喫煙は、さまざまながんの原因の中で、予防可能な最大の原因です。日本の研究では、がんの死亡のうち、男性で40%、女性で5%は喫煙が原因だと考えられています。特に肺がんは喫煙との関連が強く、肺がんの死亡のうち、男性で70%、女性で20%は喫煙が原因だと考えられています。
がんの予防のためにはたばこを吸わないことが最も重要です。現在たばこを吸っている人も、禁煙することによってさまざまながんのリスク(がんになる、またはがんで死亡する危険性)を下げることができます。
喫煙は、たばこを吸う本人だけでなく、たばこを吸わないまわりの人にも肺がんなどの健康被害を引き起こします。
喫煙は、がんだけでなく、冠動脈心疾患(狭心症、心筋梗塞など)や脳卒中など循環器の病気、肺炎や慢性閉塞性(へいそくせい)肺疾患(COPD)など呼吸器の病気の原因でもあります。
たばこの煙の中には、たばこ自体に含まれる物質に加えて、それらが不完全燃焼することによって生じる化合物も含まれ、その種類は合わせて数千に及ぶといわれます。その中には、多環芳香族炭化水素化合物(たかんほうこうぞくたんかすいそかごうぶつ)やニトロソアミン類をはじめとする、発がん物質が数十種類含まれています。
発がん物質の多くは、体内の酵素で活性化された後、DNAと結合をして、DNA複製の際に遺伝子の変異を引き起こします。こうした遺伝子の変異が、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、DNA修復遺伝子などにいくつか蓄積することによって、細胞ががん化すると考えられています。
喫煙とがんの関連については、これまで動物実験やヒトを対象とした疫学研究など、さまざまな研究が行われ、これら数多くの研究は、国際機関などによって総括報告としてまとめられてきました。これらの報告書は一貫して、喫煙が肺がんをはじめとするさまざまながんの原因となる(「因果関係がある」と表現されます)と結論づけています。
2002年、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)が、喫煙とたばこ煙(注)のヒトに対する発がん性を、最新のデータに基づいて評価しました。その中で、喫煙とたばこ煙は、最も強い「グループ1:ヒトに対して発がん性がある」と判定されています。表1に、この評価の結果をがん種別に示します。
(注)たばこ煙(たばこえん):たばこの煙のこと。吸うことではなく煙そのものを指すときに用いられる用語です。
胃がん、肝臓がん、子宮頸(けい)がんは、それぞれピロリ菌、肝炎ウイルス、パピローマウイルスという微生物感染との関連がありますが、それらの感染の影響を除いても喫煙と因果関係があると判定されました。
鼻腔(びくう)・副鼻腔がんや腎細胞がんなどは他のがんに比べて症例が少なく、研究も少なかったのですが、数少ない研究でも一致して喫煙年数や喫煙本数との関連が報告されていることから、因果関係があると判定されました。
多くのがん種で、喫煙年数が長いほど、1日の喫煙本数が多いほど、また喫煙開始年齢が若いほど、がんのリスク(がんになる、またはがんで死亡する危険性)が高くなります。
紙巻きたばこ(シガレット)以外のたばこ(葉巻やパイプ、または葉たばこで豆などをくるんでかむたばこなど)が用いられている国での研究報告によっても、口腔(こうくう)がんや咽頭(いんとう)がんとたばことの因果関係が示されています。
一方、大腸がん、女性の乳がんについては関連があるのではないかと専門家の間でも議論が続いていますが、食事や運動、ホルモンの状況など、他の要因の影響が大きく、現時点では喫煙と因果関係があるとはされていません。
これらの因果関係の評価は、2004年にまとめられたアメリカ公衆衛生総監報告でも、ほぼ同じ内容となっています。
※全体として、「グループ1:ヒトに発がん性がある」と判定されています。
