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女性被告に「おしゃれ認めて」 大阪弁護士会がPT

2009年7月31日16時30分

写真:米国の公設弁護士事務所には、被告が出廷する際に着るためのスーツやブラウス、靴などが備えられている=1月、米ネバダ州、寺田有美子弁護士撮影米国の公設弁護士事務所には、被告が出廷する際に着るためのスーツやブラウス、靴などが備えられている=1月、米ネバダ州、寺田有美子弁護士撮影

 裁判員裁判に出廷する女性被告に化粧などの「おしゃれ」が認められるようにしようと、大阪弁護士会が女性弁護士によるプロジェクトチーム(PT)を発足させる。これまでの刑事裁判より、法廷での被告の印象が裁判員らの判断に影響する可能性があり、来月にも法務省や大阪地裁に提言する。

 「女性被告の身だしなみに関するプロジェクトチーム」で、女性弁護士6〜7人が参加し、来週にも初会合を開いて設置する予定だ。

 拘置所内で現在所持が認められているのはくしや髪どめ用のゴムなどに限られている。法務大臣の訓令で定められており、化粧品やストッキングは「刑事施設では必要ない物品」(法務省担当者)とされて持ち込めない。このため、勾留(こうりゅう)中の女性被告はジャージーにサンダルばきといった素っ気ない格好で出廷するケースが多い。

 裁判員裁判が始まるのに合わせ、法務省は対象事件で被告が希望した場合、着脱式のネクタイや革靴風のサンダルを出廷時に貸し出すことにした。裁判員に被告への予断や偏見を与えないためだ。

 しかし、PTメンバーに入る予定の寺田有美子弁護士は「恩恵を受けられるのは主に男性。女性は置き去りの状態だ」と指摘する。以前、女性被告から「化粧をして出廷したい」と相談されたことがあるという。「多くの女性にとって、化粧は普段の自分であるための身だしなみ。裁判員に与える印象も左右しかねない」と話す。

 PTは今後、勾留中の女性被告らから意向を聞き取るとともに、弁護士から出廷用の洋服を借りられる地域もある米国などの運用状況を調べ、化粧が認められた事例がないかも探すという。

 大阪では初の裁判員裁判が9月8日に開かれる予定。今月30日までに対象事件で起訴された40人のうち女性被告が少なくとも4人おり、地裁には早急な対応を求める方針だ。

 裁判官の反応は様々だ。関西のあるベテラン刑事裁判官は「裁判員時代に合わせて柔軟に対応すればいい」。別の裁判官は「認めるとしても、せいぜい肌用クリームまでではないか。どの程度まで認めるか、そのつど判断するのは難しい」と話している。(阪本輝昭)

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