6/1 大人計画「まとまったお金の唄」
6/1
大人計画「まとまったお金の唄」
作・演出:松尾スズキ
出演:阿部サダヲ、市川実和子、宮藤官九郎、伊勢志摩、村杉蝉之介、
荒川良々、近藤公園、平岩紙、内田滋、菅原永二、松尾スズキ
大阪厚生年金会館 昼公演 M列下手寄り
感想やわかり辛いストーリー説明など…なげーです。
明日もっかい観に行く予定なのですが今のうちに一旦書いておきたくて。
二回目観たらまた追記すると思います。
「ある家族が一つの事件のお陰で借金が出来て、そのお金のせいでどんどん悪いほうに転がっていくって話で。まとまったお金さえあれば何とかなったのに、っていつも思ってる人達の話」
「重い話ではあるんだけど、だからこそ笑いは散りばめたいなって思っています。言ってしまうと、命に関する痛い話なんで。それを“まとまったお金”って言い換えてる。ある意味、命って値段がつくじゃないですか。一人の命のことを“まとまったお金”って言い切っちゃえる切なさを書きたいなと」
「お金が掛かることと同時に“食べる”ことが“生きる”ことだと思うんですけど、生きてることにまとわりついてくる“排泄”ってものが、ある意味、“死”なのかなって。生と死の話を書くとすると、食べるってことと排泄ってことは書かなきゃいけないなって思ったんですよ」
松尾スズキ(THEATER PRESS Vol.14インタビューより抜粋)
■舞台は1970年代。オーチャカ万博を間近に控えたある一家の話を
スミレ(市川実日子)を中心として、大きくなったスミレの娘・博子(平岩紙)が語る。
当時スミレは16歳、姉のヒカル(阿部サダヲ)は17歳
父親が太陽の塔の建設中に転落死する。借金だけが残り保険も下りない。
その夜、母のヒトエ(荒川良々)は神様がいっぱい出てくる夢を見て
気をおかしくしてボケが始まり、夫が死んだことを何度でも忘れるようになる。
葬式の日、乞食の神木(内田滋)が式場に現れ、父親には生前お世話になったからと
道端で拾ったオーチャカ万博の入場券を一枚くれる。
ヒカルとスミレは目を輝かせて喜ぶがヒトエがビリビリに破ってしまう。
■ヒカルはスミレに、隠していたサンタの衣装を見せる。
それは毎年父が着ていたもの。「サンタクロースの抜け殻や!」
そしてスミレは「勝った!」と思う。今まで姉には何も敵わなかった。
親も姉ばかり可愛がっていた。でも、17歳にもなってサンタを信じている姉はバカだ。
「勝った!」と思った拍子に、スミレに初潮がきた。
■スミレ曰く、女の子はお菓子と錦野アキラ(=性の意識)でできていて、
錦野アキラがお菓子を超えてしまった瞬間に、生理が始まる。
姉より先にきてはいけないと思い、気合いだけで止めてたのに。
■借金取りのカクマル父(村杉蝉之介)とその息子カクマル(近藤公園)はヒトエにとてもよくしてくれる。
借金返済のため離れの家を手放すよう勧めるが、あれはヒカルが家庭を持ったときのために
夫が立てた家だからと首を縦に振らないヒトエ。
今現在その離れには学生運動にのめりこんでいく蝶子(伊勢志摩)と
その旦那でありウンコ哲学者の馬場(宮藤官九郎)が居候してる。
■自室の姉妹。ヒカルが巨大な靴下を吊るす。
自分達は不幸だから大きなプレゼントをもらって帳尻合わせしないといけない。
スミレは自分に生理がきたことを言えない。
その夜、ヒカルはオッサンの夢を見る。
それから彼女は「オッサンに会いたい」と想いを馳せるようになるが、
次第に「自分はオッサンになりたいんじゃないのか?」という疑問に変わっていく。
■目が覚めたら赤い服の男がよろよろと現れ、ヒカルはサンタクロースだと思って喜ぶが様子がおかしい。
服が赤いのは血で染まっていたせい。それは蝶子と馬場の知り合いで、
なんか赤軍派だとかで追われてる新宿と言う男(菅原永二)だった。
スミレは新宿に東京弁を教わるようになり、それを見たヒカルはスミレがこの家を出たいのだと思う。
自分に全部押しつけて何処へでも行けばいい。自分は贔屓して育てられてきたから、
