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試験研究の取組と方向性

 

3 地域課題への対応

  
個別テーマ名 飲用温泉水に関する細菌学的研究〜県内飲用温泉水の衛生学的検討〜
キーワード 温泉、飲用、一般細菌、大腸菌群、衛生管理
研究の概要  大分県内で採水された飲用泉申請用温泉水116検体を用いて、飲用泉の衛生状況を検討した。細菌検査による不適は31.0%で、KMnO4消費量を含めた不適は43.1%であった。項目別不適率は一般細菌数で25.0%、大腸菌群で8.6%、KMnO4消費量で15.5%を示した。細菌検査による不適は泉温が低く、中性〜弱アルカリ性泉に多い傾向がみられた。着色した温泉は衛生管理基準による不適が多く、大腸菌群を検出した温泉はフッ素の平均濃度が低かった。
 この調査結果は飲用泉としての利用許可申請に際してのものであるが、既存の許可施設についても広範な調査が必要と考える。この調査で衛生管理基準に適合した温泉のうち、実際に飲用泉の許可申請がなされ、利用施設に登録されたのは約半数であった。
研究期間 1995-1999年度
発表論文 年報, 23, 28-31 (1995)
年報, 27, 34-40 (1999)
日本食品微生物学会誌, 16, 43-49 (1999)
担当部 微生物部、化学部
研究担当者 渕 祐一、成松浩志、緒方喜久代、帆足喜久雄、阿部義昭、小野文生、久枝和生、首藤武巨、樋田俊英、牧 克利、西海政徳、牧野芳大
  
個別テーマ名 大分県内の飲用温(鉱)泉について
キーワード 温泉、鉱泉、飲用、アンケート、衛生管理
研究の概要  温泉法の飲用利用許可施設27か所を対象に、ヒ素など飲用利用基準6成分と大腸菌群など微生物学的衛生管理の3項目を調査した。1か所で大腸菌群を検出したが、他の許可施設ではすべて基準を満足していた。
 アンケート調査では、飲用の目的は治療に期待する人が多く、慢性消化器系の改善、次いで慢性便秘や肥満症の改善に期待するという回答が多かった。
研究期間 1999-2000年度
発表論文 年報, 27, 55-59 (1999)
年報, 28, 67-73 (2000)
大分県温泉調査研究会研究報告, 51, 53 (2000)
担当部 化学部
研究担当者 牧 克年、西海政徳、飛高信雄、渕 祐一、神田尚徳
  
個別テーマ名 ファンゴ(温泉泥)の衛生管理に関する基礎的検討
キーワード ファンゴ(温泉泥)、衛生管理
研究の概要  温泉泥(ファンゴ)の衛生管理について、黄色ブドウ球菌を指標として検討した。温泉泥再利用時におけるヒト皮膚からの細菌汚染を想定した実験の結果、中心温度65℃1時間以上の加熱工程がないと汚染菌が残存することが示唆された。
 今後ファンゴエステを安全・安心に推進するには、これらの結果を踏まえた衛生管理指針の策定が望まれる。
研究期間 2003年
担当部 微生物部
研究担当者 成松浩志
  
個別テーマ名 西日本産フグの毒性に関する研究
〜大分県国東沿岸産ヒガンフグ及びコモンフグの毒性〜
キーワード フグ毒、ヒガンフグ、コモンフグ、食中毒、国東
研究の概要  食中毒防止及び資源活用の観点から、食中毒事例のある大分県国東沿岸産フグ2種の毒性について検討した。
 ヒガンフグの筋肉摂食により食中毒死亡事故が発生した国東沿岸産の同魚46個体とコモンフグ34個体の毒性を検討した結果、ヒガンフグで6.5%(最高毒力55 MU/g)、コモンフグで41.2%(同84 MU/g)の個体の筋肉から10 MU/g以上の毒性を検出した。食用が不可とされる三陸沿岸産の両種フグより筋肉の平均毒性は低いものの、ヒガンフグは毒力の個体差が著しく、コモンフグは活魚でも有毒率が19.0%と高いことから、国東沿岸産のものはいずれも食用に供せない魚種と結論した。また両種とも、皮膚、肝臓及び卵巣の毒力相互間に相関関係を認めた。
研究期間 1983-1999年度
発表論文 年報, 16, 67-68 (1988)
年報, 23, 32-36 (1995)
食品衛生研究, 41, 97-103 (1991)
食品衛生学雑誌, 40, 80-89 (1999) 
担当部 化学部、微生物部
研究担当者 渕 祐一、仲摩 聡、長田 忠、渡辺克広、二宮孝代、嶋崎晃次、帆足喜久雄
共同研究機関 長崎大学、大分県海洋水産研究センター
  
