とにかく“コイツ”は自信満々だった。
「俺はよ タメに負ける気しねえからよ」
しかしコイツの根拠のない自信に ビビっってる自分がいたのに気づいた。
「なんだ コイツの自信は?」
しかし俺はコイツが大嫌いだったので迷わず 殴りに行った。しかも不意打ちを使って。
「ガツン!!!」
鼻っ柱に右のジャブが入る。
向こうはすぐさま対応し、掴みかかってきた。
ガシッと 体を掴まれたかと思ったら、一気に倒されてしまった。
上から殴りかかってくる。
俺は足を使って押しのける。
相手を押しのけた時
コイツは
「ニヤリ」
と笑った。
まるで寝かされたら何もできない総合の試合をしたボクサーのようになすすべはなかった。
俺は 心の中で
「パキン…」
と 音が聞こえた。
心が折れた音だ。
初めて味わう戦いの中での無気力な気持ち。
俺は 何の攻撃も喰らわず心が折れたのだ。
「もう いいよ わかった 俺の負けだよ」
「はあっ? ふざけてんじゃねぇぞ!こっちは殴られてんだぞコラッ」
結局俺は この日初めてタイマンで…いや戦いで心を折られた。
情けないどころの騒ぎじゃない。
今まで授業中に喧嘩になり殴り合った事もあった。
先輩達と年上との喧嘩も経験した。
しかし こんなのは初めてだ。
「俺は ちっぽけだったんだ…」
あまりの自分の弱さに何の感情も起きない。
それから俺は ボクシングジムも通わなくなり、地元のヤツらとつるむようになる。
そして学校にもいかなくなり、塗装工などをやり元ヤ〇ザの先輩達と悪行もエスカレートしていく。
それは自分の弱さを隠すため、必死に“イキがって”いたのだ。
悪い人間には悪い人間が引き寄せられる。
群れれば誰もが強くなったつもりになる。
しかし 楽しかった。
弱さが隠れるからだ。
弱い者イジメは更にエスカレート。
不良なら誰でも経験するような事をやった。
小さな悪さから 大きな悪さまで……
そしてある日の夏の夜
とんでもない事件を起こす事になる。
他の仲間が警察に世話になるような事があっても
「俺は捕まらない」
という妙な自信があった。
いつものたまり場のコンビニにいると 後輩が盗んだバイクで遊んでいた。
「おい 俺にも貸せよ!」
後ろにタメの仲間を乗せ単車で走り出した。
もちろんノーヘルだ。
ノーヘルでのバイクは最高に気持ちいい。
スピードも増していく。
そして俺はミスを犯した。
神は 試練を与えてたもう…
いつになれば気づくのか?
いつになったら闇に気づくのか?
人が人でいるためには、幸福を感じていなければならない。
不幸は更に悪の闇を引き寄せる。
強い強い磁石のように…
神と悪魔が
俺達2人に
囁いた。
1 ■無題
人は楽な方楽な方へと流されて行く…でも大樹さんの存在を知って、こんな俺でもポジティブに頑張れる様になりました!ありがとう\(^o^)/頑張れ!高瀬ガッツ大樹!