【テヘラン共同】イラン南西部にある中東最大級の油田で、イラン核問題を受けて日本が自主的に権益を縮小したアザデガン油田の70%の権益を中国の国有石油大手、中国石油天然ガス集団(CNPC)が獲得する見通しになった。イラン石油省が運営するシャナ通信が1日までに伝えた。
日本は、核問題をめぐる状況が改善すれば当初の権益を回復することも視野に入れていたが、膨大な外貨準備を武器に世界各地でエネルギー権益確保に動く中国にさらわれた形。自主開発油田の確保を悲願とする日本には大きな打撃となる。
現状では、国営イラン石油公社が90%、日本の国際石油開発が10%の権益を有するが、シャナ通信によると、CNPCが70%、イラン石油が20%の権益を取得するとの覚書がこのほど交わされた。日本の国際石油開発の権益10%に変動はないとみられる。
中国が開発費用の9割を負担することでも合意したという。イラン石油は、日本側が30億ドル(約2800億円)を支援したが、「世界の経済状況の変化で、現状の枠組みで資金の手当てがつかなくなった」と説明した。
アザデガン油田をめぐっては、国際石油開発が当初75%の権益を保有。核問題が深刻化した影響で米国に配慮し、2006年10月に権益を10%に大幅縮小。操業権もイラン側に返上した。
オバマ米政権は今年3月、イランへの経済制裁を延長。日欧企業にイランでの新規事業を自粛するよう圧力がかかっており、日本は身動きが取れない状態が続いていた。
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