個別テーマ名 西日本産フグの毒性に関する研究
〜巻貝ボウシュウボラとテングニシの毒性〜
キーワード フグ毒、巻貝、中腸腺、ボウシュウボラ、食中毒
研究の概要  中腸腺にフグ毒が局在するとされる巻貝ボウシュウボラ56個体及びテングニシ23個体の中腸腺毒性を、豊後水道産のものについて調べた結果、ボウシュウボラでは64.3%の個体が有毒(10 MU/g以上)で、最高毒力750 MU/g、最高毒量55,000 MUに達した。これは食中毒事例のある静岡県・和歌山県産のものと比べてやや低いか同程度で、同じく食中毒事例のある宮崎県産のものを上回る毒化状況を示していた。また、採取海域により毒化状況に差がみられた。
 他方、テングニシでは26.1%の中腸腺から 2.6〜8.7 MU/gの毒性を検出したが、谷によるフグの毒力表示では無毒に分類され、毒量の最高値は96 MUであった。
研究期間 1983-1985年度
発表論文 年報, 12, 18-22 (1984)
担当部 化学部
研究担当者 渕 祐一、局 伸男、森崎澄江、首藤真寿美、溝腰利男、藤井幹久、山田謙吾
共同研究機関 東京大学
  
個別テーマ名 西日本産フグの毒性に関する研究
〜未利用種ホシフグの毒性〜
キーワード フグ毒、麻痺性貝毒、ホシフグ、食中毒、豊後水道
研究の概要  食中毒防止及び資源活用の観点から、毒性不明魚種のホシフグ80個体について検討した結果、同魚は筋肉、精巣、肝臓が無毒、皮膚が弱毒(有毒個体出現率12.5%、最高毒力43 MU/g)、卵巣が強毒(同80.5%、890 MU/g)、消化管が弱毒(同1.3%、21 MU/g)であった。豊後水道産79個体では、皮膚の有毒個体(弱毒)は8月と10月に検出され、卵巣は5, 8, 10月が強毒で推移したことから、本種の有毒部位は初夏から秋にかけて毒性が高いことが示唆された。しかし、豊後水道産のものの筋肉は季節変動もなく無毒で、食用が可能と判断された。
 更に、ホシフグの毒は部位によりその成分が特異的に異なり、皮膚はテトロドトキシン(TTX)群から、卵巣は主に麻痺性貝毒(PSP)からなることが分かった。卵巣のPSPは、サキシトキシン(STX)及びデカルバモイル-STX(dcSTX)が主要な毒成分であった。
研究期間 1983-2001年度
発表論文 年報, 19, 31-35 (1991)
年報,26, 37-42 (1998)
食品衛生学雑誌, 32, 520-524(1991)
食品衛生学雑誌, 39, 421-425(1998)
Toxicon, 41 (2003)
担当部 化学部、微生物部
研究担当者 渕 祐一、成松浩志、仲摩 聡、大友信也、帆足喜久雄、牧野芳大
共同研究機関 長崎大学、東京水産大学、大分県海洋水産研究センター、大分県佐伯保健所
  
