社会
「高速道路の無料化」 民主政権公約に賛否両論
「休日上限千円」のスタートで渋滞した中国道。民主党がマニフェストに掲げた「高速道路無料化」で、渋滞の悪化を懸念する声も出ている=3月28日、宝塚市内(撮影・峰大二郎) |
民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)に盛り込んだ「高速道路の原則無料化」に、賛否両論が巻き起こっている。政府が今年3月に導入した「休日上限千円」で打撃を受けたフェリー業界は、強く反発。運輸業界も渋滞の悪化を懸念する。無料になれば自動料金収受システム(ETC)が不要になるため、車載器を購入したドライバーも複雑な表情だ。
たつの市の山陽道龍野西サービスエリア。岡山からの帰途という大阪府の宝飾店経営の男性(62)は「高速道路は建設費の償還が終われば無料になるはずだった。政府の無駄遣いをやめれば財源も確保できる」と、民主の政策を評価する。
「『高速千円』は新しい客層の掘り起こしにつながった」と話す洲本温泉観光旅館連盟・女将の会の森孝子会長(61)も「無料化はありがたい」と歓迎。ただ「増税などのしわ寄せがあるのでは」と不安も口にする。
実際、無料化でさまざまな余波が予想される。
「休日上限千円」を機に2カ月待ちでETC車載器を購入した神戸市中央区の会社員(34)は「やっとの思いで手に入れたのに」と苦い表情。カー用品店を訪れた同市兵庫区の無職の男性(63)は「買うべきか迷う。民主党は、無料化の対象道路などを示してほしい」と話した。
民主党のマニフェストでは、2010年度から高速道路を段階的に無料化すると明記。しかし、阪神高速や明石海峡大橋など渋滞が予想される道路については具体策を決めておらず、社会実験で影響を確認するという。
無料化に反対する業界も少なくない。明石淡路フェリー(たこフェリー)の國安亜津志・営業部次長(45)は「航路存続はがけっぷち」と悲鳴を上げる。高速料金値下げ以降減便を迫られ、船員の大量退職を招いた。「国も政党も、なぜ内航フェリーに対する考え方を示してくれないのか」と憤る。
兵庫県バス協会の小西一夫専務理事(62)も「休日割引で渋滞が増え、定時運行が難しくなった。無料になれば平日も影響が出る」と困惑。西日本高速道路会社(大阪市)には、関西だけで2180人の料金所収受員がおり、「無料化した場合の社員の将来は重大な課題」としている。
(7/29 07:55)
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