航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の有力候補である最新鋭ステルス戦闘機F22について、米下院が30日、追加生産分予算が削除された国防歳出法案を可決したことで、防衛省のF22導入は困難な情勢となっている。同省は今後、戦闘機F35を軸に代替機種の検討に入ることになりそうだ。
F22に関しては、米議会が機密保護を理由に禁輸措置を取り続け、ゲーツ米国防長官も現在計画中の187機で生産を終了すると表明。F22の選定は難しくなっていたが、6月に米上下両院が相次いで、日本への輸出仕様機の調査・研究条項を含む国防歳出法案を可決したことから、防衛省はF22導入に望みをつないできた。
しかし、今回の下院の法案可決は、F22導入の環境を再び悪化させた。河村建夫官房長官は31日の記者会見で「日本として代替を考えていかなければならない」と述べ、同省幹部も「F22はほぼ無理だろう」との見通しを示した。
ただ、航空幕僚監部にとって、世界最高峰のステルス機能を有するF22の調達は悲願。そうした経緯もあってか、同幹部は「米国内向けが生産中止になっても、輸出用を生産しないとは決まっていない」と未練たっぷりだ。【仙石恭】
毎日新聞 2009年8月1日 東京朝刊