高速道路上の事故の過失割合に関する判例をピックアップしてみました。
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高速道路のランプウェイを走行して本線に合流したA車(大型貨物自動車)に、後方から本線を走行してきたB車(普通貨物自動車)が衝突し(第1事故)、停止したB車に、ランプウェイから走行してきたC車(大型貨物自動車)が衝突した事故(第2事故)につき、A車には本線車道に入ろうとする際の後方確認が不十分であった過失、B車には前方不注視及び制限速度時速100qを20q程度上回る速度で走行した過失、C車には前方不注視の過失を認め、本件事故が高速道路の合流地点付近の本線上で、流入ランプウェイの終端付近で発生したものであること、事故発生が夜間で、かつ現場付近が暗かったこと、第1事故から第2事故まで時間的余裕がなかったこと等の本件事故の態様等を総合考慮し、その割合はB車とA車・C車との間でB車が6、A車・C車が4とした事例。(大阪地判H9.7.25交通民30.4.1034)
渋滞中の高速道路本線を走行中の原告車(大型貨物自動車)と料金所からの進入路を走行してきた被告車(普通貨物自動車)とが接触した事故につき、自車の前方に進入しようとする車両の有無とその動静に対する安全確認が十分でなかった原告車と、原告車の前方に合流した4トントラックと原告車との間隔が3m程度しかないのに、その間に強引に合流しようとした被告車との過失割合を15%対85%と認めた事例。(大阪地判H13.6.5交通民34.3.733)
片側2車線の高速道路において、左側に車線変更を開始した被害車両(普通乗用自動車)とこれを右側から追い抜こうとした加害車両(普通乗用自動車)が接触した事故につき、加害車運転者には、十分安全に通過しうるだけの幅員のない被害車両右側に進出した過失があるとする一方、被害者運転者にも、特段進路変更を妨げる事情もないのに進路変更を中止し、その後も左側方向指示器を点灯させたままの状態で車体の一部を第1車線に入れて走行し続け、さらに十分な安全確認をせずにやや右側に進行させたという不適切な運転をした過失があるとして過失相殺を認め、被害車運転者に40%の過失相殺を認めた事例。(大阪地判H14.12.25交通民35.6.1708)
高速道路において、走行車線を走行していたA車(トレーラー)が追越車線を走行していたB車(普通貨物自動車)を追い越し、その直後、A車は追越車線に車線を変更して停止し、続いてB車がその後方に停止していたところ、更にその後方を走行していたC車(大型貨物自動車)がB車に追突し、その衝撃でB車がA車に追突した事故につき、A車には急制動の措置を講じ、高速道路上で停止した過失があり、C車には安全速度義務違反、車間距離保持義務違反、前方不注視の過失があるとして、その過失割合をA車60%、C車40%と認めた事例。(神戸地判H10.12.10交通民31.6.1888)
片側2車線の交通頻繁な自動車専用道路において、他車と競うような危険走行のすえ、合図をせず、後方車両の有無にも注意を払わずに第2車線から第1車線に進路変更し、第1車線上に停止した原告車(大型貨物自動車)に、第1車線を走行していた被告車(バス)が追突した事故につき、原告車等の異常な運転方法に気付きながら、時速60q程度に減速したのみで運転を継続し、ブレーキの動きについて判断を誤った被告車運転者に30%の過失相殺を認めた事例。(大阪地判H9.8.26交通民30.4.1197)
高速道路を走行中にタイヤがパンクして対向車線に飛び出した加害車(大型貨物自動車)が、対向車線を走行していた被害車(大型貨物自動車)に衝突した事故につき、劣化したタイヤで高速度の運転を続けた加害車運転者には過失があるとする一方、車間距離を十分に保持しなかった被害車運転者にも過失があるとして、双方の過失割合を加害車運転者90%、被害車運転者10%と認めた事例。(大阪地判H9.4.25交通民30.2.589)
夜間照明設備のない高速道路の走行車線を塞ぐ形で斜めに停止し、この様な状態は後続車の衝突を誘発するおそれが極めて大きい危険なものであったことが明らかであるにもかかわらず、この様な危険に対する配慮を欠き、約10分間にわたり、車を走行車線上に停止させたままにし、発炎筒をたいたり、三角板等の法定の夜間停止表示器材を設置するなどの警告措置を一切とらなかったこの加害車を、後続の被害車(普通乗用自動車)が避けようとして、路肩部分に停止していた大型貨物自動車に衝突した事故につき、事故発生の主たる原因は、法定の最高速度である時速100qをはるかに越える著しい速度違反又は前方不注視にあったとして、被害者に70%の過失相殺を認めた事例。(東京地判H7.1.26交通民28.1.84)
夜間、高速道路のインターチェンジにおいて自損事故で停車中の被害車(普通貨物自動車)に、加害車(大型貨物自動車)が時速115q(制限速度80q)で追突した事故につき、自損事故についての安全運転義務違反の過失責任の有無については明らかでなく、事故自体は自損事故直後に発生しており、被告らの主張する三角表示板の設置などの安全措置をとるだけの時間的余裕はなかったとして、被害者に過失相殺すべき過失はなかったとした事例。(東京八王子支判H10.5.7交通民31.3.652)
片側3車線の高速道路上で、第1通行帯を走行中のA車が第2通行帯に車線変更中、第2通行帯を走行中のB車が急ブレーキをかけ蛇行、後続のC車左前部とB車後部が衝突(第1事故)、その後、第3通行帯上に停止していたC車にD車が追突した事故(第2事故)につき、A車運転者には、B車が並走し、安全に車線変更できる状況にないにもかかわらず、B車の動向に注意を払わず漫然B車前に車線変更、B車に急ブレーキを余儀なくさせた過失、B車運転者には、並走するA車の合図を見落とした上、危険を感じつつ漫然加速してA車を追い抜こうとしたため、急ブレーキをかけて走行の自由を失いC車に衝突した過失、D車運転者には、重大な前方不注視によりC車に衝突した過失がそれぞれ認められるとし、各過失行為と相当因果関係に立つ損害は、A車・B車運転者がそれぞれ総損害の10%、D車運転者は総損害の80%と認めた事例。(大阪地判H14.8.28交通民35.4.1169)
高速道路走行中の被害車(普通乗用自動車)の前方を走行中の被告車(大型貨物自動車)の荷台から防水シートが落下し、そのシートを避けようとして追越車線に入り、被告車の前方に出たところ、制御不能となり、ガードレールに衝突、それを飛び越えて大池に転落、後部座席同乗者2名が死亡した事故につき、被害車運転者の過失90%、被告車の過失10%を相当とした事例。(名古屋地判H11.5.31交通民32.3.843)
高速道路において、被告車甲から荷物が落下したために停止した後続の被告車乙に原告車丙が追突した事故につき、甲と丙の過失割合を4:6と認定した事例。(大阪地判H11.7.14交通民32.4.1126)