個別テーマ名 西日本産フグの毒性に関する研究
〜フグ肝臓の伝統的調理法における除毒〜
キーワード フグ、肝臓、除毒、調理、伝統食品、毒性分布
研究の概要  大分県のフグ料理専門店で、1983年以前まで提供されていた伝統食品「キモ料理」の除毒効果と除毒メカニズムについて検討した。大分県のフグ料理専門店及びフグ卸店に入荷した西日本近海産のトラフグ242個体及びカラス50個体の肝臓毒性を調べた結果、トラフグの17.8%(最高毒力1,270 MU/g)、カラスの12.0%(同130 MU/g)の肝臓が有毒(10 MU/g以上)であった。トラフグでは、肝臓重量200g以上のものの方が200g未満のものより強毒性の傾向を示した。これらの有毒肝臓を用い、大分地方に伝わるフグ肝臓調理の一方法について除毒の効果を検討したところ、調理前毒力62〜1,270 MU/gの21例すべてが調理後には5 MU/g 未満となり、厚生省の無毒基準(10 MU/g以上)を満足していた。
 この伝統調理法は大別すると細切・手揉み・煮沸の3調理工程から成っており、HPLC分析等の結果から、手揉み工程はフグ毒の溶出除去により、煮沸工程は加熱によりテトロドトキシン(TTX)がより弱毒なアンヒドロ-TTX (anh-TTX)へ、更に無毒なテトロドン酸(TDA)へと順次構造変化することで減毒していくメカニズムが明らかになった。
研究期間 1983-1998年度
発表論文 年報, 13, 18-24 (1985)
年報, 15, 26-33 (1987) ほか計4報
食品衛生学雑誌, 27, 561-564 (1986)
食品衛生学雑誌, 27, 569-572 (1986)
食品衛生学雑誌, 29, 320-324 (1988)
担当部 化学部、微生物部
研究担当者 渕 祐一、局 伸男、森崎澄江、首藤真寿美、溝腰利男、藤井幹久、山田謙吾、林 薫、長田 忠、仲摩 聡、嶋崎晃次、大友信也
共同研究機関 東京大学
  
個別テーマ名 西日本産フグの毒性に関する研究
〜除毒によるフグ肝臓利用の検討〜
キーワード フグ、肝臓、除毒、食品加工、有効利用
研究の概要  除毒によるフグ肝臓の利用について検討した。トラフグの有毒肝臓抽出液を中性又は酸性の各種条件下で加熱し、減毒率を比較した結果、水溶液中のフグ毒は、加熱時の液性と温度によっては従来いわれているほど熱に安定でないことが分かった。
 伝統的フグ肝臓調理法の煮沸工程における減毒傾向を調理除毒11例から求めた結果、加熱時間と毒力の関係は一次式に回帰され、除毒の推定式が算定された。煮沸前の肝臓毒力を知ることにより、毒性消失までの煮沸時間を推定することが可能と考えられた。肝臓調理法の除毒には、細切・手揉み・煮沸の3工程はいずれも不可欠で、“手揉み”時間は3分間で十分なものの、“細切”はできるだけ小さくし、加熱は100℃を超える温度で行うと更に高い除毒効果が得られた。有毒肝臓をオートクレーブで120℃加熱すると、手揉みなしでも伝統的肝臓調理法の煮沸工程より短い加熱時間で同等に除毒された。
 これらの結果から、缶詰加工技術などによる正確な温度管理や製品の毒性学的ロット管理など、食品としての安全性を確保する手段を講じることで、本来有毒部位であるフグの肝臓を有効利用できることが分かった。
研究期間 1983-1999年度
発表論文 年報, 14, 23-27 (1986)
年報, 27, 26-33 (1999) ほか計3報
食品衛生学雑誌, 27, 573-577(1986)
担当部 化学部、微生物部
研究担当者 渕 祐一、局 伸男、森崎澄江、首藤真寿美、溝腰利男、藤井幹久、山田謙吾、林 薫、仲摩 聡、嶋崎晃次、大友信也、帆足喜久雄
共同研究機関 長崎大学、東京大学
  
個別テーマ名 チョウセンアサガオによる食中毒事例について
キーワード 食中毒、ごぼう、スコポラミン、ヒヨスチアミン、チョウセンアサガオ
研究の概要  一家族7名中5名に意識障害、運動障害、散瞳等の臨床症状がみられる中毒事例が発生した。調査の結果、食べ残しのきんぴらごぼうからスコポラミン、ヒヨスチアミンが検出され、チョウセンアサガオの根をごぼうと間違えて調理、摂食して起こった食中毒であることが判明した。
 きんぴらごぼうから検出されたスコポラミンおよびヒヨスチアミンはそれぞれ80μg/g、28μg/gであった。過去の中毒事例などから成人の中毒量が5mg前後であるといわれていることを考え合わせると、きんぴらごぼう約50g程度の摂取で中毒量に達したものと推定される。
研究期間 2001年度
発表論文 年報, 29, 48-50 (2001)
担当部 化学部
研究担当者 立花敏弘、樋田俊英、岡本盛義、森崎澄江、濱内正博
共同研究機関 大分県日田玖珠保健所
  