がん種 | 喫煙の影響 | ||
因果関係の 有無 |
期間・本数 などによる 影響 |
その他(組織型別など) | |
口腔 | ◎ | ○ | お酒との組み合わせでさらにリスクが高くなる。 |
鼻腔と 副鼻腔 |
◎ | ○ | 組織型別(扁平上皮癌)に検討しても関連が認められる。 |
上咽頭 | ○ | ○ | 他の要因の影響(注)の可能性があるが、それだけでは喫煙者でリスクが高くなることについて説明できない。 |
中咽頭と 下咽頭 |
◎ | ○ | |
食道 | ◎ | ○ | 組織型別(腺癌、扁平上皮癌)に検討しても関連が認められる。お酒との組み合わせでさらにリスクが高くなる(扁平上皮癌)。 |
胃 | ◎ | ○ | お酒やピロリ菌の影響を除いても、喫煙の影響がある。 |
大腸(結腸・直腸) | * | 喫煙者でリスクが高くなることについて、他の要因の影響を否定できない。 | |
肝臓 | ◎ | ○ | 肝炎ウイルスの影響を除いても、喫煙の影響がある。 |
膵臓 | ◎ | ○ | お酒の影響を除いても、喫煙の影響がある。 |
喉頭 | ◎ | ○ | お酒との組み合わせでさらにリスクが高くなる。 |
肺 | ◎ | ○ | がんの組織型別(扁平上皮癌、小細胞癌、腺癌、大細胞癌)に検討してもそれぞれ関連が認められる。 |
女性乳房 | − | 喫煙者でリスクが高いことについて、他の要因の影響で説明できる。 | |
子宮頸部 | ◎ | ○ | パピローマウイルスの影響を除いても、喫煙の影響がある。 |
子宮体部 | − | 喫煙者でリスクが低い傾向があり、閉経後女性でのその傾向が強い。 | |
前立腺 | * | 喫煙者でリスクが高いことについて、他の要因の影響を否定できない。 | |
尿路 | ◎ | ○ | 移行上皮癌だけでなく、腎細胞がんでも関連がある。 |
白血病 | ◎(骨髄性) | ○ | リンパ性白血病やリンパ腫については、研究報告が少なく、結果も一致していない。 |
その他 | * | 研究報告が少なく、結果も一致していない。 |
関連の有無 | |||
◎ | : | 因果関係がある | |
○ | : | リスク上昇と関連がある | |
* | : | 関連があると判断できない | |
- | : | 関連がない | |
期間・本数などによる影響 | |||
○ | : | 期間が長い、本数が多いほどリスクが高い |
喫煙によってがんのリスク(がんになる、またはがんで死亡する危険性)がどれくらい上昇するかは、「相対リスク」という数値で表現されます。これは、たばこを吸わない人を1として、たばこを吸っている人のがんのリスクが何倍になるかを表します。
表2に、日本における喫煙とがん死亡についての相対リスクを示します。喫煙によるがん死亡の相対リスクは、男性で2.0倍、女性で1.6倍でした。これは、たばこを吸う人のがんで死亡するリスクが、吸わない人に比べて男性で2倍、女性で1.6倍であることを意味します。がん種別にみると、男性では喉頭(こうとう)がん、尿路がん(膀胱(ぼうこう)・腎盂(じんう)・尿管)、肺がんで5倍前後と高く、女性では肺がんで4倍、子宮頸がん、口唇・口腔・咽頭がんで2倍以上と高くなっています。男性の相対リスクが女性に比べて高いのは、同じ喫煙者でも男性のほうが喫煙本数が多く喫煙年数が長いためであると考えられます。男性の喫煙率が下がり喫煙率の男女差が小さくなったアメリカでは、肺がんの死亡率の男女差も小さくなりつつあることが報告されています。
