あたちの名前は「のん」ちゃん。
あたち達が毎日楽しそうだったからって、かーちゃんがあたち達に楽しそうな名前を付けたんだって。
かーちゃんが「のんちゃんの“ノン”はのん気の“ノン”」って言うんだよー。
「のん気」っていうのは、何でものんびりしていて、「焦らない」「慌てない」って事なんだって。
だからあたちの体調はゆっくり治っていくんだって。
あたち、頑張ってるよ。

午前中に、音ちゃんから教えてもらった事を記事にしておこうと思い、ここまで書きました。
ちょこんとお座りし、可愛い声で私を呼び、回復しているように見えました。
けれど音ちゃんは午後から急激にぐったりしはじめて、３時を過ぎた頃にはやっと息をしているような状態になりました。
それでも音ちゃんは頑張りました。
ウィルスに必死で抵抗し、必死で呼吸を繰り返しました。
６時半になったら先生がお注射をしてくれるよ、音ちゃん、あと少し、頑張ろう。
そんな事を音ちゃんに言い続けました。
何度も体が横に倒れました。
でも自ら体を起こし、顔を持ち上げて声を出し、生きようとしました。
５時半、早いけど病院へ行ってしまおうか、悩みました。
けれど音ちゃんはもう限界でした。
その姿に、私は頑張れと言えませんでした。
ありがとう、ごめんね。
もういいよ。
頑張らなくていい。
もう苦しまなくていいよ。
早く逝かせてあげたい。
早く楽にしてあげたい。
もう音ちゃんを無理に生かす事はやめたいと思いました。
５時５０分、音ちゃんは苦しそうにもがき始めました。
腕に抱き、音ちゃんのもがき苦しむ声に応えました。
うん、うん、そうだね、苦しいね。
偉かったね、頑張ったね。
許してなんて言えないよね。
本当にごめん。
音ちゃんの可愛い姿、一生忘れない。
音ちゃん、ありがとう。
音ちゃん、毎日楽しかった。
本当にありがとう。。
６時調度、音ちゃんは天に昇りました。
ふわふわシッポも長くて、半長毛のキジトラちゃん、白いソックスが可愛い子でした。
何をしている姿もちょっとテンポがずれてて、それがまたたまらなく可愛い子でした。


音ちゃんは私にメッセージを残してくれました。

かーちゃん、もう泣かないで。
かーちゃんが泣いているとあたちも悲しい。
かーちゃんが泣いていると、みんなが心配してみんなも泣いちゃうよ。
かーちゃん、あたちとあたちの仲間が死んでしまった事、そこには悲しみしかないの？
かーちゃんがあたち達を思い出すとき、苦しんでいたあたち達しか思い出せないの？
あたちは楽しかった思い出がいっぱいあるよ。
かーちゃん、あたち達の死を無駄にしないで。
あたち達、無意味に生れて無意味に死んだわけではないよ。
かーちゃんがあたち達とのこの思い出を、悲しみと苦しみだけにしてしまったら、あたちはとても悲しい。
かーちゃんがいつまでもあたち達の死を背負っていたら、あたち達はもっと悲しいよ。
あたち達はかーちゃんに一生懸命に伝えたよ。
かーちゃんはかーちゃんなんだから、だから大丈夫。
残っているみんなをお願いちます。
かーちゃん、ごめんなさい。
かーちゃん、ありがとう。

本当に音ちゃんがそう言っているようでした。



私が音ちゃんの飼い主さんなら、しばらく腕に抱いて、しばらく悲しみに涙する事を許されるのに、私にはその時間は与えられていません。
他の子への感染を防ぐ為にできる事を、瞬時に的確に考えなくてはいけません。
悲しむ余裕も与えられていない、それはとてもつらい事でもありますが、保護活動は「かわいそう」という感情ではできない事、それをあらためて思い知らされます。



音ちゃんからのメッセージを受け止め、いくらか気持ちが前に向きました。
急に食欲も出て、急に眠気も出てきました。
するとそこへ３本の電話がありました。
１本目は、5/31に、家の庭で子猫が産み捨てられてそ相談してくれた方。（記事はコチラ）
はじめは自分は被害者だとおしゃっていて、触るのが怖い、親指と人差し指でつまんで持ち上げるぐらい汚いという印象しかない、猫なんて可愛いと思った事もないし猫の扱いもわからないとおっしゃっていて、仕方なくごはんにかつおぶしをまぶしたものと牛乳を箱に入れ、箱は外に置いてあるとの事でした。
約１時間半、いろんなお話をし、月曜日、猫を飼養するのに必要な一通りのものをお渡ししたのでした。
お電話で、その方は「私はどういうわけか久松マジックにかかってしまいました。最初からそう仕向けるつもりでしたか？今日から飼い始められるだけの一通りを渡されたので、今日から飼える状態になってしまったではないですか。可愛いと思ってしまっていて、手放したくないとも思えてきて、愛着が沸いてしまって、あなたのせいですよ。子供達にも、命の大切さを私がこの子猫を世話する事を通じて教えてあげたいとも思ってしまっています。」
そうおっしゃっていました。
嬉しかったです。
また猫の魅力を知ってくださった方が増えました。
また猫仲間が増えました。
そんなマジックが本当に使えたらいいですね。
この方は来週発行の情報誌に募集情報を掲載したそうで、その反応を待って、再度募集をかけるのか自分で飼うのかを決めるそうです。

次の電話は病院の先生の所に５年も保護されていて、私が代理募集をかけたキジトラのしわす君の譲渡先様から。（記事は保護ブログのカテゴリ代理募集から見られます）
すっかりおうちの子になったしわす君を連れて、保護して下さっていた病院へ行くので私にも会って欲しいとの事でした。
私は音ちゃんを見送った後、支度をし、久しぶりにお化粧をし、病院へ行きました。
私が病院へ到着した頃は、もうお帰りの準備が整っていて、しわすくんは姫君のアイちゃんとキャリーにいました。
しわす君は半年振りに病院の中を探索したりさせてもらったそうです。
久しぶりに帰った故郷はどうだったかな？
病院の事や先生のことは覚えていたかな？
先生もさぞお喜びだったと思いますが、私も嬉しかったです。

そして病院へ向かう途中で、太郎の譲渡先様から。
太郎はとてもいい子にしていて、甘ったれた可愛い表情も見せてくれるようになって、すっかりおうちに慣れたそうです。
飼い主さんに甘えて幸せそうで、嬉しく思いました。
また写真が撮れたら送ってくださるそうなので、その時にはまたご紹介したいと思います。



音ちゃんが残してくれたメッセージは、私の心にあかりを灯してくれました。
久しぶりに家族で夕飯を食べ、久しぶりに家族でテレビを見ました。
久しぶりに人と会って笑いました。



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