2009年7月31日1時15分
兵庫県明石市の歩道橋で01年、夏まつりの花火大会の見物客11人が死亡、247人が負傷した事故で、神戸第二検察審査会は、業務上過失致死傷容疑で書類送検され、3度にわたって不起訴処分(嫌疑不十分)となった明石署の榊和晄(さかき・かずあき)・元副署長(62)について、3度目の「起訴相当」を議決した。同審査会は「夏まつりの警備で重要な立場にあった元副署長が責任を追及されないのは、国民感情として納得できない」と指摘した。
改正検察審査会法が5月に施行され、審査会を構成する市民11人中8人以上が起訴すべきだと判断する「起訴相当」議決が2回続けて出れば、自動的に起訴されるようになった。今回の議決は、改正法施行後としては1回目となる。今後は、神戸地検が改めて不起訴処分とするか、3カ月以内に判断を示さなければ審査会は再審査に入り、そこで起訴議決となれば、検察官に代わって裁判所の指定弁護士が起訴する。
議決は15日付。神戸第二検察審査会が30日に明らかにした議決要旨によると、同審査会はまず、元副署長の過失の有無について検討。約7カ月前に開かれたイベントでも歩道橋付近で危険な混雑が生じていたことから、「このイベントの3倍にあたる約15万人が参集すると予想された夏まつりで、雑踏事故が起きる危険性を容易に予測できた」と指摘。その上で、不十分な雑踏警備計画を是正せず、当日もモニターでの監視などを怠ったと判断した。
一方、地検は元副署長について、業務上過失致死傷罪の公訴時効(5年)が成立していると主張。これに対し同審査会は、大阪高裁で実刑判決を受けた元明石署地域官(59)が上告中であることを踏まえ、「共犯者の裁判中は時効が停止する」とした刑事訴訟法の規定を適用して退けた。
同審査会は最後に、「二度とこのような悲惨な事故を起こさないためにも、過失の有無を裁判で明らかにし、責任の所在を明確にすべきだ」と指摘した。(根岸拓朗)