビ収穫面積は05年産の6400ヘクタールを底に拡大が続いている。土地効率の向上を目的に春植え株出し体系への移行が進んでいるが、ここ2年は大型台風の直撃が無く単収も増加傾向。10年ぶりに7トン台となった08年産単収で算出した09年産の生産見込み量は53万1000トンとなる。

徳之島、干ばつ対策本部を設置

 徳之島さとうきび生産対策本部(本部長・大久幸助天城町長)は17日、干ばつ被害対策本部を天城町役場内に設置した。農家に対して、早めのかん水を呼び掛けるほか、散水車を貸し出して被害対策に乗り出す。
 徳之島では梅雨明け以降、まとまった雨が降らず、目立った被害はないもののサトウキビの生育に影響が出始めている。
 同本部は、干ばつ対策として(1)防災無線・広報などで生産者に対して早めのかん水を呼び掛ける(2)かんがい施設の利用(3)散水車の貸し出し―などを実施していく。
 徳之島の2008―09年期の生産量は前年比約4万トン増の約27万トン。09―10年期は約22万トンを目標に掲げている。
 同本部は、干ばつ対策などを実施して三町と農協、南西糖業株式会社など関係機関が一体となって目標達成に取り組む―としている。

7月20日(月)付 

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日食ツアー客第1陣が奄美大島入り

 今月22日に観測される皆既日食を前に、奄美市実行委員会が民間の旅行代理店を通じて募集していたテントサイト利用のツアー客の第1陣が19日、奄美大島入りした。この日来島したツアー客は約160人。20日には400人以上が訪れる見込みで、宿泊先となっている奄美市笠利町の太陽が丘総合運動公園に設けられたテントサイトは次第に活気を増しそうだ。
 奄美大島では、笠利町の太陽が丘総合運動公園とあやまる岬観光公園、龍郷町の中央グラウンドの3カ所にテントサイトが設けられている。
 このうち、太陽が丘総合運動公園のテントサイトは、実行委員会が募集した日食ツアー参加者が対象。最大で約1300人が宿泊する予定で、既にテントが設営されているエリアのほか、テントを持参したツアー客用のエリアも設定、体育館内にも一部宿泊できる。
 この日到着したツアー客第1陣は全員、太陽が丘総合運動公園のテントサイトに宿泊する。チャーター船と航空機で奄美大島入りしたツアー客は滞在中の活動拠点となる同公園で、受け入れスタッフの案内を受けながらそれぞれのテントを確認していた。
 テントサイトでは、荷物を下ろし滞在中のスケジュールを確認したり、テント内で談笑するツアー客の姿も。東京都から家族と友人の3人で来島した斉藤大輔さん(35)は「知人が海外で皆既日食を見たことがあり、その話を聞いてとても楽しみにしていた。せっかく来たので、日食以外にもマングローブのカヌーツアーなど、奄美の自然も楽しみたい」と笑いながら語った。
 奄美市笠利町のこの日の最高気温は32・2度。汗だくになりながらツアー客を誘導していたスタッフの1人は「強い日差しが続くので、水分を十分取って体調管理をしながら日食の観測を楽しんでほしい」と話していた。

涼求めジッキョヌホーまつりにぎわう―知名町

 「平成の名水百選」に選ばれた知名町瀬利覚集落のジッキョヌホー(瀬利覚の川)で18日夜、第19回ジッキョヌホーまつり(瀬利覚壮年団主催)が行われた。町内外の文化団体が特設舞台で郷土芸能や演芸を披露し、涼を求める人々でにぎわった。
 区長の吉田文雄さんは「待ちに待ったホーまつり。川の景観と集落の文化芸能を世界に発信したい」とあいさつ。平安正盛町長も「川を大切に守りながら地域活性化へつなげたい」と述べた。
 同町出身の前田博美さんが在籍する沖縄県立芸術大学音楽部がゲスト出演したほか、集落を挙げて伝承する獅子舞やヤッコ踊りなど郷土芸能も披露された。人々はござを広げて一重一瓶を囲んだり、夜店を回ったりと涼しげな川のほとりで思い思いに祭りを楽しんでいた。