個別テーマ名 大分地域における健康・栄養状況等の評価に関する調査
キーワード 生活習慣病、無機成分、ミネラル、摂取量、陰膳
研究の概要  生活習慣病等の予防に重要とされる食事中の無機質(ミネラル)9成分について、40〜50才代の男性10名を対象に、連続した2日間にわたり、陰膳法と秤量法による栄養摂取状況を調査した。
 カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、銅では所要摂取量に達していない傾向がみられ、主な無機成分間の摂取量比(Na/K値、Ca/Mg値、Ca/P値)はカリウム、カルシウム、マグネシウムの不足により適正値が得られない傾向がみられた。ナトリウムからの食塩換算値をみると、2名が過剰に摂取していた。陰膳法と秤量法の比較では、双方の差は2倍以内に収まり、ナトリウム、カルシウム、リンでは相関がみられた。
研究期間 2000年度
発表論文 年報, 28, 61-66 (2000)
担当部 化学部
研究担当者 樋田俊英、曽根聡子、神田尚徳
  
個別テーマ名 ヒト脂肪組織中のダイオキシン類濃度について
キーワード ダイオキシン類、脂肪、蓄積量、毒性等量、加齢
研究の概要  大分県におけるヒトのダイオキシン類暴露状況を把握するため、2000年10月から2001年5月の間に採取された腹部皮下脂肪組織中のダイオキシン類濃度を調査した。
 居住歴が明らかな調査協力者26名の脂肪重量当たりのダイオキシン類蓄積量は、毒性等量で2.5〜150pg-TEQ/g-fat(中央値37pg-TEQ/g-fat)であり、環境省が1998年度に実施した関東地域の調査結果とほぼ同じレベルであった。毒性等量に寄与している主な異性体は、PCDD及びPCDFでは12378-PeCDD 、23478-PeCDFであり、Co-PCBでは、33'44'5-PeCB、233'44'5-HxCBであった。脂肪中のダイオキシン類の毒性等量は、加齢とともに増加の傾向がみられた。
研究期間 2000-2001年度
発表論文 年報, 29, 21-27 (2001)
担当部 企画・特定化学物質部
研究担当者 局 伸男、小野文生、上田精一郎、城井 堅
  
個別テーマ名 大分市中心部(旧市内)における揮発性有機化合物濃度の実態
キーワード 有害大気汚染物質、揮発性有機化合物
研究の概要  有害大気汚染物質9物質を含む41物質について、1999年に大分市中心部(旧市内)4地点を調査した。
 有害大気汚染物質の9物質は、1998年度に環境省が行った全国平均と比較して同レベルか、それ以下であった。厚生省「住居環境内における揮発性有機化合物の全国実態調査」で室外調査として共通する10物質についてみても、同程度のレベルであった。地点間の比較においては、特異的に他地点より濃度の高い物質がいくつか認められた。
研究期間 1999年度
発表論文 年報, 27, 107-109 (1999)
担当部 大気部
研究担当者 上田精一郎、後藤郁夫、藤野卓見、恵良雅彰、吉川政治、安藤章夫
  
個別テーマ名 手壊し法による住宅解体廃木材の有効利用システムについて
キーワード 廃木材、有効利用、手壊し解体、分別解体、環境効率
研究の概要  木造住宅の解体工事から発生する廃木材の再資源化を図るため、柱、梁などの主要な部材を生かし取りし、適切な加工を施し、再び建築用材に使用する手壊し法を考案した。本システムと現行の分別法とを、解体工事、廃棄物処理、再資源化の各過程において環境及び経済的側面から比較検討した。
 本システムは、分別法と比較してエネルギー消費、所要経費ともに少なく、得られた木材は、建築用材への再利用に支障なく、既存の加工技術により古材、再製材、集成材への有効利用が可能であることがわかった。
研究期間 2002-2003年度
発表論文 年報, 30, 39-42 (2002)
廃棄物学会論文誌, 14, 219-227 (2003)
土木学会論文集, No748/Z-29, 81-89 (2003)
担当部 水質部
研究担当者 宮崎博文
共同研究機関 大分大学
  
個別テーマ名 芹川ダムの生態系を利用した水質改善(淡水赤潮対策)
キーワード アオコ、栄養塩、ダム湖、沈降物質、底泥
研究の概要  ダム湖の鉛直方向及び年間の水質変動調査を行っている。
 ダム流入域は、溶存態窒素・リンの濃度と全窒素・全リン濃度の差が大きく、生物生産が高いことが示唆された。
 底泥はダム流入域に堆積し、チャンバー法による溶出試験の結果、アンモニア態窒素の溶出速度は9.6mg/m
2,day、リン酸態リンの溶出速度は0.64mg/m2,dayであった。
 沈降量の調査から、ダム流入部の窒素、リンの沈降量が大きいことが分かった。
研究期間 2002年度-
発表論文 年報, 31, 67-74 (2003)
担当部 水質部
研究担当者 坂田隆一
共同研究機関 大分大学
  
