オマケSS『ヒマワリとあしゅかちゃん』

書いた人:しおしお


 

 夏休み真っ盛り
 ここ第3新東京市も学生たちは夏休みであり……。

 アスカちゃんもワンピース姿に麦藁帽子と言う格好で楽しそうに歩いています。
 そこで、ヒマワリ畑に差し掛かりました。

「にゅにゅ〜、大きいヒマワリさんなの〜」

 アスカちゃんは、道沿いに咲いたヒマワリを見上げています。
 その後をシンジくんが歩いてきました。
 シンジくんは、ヒマワリの花に向かって背伸びするアスカちゃんを見ます。

「あはは、アスカよりも成長早いからね」
「にゅ〜? はやいの〜?」
「うん。一気に延びるからね。僕もあっという間に追い越されるよ」

 シンジくんも、道沿いに咲いているヒマワリの隣に立ちました。
 シンジくんよりも、背の高いヒマワリがたくさん咲いていますね。
 アスカちゃんはシンジくんのそばで、ヒマワリと背比べをしているシンジくんを見上げています。

「ほらね。追い越されてるよ」
「あしゅかちゃんもヒマワリジッと見てみたいの〜」
「あはは、そうだね。じゃあ肩車しようか?」
「うん♪」

 シンジくんに誘われたアスカちゃんは、嬉しそうに肩車をする。
 すると下からでは判らなかったヒマワリの花畑の風景が、視界に飛びこんできました。

「わ〜、ヒマワリがイッパイなの〜」
「そうだね」
「黄色の畑になってるの〜」

 アスカちゃんは喜びをイッパイに表現しながら、はしゃいでしまいます。
 そのはしゃぎように、シンジくんは少し揺れてしまってますね。

「アスカ。あんまり暴れないでよ」
「うにゅ〜。ごめんなさいなの〜」
「じゃあ、降ろすよ」
「は〜い」

 シンジくんは膝を曲げると、アスカちゃんが降りれる高さまで低い体勢になります。
 アスカちゃんは、ピョンと飛び跳ねるようにシンジくんから降りました。

「じゃあ、帰るよ」
「は〜い」

 その日の二人は、そのまま家路につきました。

 

 翌日
 アスカちゃんは、昨日歩いた道と同じ道を歩いています。
 今日の格好は、麦藁帽子にTシャツにジーパン生地の半ズボンの格好です。
 そして、同じようにヒマワリ畑にたどりつきました。

「にゅにゅ〜。大きなヒマワリさんが、た〜くさん育ってるの〜」

 アスカちゃんはヒマワリを見上げながら、両手を大きく広げて喜びを表しています。

「おや? ヒマワリ好きなのかい?」
 その時、畑の中からおじいさんが出てきました。
「うん。あしゅかちゃん。ヒマワリだ〜いすき」
「そうか、それなら……」

 アスカが笑顔で答えるとおじいさんは、うんうんと頷きながら畑に戻って行った。
 アスカはそのおじいさんを目で追いかけるだけでした。

 少しして、おじいさんはヒマワリの花から数十センチ切ったものをアスカちゃんに渡しました。

「にゅにゅ?」
 アスカは、貰ったヒマワリの花を見て首を傾げてしまう。

「少し、形が悪いから……売り物にならない花じゃけど、良かったらお嬢ちゃんに上げるよ」
「ほんと〜?」
「ああ、本当だよ。昨日も来てただろ? ヒマワリが好きなら上げるよ」
「うん。だ〜いすき!」

 アスカちゃんは、精一杯の笑みをおじいさんに見せました。
 その笑みに誘われるように、おじいさんも微笑みました。

「おじいさんありがとね〜」
「ああ、気をつけてな」

 アスカちゃんは、貰ったヒマワリを大事そうに抱えて持って帰りました。
 もちろん、シンジくんに見せる為でもありますけど……。

 おじいさんから貰った大事なヒマワリは、アスカちゃんの心の中にいつまでも咲くでしょうね。

<おしまい>

 


(2001年8月17日発表)

(2001年9月9日:移転させました)

 戻る