民主党の鳩山由紀夫代表は27日、東京都内で記者会見し、衆院選の政権公約(マニフェスト)を発表した。「国民生活重視」の目玉政策として、子ども手当支給や高速道路無料化などに政権交代後の初年度(10年度)から着手することを明記した4年間の工程表を提示。政策決定システムの「脱官僚」化を図り、13年度に必要となる政策経費16.8兆円は無駄の根絶を中心に賄うとした。具体的な財源の捻出(ねんしゅつ)方法を明確に示さないまま衆院選に臨む形となり、鳩山氏は首相に就任して公約を実現できなかった場合は「政治家として責任を取る」と明言した。【小山由宇】
鳩山氏は会見で「明治維新以来の官僚主導の政治に対し国民の皆さんが主役になる政治を作り出す。歴史的な大転換期だ」と強調。マニフェストでは(1)ムダづかい(2)子育て・教育(3)年金・医療(4)地域主権(5)雇用・経済--の改革を「五つの約束」とし、主要政策の実施年度と所要経費を工程表に明示した。
10年度に即時着手する政策は、中学生以下に1人当たり月額2万6000円を支給する子ども手当の半額(1万3000円)実施▽高校無償化▽ガソリン税などの暫定税率廃止▽高速道路の一部無料化--などで、所要額は計7.1兆円。
11年度は子ども手当の全額支給、農業者戸別所得補償などを実施し、所要額は12.6兆円に増加。高速道路は12年度までに段階的に無料化し、新たな年金制度の設計を終える13年度の所要額は16.8兆円とした。
財源は、国の一般会計と特別会計を合計した総予算207兆円を「全面組み替え」し、無駄遣い根絶で9.1兆円▽特別会計などの「埋蔵金」活用で5兆円▽所得税の控除制度などの税制見直しで2.7兆円--を捻出するという。
こうした政策を実行するため、政策決定システムを官僚主導から政治主導に転換する「鳩山政権の政権構想」を提示した。首相直属の「国家戦略局」を設置して国家ビジョンや予算の基本方針を策定。政府には与党の国会議員約100人を閣僚や副大臣、政務官、大臣補佐官などとして配置し、政府と与党の政策決定を「一元化」する。国家戦略局の下部機関として、政治家や有識者による「行政刷新会議」を設置し、政府の全事業や制度を点検して無駄や不正をなくすとしている。
毎日新聞 2009年7月27日 18時31分(最終更新 7月28日 0時34分)