民主政権公約発表、鳩山代表「責任取る」

　８月１８日の衆院選公示まで約３週間。各党、各候補者のＰＲ合戦が本格化している。民主党は２７日、都内のホテルで衆院選の政権公約（マニフェスト）発表会見を開いた。約５００人の報道陣を前に、鳩山由紀夫代表（６２）は、工程表通りに実現できなければ「政治家として責任を取る」と明言した。衆院解散後の会見で、責任の取り方を明言しなかった麻生太郎首相（６８）との違いかもしれないが、「そこまで踏み込んで大丈夫か」という懸念も。自民党からは「ばら色の造花」と冷ややかな声が出ている。

　当初、党本部で正午から予定していた会見を、夕方のニュース時間帯に合わせ、場所も都内のホテルに移して行われた民主党のマニフェスト会見。開始３０分前には用意された２００席が埋まり、海外メディアを含め約５００人の報道陣が集まった。政権交代の可能性が強まる中、自民党に先駆けたこともあり、注目の高さを示した。

　鳩山氏は「国民の皆さんが主役になる政治。目指すのはこの１点」と強調。「官僚の官僚による官僚のための政治から、国民の国民による国民のための政治という、新しい政治を行う。明治維新以来の歴史的転換期」と、ほおを紅潮させてカメラに語りかけた。

　「変わるのはあなたの生活です」とした５つの約束では、高速道路無料化、中学卒業まで１人当たり月２万６０００円の子ども手当支給など、家計支援策を中心に記載。「コンクリートではなく人の命を大切にする政治」と主張、総財源は１６・８兆円とした。無駄遣いをやめ９・１兆円を確保するとしたが、詳しい内訳は不明確。「英国では、野党が財源について責任もって申し上げる必要はない」と開き直る場面もあった。

　５７ページある政策集インデックスも一緒に配布したが、実現できなければ相当のリスクを背負う。鳩山氏はこの点を問われ「権力は政治的責任を負う。公約を実現できなければ政治家として責任を取る」と明言。衆院選で政権交代できなかった場合も「代表の力不足。大きな責任を取ることは言うまでもない」と述べ、退路を断った。

　麻生首相が２１日の会見で、衆院選で与党が過半数を取れなかった際の責任を明言しなかったのと、違いを出したのだろうか。ただ実現できる保証は必ずしもなく「そこまで言い切って大丈夫か。できなければ辞める、ではあまりに無責任」（野党関係者）の声も。鳩山氏は不安のかけらも見せなかったが、３１日にマニフェストを発表する自民党の細田博之幹事長は「（政策は）ばら色だが、造花にすぎない」と指摘。今後、財源をめぐり説明を求められることになりそうだ。

　［2009年7月28日8時28分　紙面から］