個別テーマ名 飲料水大腸菌群試験におけるMMO−MUG法と従来法との比較検討
キーワード 水道、大腸菌群、酵素基質培地、MMG-MUG法、迅速検査法
研究の概要  1992年の厚生省令改正に伴う上水試験方法の改正で、大腸菌群試験法は従来からのLB-BGLB培地法に加えて、迅速簡便な特定酵素基質培地(MMG-MUG)法が採用された。厚生省は、MMG-MUG法の導入に当たっては、従来法との比較検討による確認を指導していることから、大分県でも採用の可否について、水道水57件及び井戸水304件の計361件を対象に約2年間にわたり検討した。2法間の一致率は88.8%で、水道水では91.2%、井戸水では88.3%であった。不一致の25例については、詳しい検討を行った。県内を5地域にわけた水源地別の一致率は、82.6〜94.4%で大きな差はみられなかった。
 以上の検討結果に基づき、県内の水道水等の大腸菌群試験法としてMMG-MUG法を導入しても支障がないと判断され、1995年4月24日付け大分県薬務環境衛生課長通知第169号に基づき、1995年5月1日から同法が公定法として採用された。
研究期間 1993-1995年度
発表論文 年報, 21, 50-53 (1993)
年報, 22, 65-68 (1994)
担当部 微生物部
研究担当者 渕 祐一、伊東達也、成松浩志、緒方喜久代、帆足喜久雄、大友信也
共同研究機関 大分県保健所検査室
  
個別テーマ名 飲用温泉水に関する細菌学的検討 〜発色酵素基質培地の飲用温泉水への適用〜
キーワード 温泉、飲用、酵素基質培地、大腸菌群、迅速検査法
研究の概要  天然温泉水158検体と温泉モデル水を用いて、LB-BGLB法と発色酵素基質培地2法との大腸菌及び大腸菌群検出についての比較検討を行った。酵素基質法2培地の菌発育を阻害した温泉成分は、Na2S(H2Sとして50 mg/l以上)と銅(20 mg/l以上)の2成分であった。天然温泉水での大腸菌群試験3法間の一致率は92.4〜94.3%で、3法とも一致した割合は92.4%であった。大腸菌は、3法ですべて一致した。酵素基質培地2法の検討では、黄色系に着色することの多い温泉水の検査は、MMO法培地より青色系呈色で判定するX-GAL 法の方が有用性が高いと考えられた。
 酵素基質培地法は、検水のpH、H
2S及び銅濃度に注意することで、温泉水の大腸菌及び大腸菌群試験に使用できると考えられ、簡易迅速な同培地法を温泉水に適用できれば有用と思われる。
研究期間 1995-1998年度
発表論文 年報, 26, 43-48 (1998)
年報, 26, 49-53 (1998)
日本食品微生物学会誌, 15, 153-160 (1998)
担当部 微生物部、化学部
研究担当者 渕 祐一、宮崎 正、阿部義昭、緒方喜久代、帆足喜久雄、牧野芳大
  
個別テーマ名 発色酵素基質培地による食品の大腸菌群検査について
キーワード 食品、大腸菌群、大腸菌、酵素基質培地、迅速検査法
研究の概要  食品中の大腸菌群は、食品や施設の衛生状況を把握し、流通の安全性を確保する上で重要な指標菌であり、迅速な検査が強く求められるが、大分県食品衛生指導基準のデソキシコレート培地法は検査に3日を要し、熟練経験が必要で、しかも半定性的な試験法となっている。そこで、大腸菌群及び大腸菌を1日で検出できる迅速簡便な発色酵素基質培地のMPN法を用いて、調理ごはん類72件、そうざい類42件、調理パン類1件の計124件を対象にデソ法との比較検討を行った。
 県指導基準に基づく大腸菌群判定での2法間の一致率は91.1%を示した。判定結果が相違した11検体のうち、10検体が発色酵素基質法単独による不適合、1検体がデソキシコレート培地法単独による不適合で、検出率は酵素基質法の方が高かった。大腸菌群の菌数を2法間で比較した結果は近似した値を示し、相関係数は3段階3本のMPN法ではr=0.696 (p<0.001)、4段階3本のMPN法ではr=0.768 (p<0.001)と算定され、発色酵素基質培地を用いるMPN法が県指導基準の食品検査に適用できることを示唆した。
研究期間 1996-1998年度
発表論文 年報, 25, 77-80 (1997)
担当部 微生物部
研究担当者 渕 祐一、成松浩志、緒方喜久代、帆足喜久雄
共同研究機関 大分県保健所検査室
  
