オマケSS『かき氷とあしゅかちゃん』

書いた人:しおしお


 

 スーパーにシンジと一緒にきたアスカは、色々と見て回る。
 シンジは、アスカに余り走りまわらないように注意しながら本日の夕食を選んでいく。

「にゅにゅ〜。おかし、買っても良いの〜?」
「良いけど、余り沢山買わないようにね」
「は〜い」

 とことことこ……。

 アスカは、お菓子売り場へと走り出した。
 その姿を見送ったシンジは野菜売り場を見回しながら、夕食の組立てを考えていた。

「チンジ〜。かき氷たべたいの〜」
「かき氷?」
「うん。冷たいかき氷たべたいの〜」

 アスカに引っ張られるままにアイスクリーム売り場へ行くと、何故かかき氷は売り切れになっていた。
 ここ数日続いた暑さからなのか、普通のアイスよりも氷菓子系統が良く売れているらしい。

「売り切れになってるんだ」
「うにゅ〜。あしゅかちゃん食べたいの〜」
「だったら、家で作るよ」
「作れるの〜?」
「うん。かき氷を作る機械は有った筈だよ。氷もあるからシロップ買って行けば良いよ」
「わ〜い。シロップ、シロップ〜」
「じゃあ、好きな味を買ってきて良いよ」
「は〜い」

 アスカは、嬉しそうにかき氷シロップが売っている売り場へと歩き出した。

 アスカが選んだシロップは、赤いイチゴシロップであった。

 

 

 翌日のおやつの時間……。

「こ〜り、こ〜り、かぎご〜り〜」
 マンションのリビングにてアスカは、嬉しそうに座っていた。
 テーブルの前に座っているアスカは何かを待ち望んでいる様子でもあった。

「にゅにゅ〜。こ〜り、こ〜り〜」
 なにやらアスカは、氷を待っている様子である。
 わくわくしながら、右手に持ったスプーンでテーブルを叩いている。

 叩く音が大きくなりかけた時、シンジがキッチンからやってきた。
 両手でお盆を抱えるように持って、その上には何かを乗せている様子である。

「アスカ。そんなに叩いちゃだめだろ?」
「うにゅ〜。だって、まちどおしかったの〜」

 アスカが少し涙目になると、シンジは溜息を漏らしながらお盆の上に乗っていたものをアスカの目の前に置いた。

「はいはい。出来たよ、かき氷」
「わ〜い」

 アスカの目の前には、大きく盛られたかき氷が入ったガラスの器が置かれる。
 赤いイチゴシロップがかけられたかき氷である。

「急いで食べたらだめだよ」
 シンジは、自分の目の前に緑色のメロンシロップがかかったかき氷の入った器を置く。
 そしてシンジは、何やらチューブを取出すとかき氷の上にかけ始める。
 アスカはその様子をジッと見ている。

「にゅにゅ? それな〜に〜?」
「ん? これ? 練乳だよ」
「れんゆ〜?」

 シンジが手に持っているチューブをアスカに見せる。
 牛の絵が描かれているそのチューブを見て、アスカは首をかしげた。
 それを見るとシンジは、やさしく説明することにした。

「甘くて美味しいよ。アスカも要る?」
「うん! い〜っぱい、い〜っぱい、かけて〜」
「わかったよ」

 シンジはアスカに促されて練乳をかけはじめました。
 赤いシロップの上にミルク色の練乳がかけられ、2色になる。

 そして、かけ終えるとアスカは待ってましたとばかりにかき氷を食べ始めた。

「うにゅ〜。あま〜いの〜。あまくて、おいし〜の〜」
「そう? それは良かったね」
「うん!」

 アスカは、オイしそうに急いで食べていく。
 その様子をみて、シンジは心配そうにアスカへ声をかける。

「アスカ急いで食べたらダメだよ」
「は〜い」

 口ではそう言っても、身体が言う事を聞かず、アスカは次々と食べていく。
 その結果……。

 

 

 待っていたのは…。

 

 

「うにゅ〜。頭いたいの〜。いたいの〜」
 アスカは涙を流しながらシンジに訴えていた。
 かき氷を急いで食べた為に、頭がキーンと鳴ってしまったようである。

「ほら、むりして急いで食べるからだよ」
「うにゅ〜。だって〜」
「わかったから、少しこっちに来て。横になれば良いよ」
「にゅ〜。なおるの〜?」

 アスカは泣きそうになりながら、シンジの顔を見る。
 涙を少しだけ堪えながら、シンジを見る瞳は、見られているシンジでさえも“このままで良いかも”などと思わせるものであった。
 しかしアスカをそのままにしておくわけには行かないので、安静にするように促す。

「それだけじゃ治らないけど……。安静にして痛みが和らぐまで横になれば良いよ」
「わかったの〜」

 アスカは渋々と言った顔で、シンジの隣で横たわった。
 隣で横渡るアスカの頭をシンジは優しくなでる。
 その感触にアスカは微笑む。

「痛くない?」
「えへへ〜、気持ちいいの〜。でもまだちょっと痛いの〜」
「じゃあ、もうちょっと大人しくしてようね」
「は〜い」

 

 数日後
「にゅ〜。頭が痛いの〜」
「また? ほら、こっちに来て横になって」

 アスカはシンジに言われると、嬉しそうに飛び跳ねながら傍へやってきた。
 そしてちょこんと座ると、シンジの傍で横になる。

「えへへ〜」
「こんどは、同じことしちゃダメだよ」
「は〜い」

 それから何故かアスカは、かき氷食べる度に同じ事を繰り返したとさ。

<おしまい>


(2001年8月8日発表)

(2001年8月17日:移転させました)

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