今年の防災白書は自然災害の戦後史を振り返っている。50年前の伊勢湾台風では5千人を超す死者・行方不明者が出た。だが、台風の犠牲者はその後減ってきた。
治山・治水が進み、予報技術や情報伝達の手段が発達した結果と記す。しかし、自然は人間の予想を超えて猛威を振るう。かつてなかったような激しい集中豪雨が西日本各地に大きな被害をもたらした。美作市は竜巻とみられる突風に襲われ、群馬県でも竜巻被害が出た。
気象庁は今月から全国各地の気象レーダーの観測間隔を従来の10分から5分に縮めた。積乱雲の急速な発達をいち早くとらえ、局地的大雨の被害低減につなげるためだ。
雷を予測し、警報メールを出す実証実験をNTTが岡山県新庄村で行っている。岡山県は30日、「危機管理チーム会議」を開き、防災体制強化を話し合った。社会を挙げて必死の取り組みが続く。
個人も心構えを新たにしたい。内閣府の防災情報サイトに災害経験者の体験談が載っている。2004年に新潟県中越地震に遭った男性は3年後、今度は中越沖地震に見舞われた。
最初の地震後、「生きている間にもう大きな地震はないと変な自信まで持っていた」と反省する。自然災害で自分だけ大丈夫はあり得ない。梅雨前線は列島上に居座ったままだ。