熱中症に注意、奄美で14人が救急搬送

 5日の梅雨明け以降、最高気温30度以上の真夏日が続く奄美地方で熱中症が急増している。18日現在、奄美12市町村で14人が医療機関に救急搬送されている。鹿児島地方気象台によると、奄美地方の向こう1週間の最高気温と最低気温は平年並みか平年より高い見込み。喜界島と奄美大島には22日の皆既日食で本土や海外からの観測者が続々集結しており、医療機関は「日陰や涼しい所で十分な休憩と水分補給を。屋内でも温度や湿度の管理に注意してほしい」と呼び掛けている。
 熱中症の疑いによる救急搬送は、大島地区消防組合消防本部管内で7人、徳之島地区消防組合本部管内で5人、沖永良部与論地区広域事務組合消防本部管内で2人。
 奄美地方は19日も高気圧に覆われ、各地で厳しい暑さに見舞われた。名瀬測候所によると、奄美市名瀬で34・4度、沖永良部で31・9度を観測した。名瀬で15日連続、沖永良部で13日連続の真夏日となっている。
 熱中症は、高温や高湿の環境下で起こる全身の熱障害で、症状により熱失神や熱けいれん、熱疲労、体温調節機能障害を伴う熱射病に分けられる。
 医療機関などは、熱中症予防対策として(1)炎天下や屋内の暑い所での無理な運動は避ける(2)運動前や運動中には多少の塩分を含んだ水分補給に努める(3)通気性の良い服装を心掛ける(4)日傘を差したり帽子をかぶり直射日光を避ける(5)食事のバランスや十分な睡眠など体調管理する―ことなどを挙げている。
 また、吐き気やめまいなど体調に異常を感じたら(1)風通しの良い日陰や涼しい所に避難し、衣服を緩め風を当てて体を冷やす(2)食塩水やスポーツドリンクなど水分・塩分を補給する―などとしている。

7月21日(火)付 

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日食ツアー、各地で歓迎イベント

 皆既日食を22日に控え、奄美群島内の観測地・奄美大島や喜界島で、島外から来島した観測者を歓迎するイベントが相次いで催されている。皆既日食だけでなく奄美の風土を満喫してもらおうと工夫を凝らしており、八月踊りや島唄に触れながら地域文化を楽しむ来島者の姿も見られている。
 奄美市では20日夜、500人以上が訪れている笠利町の太陽が丘総合運動公園で、里集落の住民有志が八月踊り。名瀬ではかねく公園で奄美八・六会(奥山恒満主宰)が皆既日食にちなんだ歌詞で踊りを披露したほか、中心商店街のイベントでも八月踊りが催された。
 踊りの輪には、島外からの観光客も参加。神奈川県横須賀市の堀口清美さん(29)は「難しいけど、一緒に踊っているだけで楽しい。島の文化としてずっと伝えてほしい」と話した。 
 喜界町では前日の19日夜、湾地区の空港臨海公園で町文化協会主催のイベント「ゆうーうもえーたそう、喜界島かち」(よくいらっしゃいましたね、喜界島へ)があり、同協会所属の12団体が太鼓や新民謡で来島者を歓迎。地元の歓迎に応えようと、来島者有志によるファイヤーダンスなども披露され、島内外双方の舞台で交流を深めた。20日には塩道長浜公園で早町住民が八月踊りを催した。
 21日には前日に続き、奄美市の2カ所で八月踊りが披露されるほか、喜界町荒木では「皆既日食祭」と銘打って、草木染めやサトウキビジュースづくりなどの体験、舞台演芸や海中写真の展示といった総合的な地域イベントが予定されている。

皆既日食目前、海路ラッシュ

 皆既日食を目前に控えた20日、海路で奄美大島入りするツアー客らのラッシュが始まった。この日、奄美市名瀬には大型客船「にっぽん丸」などチャーター便や定期便、臨時便など7隻8便が入港。2000人超の観光客らが入島した。21〜22日にも臨時便など7便が入港する。
 「にっぽん丸」は午前7時前に同市名瀬の観光バースに入港した。ツアー客らは受け入れスタッフの誘導を受けながらバス6台に分乗し、奄美大島北部や南部の観光地へと向かった。
 小学生のツアーに参加した山崎隆寛君(9)=東京=と橋本卓弥君(同)=大阪=は「皆既日食はとても楽しみ。24日まで奄美にいて、マングローブを見たり、泥染めや塩作り体験などもする予定だよ」と笑顔で話した。

ウミガメ卵にご注意、用海岸で監視員が囲い

 ウミガメの監視員として活動する松崎文好さん(70)=奄美市笠利町佐仁=は19日、同市笠利町用岬の海岸でウミガメの産卵が確認された場所に保護のための囲いを設置した。松崎さんは「皆既日食の観測者が誤って産卵カ所に入らないよう設置した。あと数日もすればふ化するので、なんとか元気な状態で生まれてきてほしい」と話している。
 松崎さんによると、同海岸では6月中に多くのウミガメの産卵が確認されている。そのうち10数カ所の産卵場所で皆既日食当日、多くの観測者が訪れると予想されるため、卵が埋まっている場所に棒とロープで囲いをした。
 松崎さんは「毎年多くのウミガメが産卵に上陸する。産卵場所の近くにテントを張っている人もいる。ウミガメの卵がすぐ近くにあることを知ってもらい、卵に悪影響がないことを願いたい」と話した。