がんの原因のうち喫煙がどのくらいの割合を占めるかを表す指標として、「人口寄与危険割合」があります。これは、がんの原因全体を100%として、そのうち何%が喫煙で説明できるか、を表します。表2に、日本のがん死亡における喫煙の人口寄与危険割合を示します。がん全体では、男性で39%、女性で5%が喫煙が原因であると考えられています。がん種別では、男性の肺がん、喉頭がん、尿路がん(膀胱・腎盂・尿管)で約70%と高く、女性でも肺がんでは20%と他のがん種に比べて高くなっています。女性に比べて男性で人口寄与危険割合が高いのは、男性の喫煙率が女性より高いことが主な原因です。
がん種 | 男 | 女 | ||
相対リスク | 人口寄与危険割合(%) | 相対リスク | 人口寄与危険割合(%) | |
全がん | 2.0 | 39 | 1.6 | 5 |
口唇・口腔・咽頭 | 2.7 | 52 | 2.0 | 7 |
食道 | 3.4 | 61 | 1.9 | 12 |
胃 | 1.5 | 25 | 1.2 | 3 |
肝・肝内胆管 | 1.8 | 37 | 1.7 | 5 |
膵臓 | 1.6 | 26 | 1.8 | 8 |
喉頭 | 5.5 | 73 | − | − |
肺 | 4.8 | 69 | 3.9 | 20 |
子宮頸部 | 2.3 | 9 | ||
腎盂を除く腎臓 | 1.6 | 30 | 0.6 | -1 |
尿路(膀胱・ 腎盂・尿管) |
5.4 | 72 | 1.9 | 3 |
骨髄性白血病 | 1.5 | 35 | 1.0 | 0 |
表3に、アメリカにおける喫煙の相対リスクと人口寄与危険割合を、2つの時期に分けてがんのがん種別に示します。ほとんどのがん種で、アメリカの喫煙による相対リスクは日本に比べてさらに高い傾向にあります。この理由として以下のことがあげられます。
・ | アメリカで喫煙習慣が普及した時期が、日本に比べて約20年早かった。 | |
・ | アメリカでは、喫煙開始年齢が日本に比べて若い。 | |
・ | 日本では、第二次世界大戦中から戦後にかけて、たばこ欠乏期があった。 | |
・ | 日本では、喫煙習慣の普及とほぼ並行してフィルター付きたばこがシェアを伸ばしたため、フィルターなし(両切り)たばこや葉巻など、強いたばこの普及期間がアメリカに比べて短かった。 | |
・ | 食習慣(例えば、野菜や果物の摂取量が少ない)などのがん予防要因が日本とアメリカで異なる。 | |
・ | たばこに含まれる物質の体内での影響が人種や民族によって異なる。 |
アメリカで約20年の間隔をおいて行われた2つの研究(第1期、第2期)を比べると、ほとんどのがん種で、第2期の研究における相対リスクのほうが高い値を示しています。アメリカでは喫煙習慣が1960年代にピークを迎えました。第2期のほうが相対リスクが高かったのは、このピークの影響が約20年を経て現れていると解釈されています。日本においても、1960年代から1980年代にかけて行われた研究(計画調査)(注)より、1980年代半ばから2000年前後にかけて行われた表2の研究のほうが、多くのがん種で相対リスクが高い結果が出ています。これは、同じ喫煙者でも最近のほうが喫煙本数が多く、喫煙開始年齢が若いことが原因だと考えられています。
(注)計画調査:1966年〜1982年に行われた日本の大規模疫学研究
第1期がん予防研究(1959〜1965年) | ||||
がん種 | 男 | 女 | ||
相対リスク | 人口寄与危険割合(%) | 相対リスク | 人口寄与危険割合(%) | |
口腔・咽頭 | 6.3 | 74 | 2.0 | 27 |
食道 | 3.6 | 57 | 1.9 | 14 |
膵 | 2.3 | 41 | 1.4 | 14 |
喉頭 | 10.0 | 84 | 3.8 | 47 |
肺 | 11.4 | 86 | 2.7 | 40 |
子宮頸部 | − | − | 1.1 | − |
腎 | 1.8 | 36 | 1.4 | 17 |
膀胱 | 2.9 | 53 | 2.9 | 36 |
第2期がん予防研究(1982〜1986年) | ||||
