●久米宏の出馬・当選で引っかき回される
総選挙で民主党政権の誕生を恐れているのは何も霞が関の官僚だけではない。民放の幹部も選挙の動向をかたずをのんで見守っている。民主党政権になったら何が起こるか分からないためだ。
民放関係者は「政権交代が実現すれば、間違いなくテレビ局の収入は激減する」と語る。テレビ局の経営はいうまでもなくCM収入で成り立っているが、政権交代となれば、公共事業系PRスポットの収入がゼロになる可能性もあるという。
「これまでは政府から民放に対して数億円程度のスポンサー料が発生していた。草なぎ剛がCMキャラクターの全裸飲酒事件でミソを付けた地デジのPRを考えれば分かるはずです。他にも各省庁のPR番組やCM制作などで侮れない額がテレビ局に落ちていたのです。しかし、渋チンの民主党が月2万6000円の子ども手当を約束し、一方で消費税も上げないといっている。そうなれば一番にカットされるのはこの種のPR予算です。自民党からの発注もなくなりますからね」(広告代理店関係者)
09年3月期の決算ではテレビ朝日とテレビ東京が赤字に転落。他局も五十歩百歩という状況で、相変わらず苦しい決算が続いている。こんな時に公共事業系のPR番組がなくなることはかなり深刻なのだ。なかでも、厳しい立場に追い込まれるのが「24時間テレビ」と総選挙の投開票日が重なった日本テレビだという。
「親会社が読売新聞ということもあり、自民党とのパイプは太いが、民主党とのつながりとなると希薄です」(事情通)
キー局の悩みの種がもうひとつある。無所属か民主党からの出馬が取り沙汰されている久米宏の存在である。今週で「クメピポ」(TBS)が打ち切られ、ますます政界転身説が強くなっている。
「番組が打ち切られたことで、久米のテレビ生命は終わったといってもいい。何の未練もない久米が政界に転身する可能性は非常に高い。テレビの裏も表も知り尽くした久米が当選すれば、テレビ界を引っかき回すのは確実で、厄介なことになるといわれている」(ある民放の情報番組プロデューサー)
政権交代でテレビ界もガラッと変わる。いいことじゃないか。
(日刊ゲンダイ2009年7月29日掲載)