2009年7月30日10時10分
建設資材がないため、イスラエル軍の攻撃で破壊された家屋のがれきから鉄筋を取り出す住民=今年5月、パレスチナ自治区ガザ北部、井上写す
【エルサレム=井上道夫】イスラエル政府は29日までに、パレスチナ自治区ガザへセメントを搬入することを承認した。今年1月までのガザ大規模攻撃以降では初めて。
イスラエル首相府直属の報道担当者によると、国連機関などが携わる一部の建設工事用に限って承認する。開始時期は、ガザを支配するイスラム組織ハマスの手にセメントが渡らないよう、国防省や国連機関などが調整したうえで「近く実施する」としている。地元メディアは、製粉所や下水道処理施設などの建設に使われると報じている。
イスラエルは、ハマスがガザを武力制圧した07年6月以降、ガザへの人や物の出入りを厳しく制限してきた。特に建設資材は、ハマスなどの武装勢力が軍事拠点づくりに使う可能性があるとして、1月の攻撃停止以降、搬入許可を一切出していなかった。
ガザでは、昨年末から3週間続いたイスラエル軍による攻撃で多くの家屋や学校、工場などが破壊されたが、建設資材がないため、復興作業が進んでいなかった。
国連機関や国際NGOは、新学期が迫っているにもかかわらず学校の修復が進んでいないと訴え、同国に境界封鎖の全面解除を強く求めている。