7月22日(水)付 

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衆院解散、奄美でも事実上の選挙戦へ

 衆議院が解散され、事実上の選挙戦に突入した22日、奄美の2区候補の事務所も選挙本番に向けた準備を着々と進めている。各陣営は鹿児島市の各後援会事務所と連絡を取り、今後のスケジュールを確認し合うなど臨戦態勢に入った。
 徳田氏の後援会は19日に奄美市で事務所開きをしたばかり。奄美地区選対本部長の与力雄県議(自民)は「候補にとっては自民入り後初の戦いだが、入党によってかつてあった保徳戦争のしこりはさらに薄れてきた。勝利して一層、奄美の結束を強めたい」と話した。
 打越氏の後援会は解散を挟んで地区選対となる事務所を新たに確保。25日には同市で総決起大会を開く。民主党奄美支部の平田勝三代表は「徳田氏に比べまだ組織的な活動にはなっていないが、25日の決起大会を機に一気に走り出したい」と話した。
 神村氏は6月末の出馬表明後、1週間に1回のペースで奄美入りし、街頭活動を展開している。神村氏は「結果はともかく投票日まで全力で走りたい」と話した。
皆既日食直前、来島者は食や文化を体感
 今世紀最長の皆既日食で注目される機会を生かし、奄美の伝統食や伝統文化をPRする鶏飯祭り・一集落1ブランド体験イベントが21日、奄美市笠利町であった。同町が国内外に発信している鶏飯や島唄、塩作り、八月踊りといった「宝」を本土からの観測者に体験してもらい島おこしにつなげようと、奄美市笠利地区皆既日食連絡協議会が主催した。約30人の参加者は、世紀の天文ショーに先駆け、奄美の宝を満喫した。
 笠利町外金久の元祖鶏飯「みなとや」であった鶏飯祭り。同連絡協議会の塩崎博成会長が「ようこそ奄美へ。笠利の食と文化を体感して奄美ファンになってください」と歓迎あいさつ。県スローフード協会会長の久留ひろみさんが鶏飯のルーツなどを解説し、関係者がパネル討議した。
 唄者の中村瑞希さんと坪山豊さんが自慢ののどを披露して祭りを盛り上げた。中村さんと記念写真に納まった東京都の医師重原健吾さん(35)は「奄美は初めて。鶏飯はおいしかった。中村さんと握手できて最高です」と感激していた。
 午後2時から3時までは打田原集落で塩作り体験。和田昭穂区長から塩作りの説明を受けた後、全員が塩のすくい上げを体験。家族3人で東京から来た小学六年の高橋佳那さん(12)は「天然の塩作りは初めて。容器の塩は重たかった」と話していた。
 午後4時からは佐仁小学校で八月踊り体験。佐仁八月踊り保存会のメンバーが輪になって伝統の八月踊りをにぎやかに演じ、参加者もチヂン(太鼓)やハト(指笛)に合わせて踊りの輪を広げた。
 参加者を郷土料理でもてなした同保存会の前田和郎会長は「唄や踊りに郷土料理。そして温かい人情。奄美の良さを見てもらい、本土でたくさんPRしてほしい。そして、もう一度奄美に来てもらいたい」などと話していた。
奄美から移送のルリカケス、平川動物公園で死亡
 県環境部自然保護課は21日、奄美市で保護され、6月に鹿児島市の平川動物公園に移送、野生復帰に向け飼育していた国の天然記念物ルリカケスの幼鳥1羽が死亡しているのが同日午前7時40分ごろ確認されたとの連絡が同園からあったと発表した。鹿児島大農学部獣医学科で解剖した結果、死因はヘビ類に襲われたためとみられるという。
 自然保護課によると、3月26日、奄美市名瀬のリサイクル施設に持ち込まれたサイロのダクト内でルリカケスの巣が発見された。元の場所に巣を戻すことが困難だったことから、県の傷病野生鳥獣保護事業でひな3羽を奄美市で飼育した。
 その後、奄美での飼育が難しくなったため、ルリカケス飼育の実績がある東京・上野動物園にひな2羽の一時飼育を依頼した。奄美で治療を続けていた残り1羽は順調に生育し、野生復帰に向けてのリハビリ段階に入ったことから6月12日、平川動物公園に移した。
 同動物園の飼育員によると、移送後、動物園の環境や餌にも慣れてきたため、2004年までルリカケスを飼育していた広い施設に移すことを県に相談しようとしていた矢先だった。
 鹿児島大や同動物園の関係者は「状況から見て死因はヘビに襲われたため」としている。ヘビは金網越しに侵入したとみられる。園内では以前からアオダイショウがよく見かけられ、シマリスが襲われ死亡した被害があったという。

