2009総選挙
政権選択を問う総選挙。各政党が入り乱れ、暑い夏本番を迎えた選挙戦の行方は
【社会】裁判員 暴力団員も選ばれるの!? 検察側「可能性低い」2009年7月31日 14時04分 広く有権者から抽選で選ばれる裁判員。裁判員法では、国会議員や警察官、自衛官らは、裁判員に就けないと定めているが、暴力団員を排除する規定はない。このため、暴力団員が関与した事件を暴力団員が裁くという事態も想定される。識者からは「暴力団員という理由だけで排除すべきではない」という意見もある。 (加藤寛太) 暴力団関係者を裁判員から排除する規定はないが、選考する過程では、いくつかの「ふるい」にかける仕組みになっている。 最高検裁判員公判部の上冨敏伸検事は「まず、禁固以上の刑に処せられた者は、原則として裁判員になれない。暴力団関係者には相当数いるはずだ」と指摘する。警察庁によれば、暴力団関係者は二〇〇八年末現在で全国に計八万二千六百人。同年中に刑事事件で摘発された暴力団関係者は計二万六千人。単純計算では全体の三割以上に当たる。上冨検事の言う「相当数」は当たっているようだ。 裁判員選任手続きが行われる二日前までに、検察官の手元に裁判員候補者の名簿が届く。裁判員法で、検察側と弁護側は、理由を示さずにそれぞれ四人まで裁判員から外すよう請求できると定めている。 上冨検事によると、名簿を受け取った検察官は「手持ちの資料」を参考に、裁判員にふさわしくない候補者をえり分けるという。資料は、検察庁が捜査や公判で蓄積した暴力団関係者を含めた個人情報とみられるが、上冨検事は詳しい説明を避けた。 これらの「ふるい」を経るため、上冨検事は「暴力団関係者が裁判員に選ばれる確率は低い」と話す。 一方、「そもそも暴力団員だという基準だけで裁判員から排除すべきではない」と言うのは、渡辺修・甲南大法科大学院長だ。 渡辺氏は「社会的な身分や立場、思想、所属団体などを裁判員選別の基準にすることは、市民の中に社会的差別、分断を生むだけ。国民の良識を反映させるという裁判員制度の根幹が崩れる」と警告する。「誰を裁判員に選ぶかは、各事件ごとにケース・バイ・ケースで判断すれば足りる」と指摘した。 (東京新聞)
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