個別テーマ名 PCR法の抗酸菌同定検査への応用
キーワード 結核、早期診断法、PCR法、抗酸菌s
研究の概要  結核の早期診断法として、結核菌の迅速な検出と同定が求められており、日本では液体培養後に、DNA−DNAハイブリダイゼーション(DDH)による同定法を組み合わせる系と、PCR法等の核酸増幅による迅速な検出を行う系とが導入されている。これらの方法では、液体培養により培養時間は短縮されるが、飛沫感染などの危険が伴い、DDHによる同定法はある程度の菌量を必要とし、コストが高い欠点がある。そこで、塗沫培養法とPCR法を組み合わせ、少ない菌量で迅速かつ正確な抗酸菌の同定を試み、その有用性について検討を行った。
 喀痰分離の抗酸菌41株と標準菌6株を用いて、PCR法と従来からの同定法とを比較した。DNAの抽出は、滅菌を兼ね121℃10分間加熱したところ良好な成績が得られ、PCRの反応条件では、アニリング温度を65℃に設定することにより、非特異反応を抑えることができた。検討したPCR法は少ない菌量でもTB Complexと同定可能であり、複雑なDNA抽出も必要とせず、迅速さが要求される抗酸菌検査において有用であると思われる。
研究期間 1998-1999年度
発表論文 年報, 26, 81-83 (1998)
担当部 微生物部
研究担当者 緒方喜久代、帆足喜久雄
  
個別テーマ名 常法では下痢起因菌を検出し得なかった事例報告
キーワード 下痢症、食中毒、PCR法、ビーズ法
研究の概要  下痢症の患者便や原因食品などの検査材料から原因菌を検出する方法として、PCR法やビーズ法など精度や感度を上げる手法が近年開発された。従来の検査手法に加えて、これらの方法を組み合わせることにより、下痢症起因菌を検出し得た事例を3例経験した。
 最初の事例では、2001年1月に三重保健所管内で発生した海外渡航者(バリ島)の下痢便において、TSB増菌からのPCRスクリーニング法で病原大腸菌のST、LT、invE遺伝子の保有を確認した。2番目の事例では、2001年7月に日田玖珠保健所管内で発生した腸管出血性大腸菌O157の接触者(家族)検便13件において、常法では検出できず、便洗い出し液からの直接ビーズ法でのみ原因菌を検出し得たものが1件あった。3番目の事例では、2002年3月に大分市内で発生したSalmonella Hadarによる食中毒患者の治療済み便3件において、常法では検出できず、TSB増菌からのを選択増菌培養後の、分離培養でのみ原因菌を検出し得たものが2件あった。
研究期間 2000-2002年度
発表論文 年報, 29, 72-74 (2001)
担当部 微生物部
研究担当者 緒方喜久代、成松浩志、阿部義昭、帆足喜久雄
  
個別テーマ名 環境ホルモンの総量に関する調査 
〜遺伝子組換酵母法による女性ホルモン様物質の総量測定〜
キーワード 環境ホルモン、スクリーニング試験法、酵母法、女性ホルモン、エストラジオール
研究の概要  環境ホルモン調査のスクリーニング試験法として「遺伝子組換酵母法による女性ホルモン様物質の総量測定法」を用い、その有用性について検討した。県内水道取水10地点の河川水を用いて検討した結果、@環境試料では、酵母の増殖の遅延等測定の障害となる顕著な差異は認められない、Aルーチンにおける吸光度測定は1回でよい、B定量限界は0.1ppt以下(ng/l、17βエストラジオールに換算) であった。
 測定操作も簡便なことから、スクリーニング試験法としての有効性が確認できた。供試した河川水の測定結果は、いずれも0.1未満〜0.5pptであり、緊急の対応が必要と考えられるレベルではなかった。
研究期間 1998-2000年度
発表論文 年報, 28, 48-58 (2000)
担当部 水質部
研究担当者 池辺 豊、溝腰利男

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