7月23日(木)付 

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皆既日食、奄美大島と喜界島で観測に沸く
 今世紀最長の天体ショーといわれる皆既日食が22日午前、奄美大島北部や喜界島などで観測された。ツアー客ら観光客、帰省者まで国内外から同日までに1万5千人ともみられる人々が両島に入り込み、地域住民とともに今世紀最長の天文ショーに見入った。他の奄美の島々でも部分日食が見られ、人々は自然の豊かさを感じ取った。
皆既日食継続時間が両島で最も長い奄美市笠利町のあやまる岬は、夜明け間近の午前5時半には100人ほどが高台に集まり、大型の望遠レンズをセットしたカメラを空に向けた。200台分の駐車場も午前7時には満杯となった。
 日食とは、太陽と月の見える方向が重なって月が太陽を隠す現象で、太陽と月がぴったりと重なった状態を皆既日食という。前日までの青空とは打って変わり、曇天。太陽が月に覆われて黒くなってその周りの真珠色のコロナが現れるといった現象は観測できなかったが、皆既日食で辺りが急に夕闇に包まれると歓声が上がった。
 喜界町の小野津グラウンド(皆既日食継続時間3分近く)では午前10時57分、雲の切れ間から、太陽が一点だけ輝くダイヤモンドが出現し、どよめきとともに「すてき」の声が漏れた。「喜界島が一番条件が良かった」と笑みをこぼす人もいた。
 皆既日食は国内では1963年7月に北海道で観測されて以来46年ぶり。奄美市の実行委員会によると、笠利崎に220人、名瀬の長浜みなと公園に400人が集まるなど同市内15カ所の観測地は1万2000人が繰り出したと推計している。26年後の2035年9月は富山と茨城を結ぶ一帯で皆既日食が見られる。
特別な日、奄美市で10組が婚姻届
 月が太陽を完全に覆い隠す皆既日食が奄美大島や喜界島で起きた22日、奄美市役所名瀬総合支所には記念すべき日に入籍し、2人の新たな門出にしようと婚姻届の提出に訪れるカップルの姿が見られ、同日だけで10組の夫婦が誕生した。
 婚姻届を午後4時40分に提出し、午後5時7分に受理されたのは、東京都の会社員黒木誠史朗さん(35)とサービス業サオリさん(39)。
 誠史朗さんは宮崎県出身、サオリさんは兵庫県出身。友人を介して10年来の付き合いがあり、昨年5月に4年ぶりに再会した。
 誠史朗さんは「太陽と月が完全に重なり合うことに連動させて提出しました。彼女はとても明るい」と照れくさそうにほほ笑んだ。
 「子どもはたくさんほしい」と誠史朗さん。サオリさんは「明るく、楽しい家庭を築きたい」と語った。
アカショウビン鳴く―奄美野鳥の会が動物調査
 奄美大島北部の森や海辺で22日、皆既日食で闇になった昼間に鳴かないはずの鳥がさえずるなどの現象が見られ、森でその様子を観察した児童たちは自然への意識を高めた。奄美野鳥の会は奄美市の依頼を受けて島内で動物の声や動きを調べており、今後、その内容を分析してまとめる。
 龍郷町の奄美自然観察の森では、「子ども博物学士特別講座」を受講中の児童たちが、朝夕に鳴くリュウキュウアカショウビンのほか、夕方に鳴くヒメハルゼミの声を聞いて「皆既日食中ははっきり見えなかったけど新しい発見ができた」と笑顔を見せた。同町の市理原付近では鳥が一斉に飛び立ったという。
 奄美野鳥の会は18日から約1週間、ボイスレコーダーを島内10数カ所に設置。同じ時間帯で前後3日間と皆既日食の22日の音声を比較して生き物の変化を調べる。そのうち4カ所には会員を配置。皆既日食で空が暗くなりだしたころ、笠利町ではサギやハシブトガラスなど数種の鳥がねぐらに戻る状況を確認した。
 調査を担当している永井弓子さん(34)は「まだ調査中で何ともいえないが、鳥たちは皆既日食を異常現象でなく自然現象と受け止めたのではないか。調査に協力している住民にお礼を言いたい。皆既日食を契機に奄美の人々がもっと自然に関心を持ってくれたらうれしい」と話していた。

