【第25回】 2009年07月27日
拉致問題、もはや萎縮などしている場合じゃない
子供にだってわかる理屈だ。でもこの国は、もうずっと前から、強硬な経済制裁が功を奏すと、本気で思っているらしい。
解決したいなら、まずは国交を正常化すべきだ
拉致問題を解決したいのなら、まずは国交を正常化すべきだと僕は考える。その後に(たとえば)日朝合同で調査団を作るとか、メディアの取材を進めるとか、選択肢はいろいろ生まれるはずだ。
もちろん国交正常化したとしても、北朝鮮の体制は簡単には変わらない。変わることを政府や軍の上層部は嫌がるだろう。それは今の自民党と一緒。レジームは簡単には変わらない。
だからこそ国交を正常化して、人や情報の往来を活性化するべきだ。必要なことはきっかけだ。日本との国交正常化は、他国との国交の回復にもつながる。ならばブラックボックスのように情報が遮断されていた北朝鮮に、少しずつ情報や視点が送り込まれるはずだ。それによって穿たれた小さな亀裂は、内部の圧が高ければ高いほど、あっという間に大きくなる。そこから決壊する。
市民たちが中心となった革命がルーマニアで起きたのは1989年。ベルリンの壁が崩壊してから1カ月後だ。大統領であるニコラエ・チャウシェスクによる独裁体制は、西側世界の情報が流入するとほぼ同時に、脆くも崩れ去った。もちろんこの背景には、冷戦構造の崩壊という大規模な相転移があった。北朝鮮の独裁体制がルーマニアのように簡単に自壊するとは思わないけれど、でも人や情報の往来が普通に行われるようになれば、一部の独裁者や軍上層部が富や利権を独占し、多くの人が餓死するような今の構造は、変質する可能性が大いにある。市場経済への移行が始まり、民主化を求める声が高くなり、独裁体制が求心力をなくすきっかけになるかもしれない。その時点において、ここ数年は停滞したままの拉致問題解決が、大きく進展する可能性もきっとある。
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著者プロフィール
- 森達也
(テレビディレクター、映画監督、作家)
1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー 映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。
この連載について
テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る!
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