【社会】鈴鹿市、不法滞在外国人に母子手帳交付せず2009年7月30日 夕刊 三重県鈴鹿市が、滞在期間を超えたインドネシア人女性(30)が今年3月に提出しようとした妊娠届け出を受理せず、7月の出産後まで母子健康手帳を渡していなかったことが分かった。厚生労働省によると、不法滞在であっても、手帳は人道的な見地から交付されるのが通例だが、同市は昨年10月から不法滞在の外国人には交付しないことを決めていた。 市は手帳と、妊婦健診の無料券を同時に配布しており、「無料券は金券に当たり、不法滞在者に税で賄われている金券を渡すべきではない」と判断。在留資格の有無を確認して、資格がなければ無料券も手帳も渡さないことにしていた。 市健康づくり課は「手帳と無料券を一体で考えていた点が不適切だった」と認め、不法滞在でも手帳を交付することに改めた。ただ、無料券については「扱いを他の市町などにも問題提起したい」としている。 厚労省母子保健課は「市町村から照会があったときは、人道的に対処するよう指導している。鈴鹿市のような事例は把握していない」と話す。名古屋市では、不法滞在のケースでも母子手帳を配布するとともに妊婦健診の助成を行っている。 関係者によると、女性は2007年に短期滞在の在留資格で来日。日本人男性と交際して妊娠した。当初は自費で妊婦健診を受けたが、1回1万円以上と高額なため、数回で断念したという。 ◆不当な差別だ<外国人の人権問題に詳しい児玉晃一弁護士の話> 母子の基本的な生存権は在留資格のあるなしに関係なく保障されるべきだ。母子手帳の不交付により健康管理ができないなどの問題があり、不当な差別だ。地方自治体も不法滞在者を含めた外国人から税金をとっており、行政サービスを行わないのはおかしい。
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