7月24日(金)付 

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奄美市で皆既日食トークライブ

 皆既日食記念トークライブ「totoganasi」(同実行委員会主催)が23日、奄美市名瀬の奄美文化センターであった。世界的アウトドア衣料品メーカー「パタゴニア」創業者のイヴォン・シュイナードさんらが出演。「持続可能な未来のために」をテーマに、皆既日食の話題を絡めながら奄美の今後の在り方を探った。
 トークライブはイヴォンさん、映画監督の龍村仁さん、奄美リゾートばしゃ山村代表の奥篤次さんをゲストに迎えた。
 龍村監督は映画「ガイアシンフォニー」の撮影で来島した。皆既日食をとらえることはできなかったが、「それも天の恵み」と発想を転換したことで「見たことのないような映像が撮れた」と強調。「一歩踏み出したときには必ず混乱が出てくる。そのときこそ何かが変わるチャンス」と語り、最後に意味を持つのは結果ではなくプロセス―と位置付けた。
 奥さんは奄振によるインフラ整備が砂浜消失などの一因になっているとし、「砂が硬くなりカメが産卵のための穴を掘ることができない」と環境破壊の現状に警鐘を鳴らした。
 イヴォンさんは「来島客は東京で見られる建物ではなく、奄美の自然の美しさを目にしたいと思っている」と指摘。環境破壊を食い止める解決策として(1)テトラポットを置かない(2)海岸線にホテルを建てない―を挙げ、「その地域特有の建設方法を導入した建物を提供することで、観光客は自然や文化の素晴らしさを再認識することができる」と語った。
 世界を旅するフォトジャーナリスト、山田周生さんは皆既日食の写真をスライドショーで紹介した。「奄美は自然とのきずなが残る特別な島。エネルギーや食糧を島で循環していけたら世界のひな型になる」とメッセージを寄せた。
 スペシャルライブでは瀬戸内町出身の歌手、元ちとせさんらが島唄で花を添えた。

県環境レター、奄美から2人優秀賞

 自然環境の保護や環境保全活動に意欲的な子どもたちを対象に「環境レター」を募集していた県は21日、優秀賞6点を決定し、作者を「かごしまこども環境大臣」に任命すると発表した。奄美から龍郷町立龍北中2年生の平山貴寛君と同町立秋名小4年生の入江李紅君の2人が選ばれた。
 「環境レター」は5月から6月末まで県内の小学4年生―中学3年生を対象に募集。小学生が20校から438人、中学生が10校から107人の応募があった。
 かごしまこども環境大臣に任命される6人のうち、平山君の環境レターのテーマは「きれいな海を作るためのルール」、入江さんは「マングローブ林の生き物たち」だった。また、姶良町立重富中1年生の下中陽南子さんも「奄美の自然が教えてくれたこと」をテーマにした。
 県環境部地球温暖化対策課によると、2006年度に始まった環境レター募集で奄美から優秀賞に選ばれたのは、今回も合わせて計8人。龍郷町が7人を占め、奄美市住用町1人。うち秋名小は3年連続、龍北中は3年ぶり2回目となる。
 優秀賞6人は、30日に鹿児島市のかごしま県民交流センターで開催されるかごしまこども環境大臣サミットで環境セミナーやワークショップ、環境宣言づくりなどに参加するほか、31日は県庁で表彰式とかごしまこども環境大臣任命式に臨み、環境宣言を発表する。

日食観測の来島9家族、奄美の魅力満喫

 奄美市名瀬の泥染め公園で23日、日食観測のため来島した9家族約40人が泥染めを体験した。手伝いのため参加した奄美看護福祉専門学校の生徒6人も一緒に初体験。一日がかりでオリジナルTシャツやストールを完成させた。
 東京や大阪、大分など別々の場所に住む友人同士、メールでやりとりし奄美行きを計画。自分たちで旅のプランを練った。前日の皆既日食は、皆で笠利町あやまる岬近くで観測した。
 この日は、奄美の伝統工芸を体験しようと朝から泥染め公園を訪問。好きな柄を選び、シャリンバイ染めや泥染め、絞りの工程を繰り返した。小さい子どもたちも手を紫に染めながら一生懸命染色。専門学校の生徒らも積極的に作業を手伝った。
 何度も染めを重ねる工程に一行は驚いた様子。大阪から来島した小北悦子さん(39)は「大変な作業だけど、泥染めが楽しかった。どんなTシャツができるか楽しみ」と笑顔で話した。
 奄美の印象について、参加者は「とにかく暑い!北と南で雰囲気が違って面白い」などと語った
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