2009年7月30日19時55分
【ヨハネスブルク=古谷祐伸】ナイジェリアからの報道によると、同国北部で26日に始まったイスラム武装勢力と警察との銃撃戦は激化している。AFP通信は、現地警察当局の話として、30日未明の攻撃で武装勢力側の指導者を含む約200人が死亡するなど、衝突の犠牲者は5日間で少なくとも600人にのぼる、と伝えている。
武装勢力はボコ・ハラム(教育は罪)と名乗るグループ。欧米流の教育制度を否定し、イスラム法の厳格な適用を求めている。26日にバウチ州の警察署を襲撃して衝突が始まり、隣接する各州でも銃撃戦となった。バウチ州でメンバーが逮捕されたのがきっかけとみられている。キリスト教会も襲われ、住民が無差別に襲われているとの情報もある。
AFP通信によると、ボコ・ハラムの拠点があるボルノ州の州都マイドゥグリでは、28日にも206人が死亡。ヨベ州では43人が犠牲になり、バウチ州でも55人の死亡が確認された。政府は1千人の兵士をマイドゥグリに増派して徹底的に取り締まる構えだ。
だが、29日夜になって、拠点を治安部隊に包囲されていたボコ・ハラムのメンバーらが逃走したことが判明。戦闘の長期化は避けられない見通しだ。
ナイジェリア北部はイスラム教徒が大半をしめ、今回の戦闘現場を含む12州が00年ごろからイスラム法を導入している。だが、その適用は厳格ではないと言われ、役人や政治家らの腐敗に住民の不満がくすぶり、トラブルが絶えない状態だった。ボコ・ハラムは02年ごろに組織され、支持を広げてきた。