がん種 | 男 | 女 | ||
相対リスク | 人口寄与危険(%) | 相対リスク | 人口寄与危険(%) | |
口腔・咽頭 | 27.5 | 92 | 5.6 | 61 |
食道 | 7.6 | 78 | 10.3 | 75 |
膵 | 2.1 | 29 | 2.3 | 34 |
喉頭 | 10.5 | 81 | 17.8 | 87 |
肺 | 22.4 | 90 | 11.9 | 79 |
子宮頸部 | − | − | 2.1 | − |
腎 | 3.0 | 48 | 1.4 | 12 |
膀胱 | 2.9 | 47 | 2.6 | 37 |
喫煙とがんとの関連は、禁煙した人のリスク(がんになる、またはがんで死亡する危険性)が吸い続けた人と比べて下がることによっても示されています。表4は、2007年に国際がん研究機関(IARC)が報告した、禁煙によるリスクの低下についての評価です。
たばこを吸い続けた人より禁煙した人のほうがリスクが低いがんとして、口腔がん、食道がん(扁平上皮癌)、胃がん、肺がん、喉頭がん、膀胱がん、子宮頸がん(扁平上皮癌)があります。膵臓がん、腎細胞がんについても研究報告は少ないものの、禁煙した人は喫煙継続者よりがんのリスクが低いとされています。
これらほとんどのがん種で、禁煙してからの期間が長くなるほどリスクが低くなります。特に、子宮頸がん(扁平上皮癌)では、禁煙後急速にリスクが下がり、その後、たばこを吸ったことがない人のレベルまで下がり続けます。また喉頭がんでも、禁煙後急速にリスクが低くなり、10〜15年でリスクが約60%下がります。肺がんは、禁煙後5〜9年でリスクが下がり始めます。肺がんは、禁煙後のリスクがたばこを吸ったことのない人のレベルまで下がることは難しいですが、禁煙する年齢が若いほど禁煙の効果は大きくなり、何歳で禁煙をしてもリスクは下がります。
がん種 | 禁煙の効果 | |||
(1)禁煙した人のリスクが現在喫煙者より低いか | (2)禁煙継続によりリスクが低下するか | (3)たばこを吸ったことがない人のレベルまでリスクが低下するか | その他 | |
口腔 | ◎ | ○ | ○ | 禁煙後20年以上で非喫煙者のレベルまでリスクが低下することを示す複数の研究がある。 |
上咽頭・鼻腔 | ○ | − | − | |
食道 | ◎ | ○ | △ | リスクの低下は扁平上皮癌で認められる。禁煙後10年で非喫煙者の2倍のレベルまでリスクが低下する。腺癌に関する研究報告は少なく、関連を判断するには不十分。 |
胃 | ◎ | ○ | − | 禁煙する年齢が若いほどリスクは低下する。禁煙期間の影響については研究報告が少ない。 |
肝臓 | △ | − | − | 禁煙者のリスクは現在喫煙者より低いと考えられるが、地域によって研究結果が一致しない。 |
膵臓 | ◎ | ○ | * | 禁煙後リスクは低下するが、少なくとも禁煙後15年は非喫煙者よりリスクが高い。 |
喉頭 | ◎ | ◎ | △ | 禁煙後、急速にリスクが低下し、10〜15年で約60%低下する。 |
肺 | ◎ | ○ | △ | 禁煙後5〜9年で現在喫煙者と比べて明らかにリスクが低下する。 |
子宮頸部 | ◎ | ◎ | ◎ | リスク低下は扁平上皮癌で認められる。禁煙後、非喫煙者のレベルまで急速にリスクが低下する。 |
腎細胞 | ◎ | ○ | * | 禁煙期間の影響については研究報告が少ない。 |
膀胱がん | ◎ | ○ | △ | 禁煙後リスクは低下するが、少なくとも禁煙後25年は非喫煙者よりリスクが高い。 |
骨髄性白血病 | * | − | − |
(1)禁煙した人のリスクが現在喫煙者より低いか | |
◎:禁煙した人のリスクは現在喫煙者より低い | |
○:禁煙した人のリスクは現在喫煙者より低いと考えられる | |
