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土と向き合う/4 宮川大助さん

 ◇育てる喜び、大変さ体験を--「無農薬」家庭菜園で体調回復、宮川大助さん

 「人間は死んだら土に返るけど、一方で土から出てきたものを食べて生きている。自分たちが踏みしめているものを大事にしなければと思いますよ」。家庭菜園で野菜を作る「農」ある暮らしをしている宮川大助さん(58)はしみじみと話す。

 奈良県生駒市の自宅近くに畑を購入したのは5年前。88年に胃がんを発病した妻花子さん(53)の体調がすぐれず、無農薬野菜を食べて少しでも良くなればと考えたからだった。

 畑はそれまで25年間放置されていたため、落ち葉が積もってできた腐葉土は野菜作りに最適だった。収穫したジャガイモで肉じゃがを作った。「生涯でこんなにおいしいジャガイモは食べたことがない。コリコリとした食感が最高だった」

 今はトマトやキュウリ、インゲンなどが収穫期を迎えている。2日に1度は朝5時ごろから畑に出る。野菜はすべて無農薬。花子さんは体調が良くなり、耳にまでできていたじんましんも治った。

 大助さんは07年に脳出血で入院し、それまで以上に健康に気をつけるようになった。朝は収穫した野菜をスライスし、ドレッシングなしで食べる。「甘みがあるので十分おいしい。塩分は取らない」。昔は高血圧だったが、今は上が120ミリHg台になった。

 「いろんな人に家庭菜園を勧めたい。特に子供たちと一緒に野菜作りをして、草刈りをしたり、肥やしをやったり、その大変さを体験してほしい」と大助さん。日焼けした顔をほころばせた。【石田奈津子】=つづく

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 ■人物略歴

 ◇みやがわ・だいすけ

 1979年1月、妻花子さんと漫才コンビ「宮川大助・花子」を結成し、デビュー。夫婦漫才の第一人者に。吉本興業所属。9月19~23日、中日劇場(名古屋市)で芸能生活30周年を記念した「吉本錦秋爆笑公演」を開く。

毎日新聞 2009年7月31日 東京朝刊

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