親の面倒を最後まで見る義務がある。
そしてスミレの書いた小説を無断で新宿に見せる。
■神木が再び家に現れ、余りに汚いので風呂に入ってもらうことにする。
風呂から上がった神木は見違えるほど美少年。ヒカルはこの時初めて恋心を覚える。
その頃、スミレが貼りあわせたボロボロの万博入場券が出てくる。
ヒカルはどうしても万博に行きたかったが、スミレに譲り、
しっかり見てきて自分に様子をレポートしてくれるよう頼む。
スミレはそこまで興味は無かったが姉のために引き受ける。
万博では既に閉会式が始まろうとしている。
送ってやるという馬場の自転車の後ろに乗るが、連れて行かれたのは太陽の塔が見えるラブホテルだった。
その昔、レイプをされた蝶子はセックスの出来ない体になってしまい、馬場は32年間を童貞で過ごしてきた。
そのお陰で、本当は潔癖症なのに、食物の研究からウンコの研究するはめになってしまった。
より深く追求するために自分はセックスを理解しないといけない。
彼はスミレにはまだ生理がきていないと勘違いしている。
暴力は嫌悪しているが、生理がきてないからノーカンだ。
万博の閉会式の音を聞きながら、スミレは処女を奪われる。
■それからスミレは万博について聞きたがるヒカルを避けるようになり、ヒカルは学生運動に参加する。
蝶子の活動はどんどん過激さを増す。ある日「中絶の自由化」を図るため、
産婦人科に忍び込みカルテを盗もうとしているところを捕まり、発砲される。
蝶子が居なくなった次のリーダーは新宿。秘密の地下室で緊急会議。
望まれない子を身篭った妊娠3ヶ月の女の子が居ると言って、連れてこられたのはスミレ。
ヒカルとスミレが口論してると馬場が降ってくる。彼は万博が終わってから「ウンコ爆弾」を発明していた。
人が「ウンコは汚い」という概念を持っている限り、ウンコ爆弾は威力を発揮する。
この爆弾とカクマル父が客から取り立てたセスナを使い、一同は蝶子の奪還を図る。
■スミレとヒトエが電話。ヒトエは誰の子かも聞かず素直に喜び、
名前も万博から取って「博子」と決めたが、
その時にはスミレは既に流産していた。
■この街にはその昔、チン切り魔という、少年のチンコを切る通り魔というのが居た。
それは蝶子に交際を申し込む際「チンコ切り取って持ってくる」ことを条件に出され、
流石に自分のを切ることは出来ずその辺の少年のものを頂戴することにした馬場の仕業だった。
神木はその被害者だったが、自分よりも幸福な奴を教えれば見逃してやると言われ、
その頃はまだ金持ちだった蒼木家のヒカルを指名した。
ヒカルは馬場に陰茎を切り取られ女として育てられたトランスジェンダーだった。
不憫に思った両親はヒカルをスミレより大事に大事にしたが、生理は来ない。
そんな少年を見守るために馬場は蒼木家の離れに居候していたのだ。
■ヒカルのショックもそのままに、一同は反乱を開始。
ヒカルの判断で攻撃の対象は太陽の塔となる。
「蝶子さんを返さないと太陽の塔を爆撃する」
しかし蝶子は撃たれたショックで植物状態だという。
セスナはヒトエや神木を乗せて既に飛び立っている。
自棄になった馬場はみんな道連れにしようと、足元に爆弾を叩きつける、が、不発。
ウンコの汚さに愛の悲しみが勝ってしまった。
■死んだカクマル父の隠し子(村杉蝉之介)が運転するセスナは太陽の塔の上空を飛び、
爆撃を試みるが爆弾を忘れてきてしまった。
ヒトエはカクマルの息子に夫の幻影を見て、背後には神様(神木)が居て、
幸福に満ちながら靖国神社を目指し、そのまま行方不明となる。
■東京に送ったスミレの小説が認められ、スミレは東京行きを決意。
神木のふりをしたカクマルと共に新幹線に乗ったスミレは、生まれなかった娘の話を小説にすると言う。
スミレは博子と会話しながら、カクマルの肩を借りて眠りにつく。
それから二十年が経った。
スミレはアングラ劇団に所属する女優になり、変装がすぐにバレて大阪に戻ってきたカクマルは
蒼木家の離れの跡にスミレのための劇場「SUMILE座」を建てる。