△:禁煙した人のリスクは現在喫煙者より低いと考えられるが、研究報告は限られている | |
*:研究報告が一致していない | |
(2)禁煙継続によりリスクが低下するか | |
◎:禁煙後、現在喫煙者と比べて急速にリスクが低下する | |
○:禁煙後、禁煙期間が長いほど現在喫煙者と比べてリスクが低下する | |
−:情報が不十分 | |
(3) たばこを吸ったことがない人のレベルまでリスクが低下するか | |
◎:禁煙後、たばこを吸ったことがない人のレベルまでリスクが低下する | |
○:禁煙後、長期間かかるがたばこを吸ったことがない人のレベルまでリスクが低下する | |
△:禁煙後、現在喫煙者と比べてリスクは低下するが、たばこを吸ったことがない人のレベルまでは低下しない | |
*:禁煙後、たばこを吸ったことがない人のレベルまではリスクが低下しないと考えられるが、研究報告が限られている | |
−:情報が不十分 | |
(空白):記載なし |
喫煙は、喫煙する本人だけでなく、周囲のたばこを吸わない人にも健康被害を引き起こします。たばこを吸う本人以外がたばこの煙にさらされることを「受動喫煙(じゅどうきつえん)」と呼び、その煙を「環境中たばこ煙(かんきょうちゅうたばこえん)」と呼びます(注)。
(注)受動喫煙は間接喫煙または不随意喫煙とも呼ばれます。環境中たばこ煙には、たばこ製品の燃焼部分から出る煙(副流煙)と、喫煙者が吐き出す主流煙の両方が含まれます。
2002年にまとめられた国際がん研究機関(IARC)の報告書(モノグラフ第83巻)では、受動喫煙について、最も強い「グループ1:ヒトに対して発がん性がある」と判定されています。受動喫煙と病気との関連について比較的最近まとめられた報告書に、アメリカ公衆衛生総監報告書(2006年)とアメリカのカリフォルニア州環境保護庁の報告書(2005年)があります。これら2つの報告書も、受動喫煙は、たばこを吸わない大人と子どもの両方に、さまざまな病気や早期死亡を引き起こすと結論づけています。
肺がんは、3つの報告書とも、受動喫煙との因果関係があると判定しています。たばこを吸う人と同居することによる受動喫煙で、肺がんになる、または肺がんで死亡する危険性は20〜30%上がるとされています。
小児がんは、IARCの報告書では、母親の妊娠時の喫煙との関連が示唆されるが、他の要因の影響を否定できないとされています。一方、アメリカ公衆衛生総監報告書とカリフォルニア州環境保護庁の報告書では、小児がんと受動喫煙との間の因果関係が示唆される、と評価されています。これら2つの報告書で、出生前後の受動喫煙との因果関係が示唆されるとされた小児がんは、白血病、リンパ腫、脳腫瘍(のうしゅよう)です(注)。
(注)カリフォルニア州環境保護庁の報告書ではリンパ腫と脳腫瘍のみ。
それ以外のがんと受動喫煙との関連について、IARCの報告書では、データが一致していないか少ない、とされています。乳がんと副鼻腔がんは、カリフォルニア州環境保護庁の報告書では受動喫煙と因果関係があると判定されていますが、アメリカ公衆衛生総監報告書では受動喫煙との因果関係が示唆されるという評価にとどまっています(注)。
(注)乳がんは閉経前若年女性について。
アメリカ公衆衛生総監報告書とカリフォルニア州環境保護庁の報告書では、がん以外の病気や症状について受動喫煙との関連を評価しています。2つの報告書とも、冠動脈心疾患(狭心症、心筋梗塞など)、乳幼児突然死症候群(SIDS)、出生時低体重など(注)、さまざまな病気と症状について受動喫煙と因果関係があると判定しています。
(注)SIDSは乳幼児の出生後の受動喫煙との関連、出生時低体重は母親の妊娠時の受動喫煙との関連。
受動喫煙の健康影響については現在も研究が進行中ですので、科学的証拠の蓄積により、因果関係があると判定される病気や症状が今後増える可能性があります。