ヒカルは馬場や、後遺症が残り車椅子で生きている蝶子らとバンドを組み、
太陽の塔は中が空っぽだから、セックスのとき入れてくれるし入れさせてもくれる、
みたいな内容の唄を歌う。
そして久しぶりにスミレが帰ってきた日、
阪神大震災が起こる。
■最後にはヒカルが、母の好きだったジョン・レノンの「イマジン」に乗せた唄を歌い、
博子がゴミ箱をひっくり返し「終わりです」
■見終わった直後は、ああよかったおもろかったーって思ってたのだけど
こうして、後になってよくよくバックボーンなんかを考えていたら
悲しくていとおしくてどうしようもなくなってきて、
上記のウンコ爆弾の辺り書きながら泣きそうになってしまった…
これ、拡声器で怒鳴る馬場が、痛々しくてすごいんですよね…
うあまた泣きそう…自分マジキモイ。
今回最もよかったのは、断トツで宮藤官九郎だと思います。ゾクゾクしたー…
衣装的にも、ピッチピチシャツにサスペンダーっていう昭和の服装が細い体に似合って似合って。
しかもモサヘアー…殺す気か!!!
ラブホ(エッチスポランド)のシーンとか、既に萌えの領域ですが、む…っちゃくちゃかっこよかった。
「エッチしよ?」ってスミレに寄りかかんの…大興奮
スミレの脚がパカッて開くとことか、ときめいてしまいました。
ローラースケートやキックボードもおもろい。コンドームキャッチしてぇ。
一番かわいそうなのがヒカルで
一番悪いのが馬場だと思う。
でも馬場も、全部蝶子さんを想うが故にやったことだから
誰も悪くないのに、誰もが不幸。その日常がこれからも続いていくような。
ぬるま湯のように繰り返す未来を予想させるラストだと思いまし、た。
あとは箇条書きにします。
・阿部サダヲの女装は覚悟してたけど、あのアクロバティックさとテンションには感動。
逆でんぐり返りみたいなのするとこすごい笑った
タイツ上げ下げも。明日は間近でじっくり見ないと…
・女の子たち(阿部込み)のレトロワンピがかわいかったー
・市川実日子はよくやってたけど、やっぱりあの面子の中に入るとショボく見えた
でも人選は正解だと思う。背が高いから阿部が無理なく女の子に見えたし
・内田滋と菅原永二がよくごっちゃになった。
神木は面白かった気がするけど、新宿がどんな人だったか全然覚えてない
・キリストの格好をした村杉「浅野忠信です」
・ヒカルがスミレに「深海魚みたいな顔して」
・伊勢宮藤コンビがやはりよかった…面白い分悲しい
二人ともカッコイイ。もうほんと……宮藤すごい。
・荒川良々のお母さんも痛々しくてよかったし
村杉蝉之介の演技力にも惚れ直した。
平石紙も近藤公園も、もうなんか、言葉が見つからないけどすごいよかった!!!!
みんなみんな何とも素敵です。いい劇団やなあ
・父親の葬式場で馬場がスミレをまくし立てるシーンが好き
ウンコ入りのビニールを持った馬場に対して「父の葬式にウンコ持ってこないでください」と言うスミレに、
ウンコは汚いがウンコが入ってるビニールは別に汚くない。人間の腹と同じ。
アンタの腹はこのビニールより綺麗だと言うのか?ウンコの入ったビニールを持った僕が
葬式に出れないなら腹にウンコを溜めてる人間もみんな出れないということになる、みたいな理論。
松尾さんらしい。
このときビニール越しのウンコを手で揉んだり蝶子の顔にペチペチしたりするものだから客席から軽く悲鳴
・警官の松尾さんが家に来て、蝶子の罪状について話すのに
みんな静電気にばかりびっくりするシーン好き
…きりがないのでやめようかな。
色んな意味で感動しすぎて言葉が見つからなくて、
その反動でなんか無駄にいっぱい書いちゃったけど、
とりあえず、二公演分取ってて本当によかった。一回じゃこの興奮治まらない。
しかも明日は二列目っすよ……泣くかもしれん
また更新します。中途半端ですみません。
Posted by inuzini2005 at 22:35
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